建物の熱損失は、材料名の丸暗記より「熱抵抗を足し、逆数のU値で全体を求める」手順が大切です。断熱材の厚さはメートルへ換算し、熱伝導率λと熱貫流率Uを混ぜません。
この第1回は、熱伝導90W、多層壁のU値0.58W/(m2・K)、壁の熱損失459W、熱橋を含む480W、赤外線画像の判断を扱う独自5択5問です。式の単位まで確認してください。
資料確認日:2026年8月8日。建築研究所の熱貫流率・線熱貫流率計算資料、米国エネルギー省の伝熱・赤外線診断資料、NISTの建材熱伝導データベースを照合しました。理論と必要条件は「熱伝導・対流・放射とU値」で解説し、このページは新しい数値の計算演習に特化しています。
解く前の3分整理|λ・R・U・Φの順につなぐ
| 量 | 単位 | 使い方 |
|---|---|---|
| 熱伝導率λ | W/(m・K) | 材料内部の熱の通しやすさ |
| 熱抵抗R | m2・K/W | 材料層はd/λ |
| 熱貫流率U | W/(m2・K) | 1/総熱抵抗 |
| 熱流率Φ | W | UAΔT |
U値は旧来Kと表されることもありますが、ここではUに統一します。材料の熱抵抗d/λだけでなく、必要な境界条件では室内外の表面熱伝達抵抗も足します。
第1問|厚さ80mmの断熱材を通る熱は何Wか
定常一次元とみなし、熱伝導率λ=0.040W/(m・K)、厚さ80mm、面積12m2、両面の温度差15Kの断熱材を通る熱流率はどれか。
- 0.9W
- 9W
- 90W
- 900W
- 9,000W
第2問|多層壁の熱抵抗とU値を求める
練習用外壁を、室内表面抵抗0.11、コンクリート0.12m/λ1.6、断熱材0.06m/λ0.040、室外表面抵抗0.04で直列に扱う。総熱抵抗とU値の組合せはどれか。
- R=0.58m2・K/W、U=1.73W/(m2・K)
- R=1.50m2・K/W、U=1.50W/(m2・K)
- R=1.725m2・K/W、U=0.580W/(m2・K)
- R=1.725m2・K/W、U=1.725W/(m2・K)
- R=15.75m2・K/W、U=0.0635W/(m2・K)
第3問|U値0.58の壁36m2から何W逃げるか
第2問のU値を0.58W/(m2・K)と丸め、壁面積36m2、室内外温度差22Kとする。定常時の貫流熱損失に最も近いものはどれか。
- 14.5W
- 45.9W
- 459W
- 792W
- 1,378W
第4問|面積11%の柱が熱損失の40%を占める
外壁36m2のうち、一般部分32m2はU=0.45、柱の熱橋部分4m2はU=2.4W/(m2・K)と簡略化する。温度差20Kのとき、合計熱損失と面積加重U値の組合せはどれか。
- 324W、0.45W/(m2・K)
- 384W、0.53W/(m2・K)
- 480W、0.67W/(m2・K)
- 960W、1.33W/(m2・K)
- 1,440W、2.00W/(m2・K)
第5問|赤外線画像の「青い柱」をどう診断するか
暖房中の室内側外壁を赤外線カメラで撮影すると、金属柱に沿って周囲より青く表示された。最も適切な次の行動はどれか。
- 画像の色だけで柱の正確な表面温度と断熱欠損を確定する。
- 金属の放射率や反射背景は結果に影響しないとする。
- 温度差がほとんどない日に撮影し、ひとつの画像だけを根拠にする。
- 室内外温度、日射、風、暖房運転を記録し、放射率・反射の影響を確認する。必要に応じ接触温度、含水、漏気、図面と照合する。
- 青い部分は必ず水漏れなので、熱橋と漏気は調べない。
採点|単位と仮定まで説明できるか
| 正解数 | 判定 | 復習の焦点 |
|---|---|---|
| 5問 | 計算と診断は安定 | 実測条件を残す |
| 4問 | 1ステップを再確認 | mm→mかR→U |
| 2~3問 | 式の意味が混在 | λ・R・U・Φの順 |
| 0~1問 | 親記事から復習 | 単位を式に添える |
計算結果は「定常一次元」「各層は直列」「熱橋は面積法で簡略化」などの仮定とセットです。実建物では日射、蓄熱、隣接部位への二次元熱流、漏気、湿気も分けて診断します。
間違えた分野の戻り先
- 伝導・対流・放射・U値:熱伝導・対流・放射とU値
- 湿気と結露の判断:湿り空気線図の読み方
- 設備の熱交換と流体計算:PID制御と流体計算
追加演習
放射の4乗則、壁の熱貫流過程、断熱材の基礎は「熱と伝熱の基礎 ミニテスト第2回」、U値と熱貫流量の基礎確認は「熱と伝熱の基礎 ミニテスト第3回」へ進んでください。同じ式でも、この第1回の数値を自分で再現できてから比較すると定着します。
公式・一次資料の確認先
- 建築研究所「壁の熱貫流率の算出方法について」
- 建築研究所「熱貫流率及び線熱貫流率」Ver.26
- U.S. Department of Energy「Heat Transfer」
- U.S. Department of Energy「Operations & Maintenance Best Practices Guide」
- NIST「Database on Heat Conductivity of Building Materials」
まとめ|Rを足し、Uの逆数関係を守る
厚さ80mmの断熱材単層を通る熱は90Wです。多層壁の例ではR=1.725m2・K/W、U=0.580W/(m2・K)となり、面積36m2・温度差22Kの熱損失は約459Wです。
熱橋を含む簡略例は480Wで、面積11%の柱が熱損失の40%を占めます。赤外線画像で異常の位置を絞ったら、放射率と反射を確認し、温度・水分・漏気・図面の別手段で原因を確かめてください。
資料確認日/最終更新日:2026年8月8日
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