空調方式は、建物の大きさだけでは選べません。負荷が変わる単位、営業時間、外気の処理方法、同時冷暖房、故障時に止まる範囲を並べて比較します。CAV・VAV・FCU・パッケージという名称だけで優劣を決めると、換気や保守の条件が抜けます。
この第1回は、6テナントの方式選定、風量65%時の理想ファン動力、VAV最小風量と外気量、一室だけ暑いときの診断、室外機停止の影響範囲を扱う独自5択5問です。方式名ではなく、空気・水・冷媒・制御の経路を追ってください。
資料確認日:2026年8月8日。国土交通省の建築設備設計基準、環境省の変風量・変流量資料、日本冷凍空調工業会のFCU資料、国土交通省の換気資料を照合しました。方式の全体比較は「空調方式の選び方」で解説し、このページは新しい設計値・運転値の判断演習に特化しています。
解く前の3分整理|方式名を4つの役割へ分解する
| 役割 | 確認する量 | 見落としやすい点 |
|---|---|---|
| 室内負荷 | 温度・湿度・顕熱・潜熱 | ゾーンごとの差 |
| 外気処理 | 外気量・ろ過・除湿・室圧 | 冷暖房機と別系統の場合 |
| 搬送・制御 | 風量・水量・冷媒・静圧 | 末端だけ絞っても省エネにならない |
| 保守・継続 | 停止範囲・予備・更新手順 | 共通機器の単一故障点 |
CAVでも給気温度が常に変化するとは限らず、VAVでも給気温度が常に一定とは限りません。FCUにダクト接続形があり、パッケージ空調に換気機能付きの製品もあります。名称から断定せず、機器仕様書、系統図、自動制御図、実測値をそろえます。
第1問|営業時間が異なる6テナントの空調
1フロアを6テナントへ分割し、営業時間・課金・温度設定がそれぞれ異なる。天井内スペースは限られ、各区画を休業時に止めたい。一方、必要外気量と排気は確実に確保する必要がある。計画の入口として最も合理的なものはどれか。
- 全区画を1ゾーンのCAVにし、最長営業時間へ合わせて常時運転する。
- FCUを置けば自動的に外気も入るため、換気設備は計画しない。
- 区画別に発停・計量できる個別空調を候補にし、外気・排気を別系統で確認して、室外機の共有範囲も比較する。
- 方式名を決めず、室温設定だけを各テナントへ任せる。
- 6区画を1台の家庭用ルームエアコンで処理し、扉の開閉だけで空気を配る。
第2問|風量65%時の理想ファン動力
設計点のファン入力を18kWとする。同じ送風機を相似運転し、効率・系統条件を一定とみなす理想練習で、風量を65%へ下げたときの入力に最も近いものはどれか。
- 2.93kW
- 4.94kW
- 7.61kW
- 11.7kW
- 18.0kW
第3問|VAV最小風量240m3/hでは外気48m3/h
会議室VAVの設計最大給気は1,200m3/h、現在の最小給気は240m3/hである。AHU混合空気の外気割合を20%、会議室の必要外気量を180m3/hとする。完全混合・一様分配の練習条件で最も適切な判断はどれか。
- 最小時の外気は48m3/hで不足する。外気割合20%のままなら給気900m3/hが必要で、最小風量か外気供給方式を見直す。
- 最小時の外気は240m3/hなので、必ず足りる。
- 外気割合20%を240へ掛けると4,800m3/hになる。
- 必要外気180m3/hは冷房負荷なので、VAV風量と無関係である。
- 会議室のVAVを閉め切れば、廊下から必要外気が必ず流入する。
第4問|一室だけ暑く、VAV実測風量が設計の45%
同じAHU系統の5室中、南西の1室だけ暑い。AHU給気温度14℃、主ダクト静圧、他4室の温度と風量は正常である。問題室はVAV指令100%だが、実測360m3/hで、必要・設計風量は800m3/hだった。最初の確認として最も適切なものはどれか。
- 全館の冷凍機を直ちに大型化する。
- AHU給気温度を全系統で5℃まで下げる。
- 問題室のVAVダンパ実開度、風量センサー、枝ダクト・フィルタ・吹出口の抵抗と空気バランスを確認する。
- 他4室のVAVもすべて閉じ、問題室だけへ送る。
- 室温計を外し、中央監視の指令100%だけを正常判定に使う。
第5問|室外機1台の停止で12室が止まる
ビル用マルチ1系統の室外機に12室内機を接続している。室外機停止時に12室すべてが冷暖房不能となり、別系統の換気は運転を継続した。更新計画で最も適切な考え方はどれか。
- 個別空調なので、1台の故障が複数室へ影響することはないと判断する。
- 換気が動いたので、冷暖房停止の業務影響は評価しない。
- 共通室外機を単一故障点として、室の重要度・同時停止許容範囲に応じた系統分割、予備手段、保守中の運用を比較する。
- すべてを1台のさらに大きい室外機へまとめ、停止範囲を広げる。
- 冷媒配管図を見ず、室内機の台数だけで次期方式を決める。
採点|負荷・外気・制御・停止範囲を分けられたか
| 正解数 | 判定 | 復習の焦点 |
|---|---|---|
| 5問 | 方式選定と診断は安定 | ライフサイクル比較へ |
| 4問 | 1条件を再確認 | 外気か故障範囲 |
| 2~3問 | 方式名に依存 | 4役割へ分解 |
| 0~1問 | 親記事から復習 | CAV・VAV・FCUの経路 |
省エネ計算は方式選定の一部です。温湿度、空気質、騒音、設備スペース、更新中の営業、保守要員、故障時の代替まで並べて、建物ごとの優先順位を決めます。
間違えた分野の戻り先
- CAV・VAV・FCU・個別方式の比較:空調方式の選び方
- 外気量・換気回数・CO2収支:換気量の計算と第1~3種換気
- AHU・FCU・フィルタ・加湿器:空気調和機とFCUの構造
- 冷凍機・ヒートポンプ・COP:冷凍機・ヒートポンプの運転診断
追加演習
VAV省エネ・2管式/4管式・二重ダクトは「空調方式の種類と特徴 ミニテスト第2回」、ビル用マルチ・FCU外気処理・3管式は「空調方式の種類と特徴 ミニテスト第3回」で確認できます。
公式の確認先
まとめ|方式名より、何をどこまで受け持つか
営業時間が異なる6テナントでは、個別発停・計量と独立した外気処理を候補にし、室外機の共有範囲も比べます。理想則で18kWのファンを風量65%へ下げると4.94kWですが、実機は回転数・静圧・効率を実測して評価します。
VAV最小給気240m3/h、外気割合20%なら、会議室へ届く外気は48m3/hです。一室だけ実風量が不足するなら局所系統を先に追い、室外機1台で12室が止まるなら共通故障点を系統分割の判断へ反映します。熱・外気・制御・停止範囲を一枚の系統図で結んでください。
資料確認日/最終更新日:2026年8月8日
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