ミニテスト 建築物環境衛生管理技術者

自動制御・流体診断ミニテスト第1回|PI出力50%・風速9.49m/sの5問

制御不良を見つけるには、PIDの用語だけでなく「指令どおり機器が動いたか」を確認します。流体計算も、1点の風速や直管だけで系統全体を代表させず、測定点と局部損失までそろえることが重要です。

この第1回は、PI出力50%、弁指令と開度フィードバックの不一致、二位置制御の実温度、3点平均風速9.49m/s、Re約65,000・全圧力損失6.11kPaを扱う独自5択5問です。

資料確認日:2026年8月9日。国土交通省「建築設備設計基準 令和6年版」、NISTの建物制御資料、米国エネルギー省のEMIS・ダクト資料、米国CDC/NIOSHのピトー管資料を照合しました。理論と基本式は「PID制御と流体計算」で解説し、このページは別の数値・故障状況による診断演習に特化しています。

解く前の3分整理|計算値と実機の動きを分ける

確認対象 今回の式・信号 取り違えやすい点
PI出力 バイアス+P寄与+I寄与 実装式・正逆動作
制御弁 指令値と開度FB 画面表示だけで断定
二位置制御 ON点・OFF点 センサー偏差
ピトー管 v=√(2ΔP/ρ) 圧力平均と速度平均
配管損失 (fL/D+ΣK)ρv²/2 直管だけで終了

同じ「PID」表示でも、並列形・理想形、ゲインまたは比例帯、微分を偏差へ掛けるか測定値へ掛けるかなど、実装は同一とは限りません。この演習では式と符号を問題文で定義します。実機調整はメーカーの制御仕様、出力上下限、アンチワインドアップ、サンプリング周期を確認して行ってください。

第1問|比例帯6K・90秒後のPI出力は50%

給気温度の冷却PI制御で、偏差e=PV-SP、比例ゲインKp=100÷比例帯とする。SP14.0℃、PV15.2℃、比例帯6.0K、バイアス25%、積分時間360秒である。偏差が一定のまま90秒続き、初期積分値を0、出力制限を無視すると、90秒後の出力に最も近いものはどれか。

  1. 20%
  2. 25%
  3. 45%
  4. 50%
  5. 75%
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正解:4(50%)

Kp=100÷6=16.667%/K、偏差は15.2-14.0=1.2Kです。P寄与は16.667×1.2=20ポイント。I寄与はKp×e×t÷Ti=16.667×1.2×90÷360=5ポイントです。したがって25+20+5=50%となります。

1はP寄与だけ、2はバイアスだけ、3はバイアス+P、5はI寄与を30ポイントと誤った値です。実機では冷却弁の正動作・逆動作、出力上限、積分値の初期条件で結果が変わります。NISTの建物制御資料では、HVACのローカルループはD項を使わないPIが一般的な例とされており、PIDを機械的な順位で選びません。

第2問|指令100%・実開度32%なら調整前に機械側を確認

冷水コイルの給気温度SPは14℃、PVは17.2℃である。8分間にDDCの冷水弁指令は30%から100%へ上昇したが、独立した開度フィードバックは32%付近で固定している。冷水入口7℃、系統差圧は正常だった。最初の対応として最も適切なものはどれか。

  1. 比例ゲインを直ちに2倍にする
  2. 積分時間を短くして100%到達を速める
  3. 給気温度SPを18℃へ変更する
  4. 指令経路、アクチュエータ、リンク機構、弁軸、開度FBを現場確認する
  5. 低流量インターロックを恒久的にバイパスする
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正解:4(指令と実動作の不一致を確認する)

制御器は冷却要求に応じて100%を指令していますが、開度FBは32%で動いていません。まず、DDC出力、配線・通信、手動上書き、アクチュエータ電源、リンク機構、弁軸の固着、FB信号の正しさを切り分けます。可能なら安全な手順で指令値を段階的に変え、軸の実動作と冷水温度差を同時に確認します。

1・2は動かない操作部へさらに強い指令を出し、積分飽和を悪化させるおそれがあります。3は故障を設定値変更で隠します。5は安全機能を失うため不適切です。修理後は蓄積した積分値や手動上書きを解除し、自動復帰と警報復旧まで確認します。

第3問|センサーが+1.0Kなら実温度のON/OFF点も1K低い

暖房の二位置制御は、センサー表示が20.0℃以下でON、22.0℃以上でOFFとなる。比較計で、制御センサーは実温度より常に1.0K高く表示していた。ほかの誤差と遅れを無視した実温度のON点・OFF点の組合せはどれか。

  1. ON 19.0℃、OFF 21.0℃
  2. ON 20.0℃、OFF 22.0℃
  3. ON 21.0℃、OFF 23.0℃
  4. ON 19.0℃、OFF 22.0℃
  5. ON 20.0℃、OFF 21.0℃
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正解:1(ON 19.0℃、OFF 21.0℃)

表示温度=実温度+1.0Kです。表示20.0℃は実温度19.0℃、表示22.0℃は実温度21.0℃に相当します。表示上の動作すき間2.0Kは、一定の偏差だけなら実温度でも2.0Kのままですが、帯全体が1.0K低い側へ移ります。

2はセンサー偏差を無視、3は補正方向を逆にしています。4・5はON点かOFF点の片方だけを補正した値です。実設備では比較計側の不確かさ、取付位置、熱放射、応答遅れ、信号変換も確認します。センサー偏差を残したまま動作すき間だけ広げても、温度帯のずれは直りません。

第4問|動圧3点から平均風速9.49m/s

同じ面積を代表する3点で、ピトー管の全圧-静圧を24Pa、54Pa、96Paと測定した。空気密度を1.20kg/m3、各点の風速v=√(2ΔP/ρ)とし、3点の風速を算術平均する。平均風速に最も近いものはどれか。

  1. 6.32m/s
  2. 8.00m/s
  3. 9.49m/s
  4. 9.83m/s
  5. 12.65m/s
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正解:3(約9.49m/s)

各点は順に√(48÷1.20)=6.325m/s、√(108÷1.20)=9.487m/s、√(192÷1.20)=12.649m/sです。平均は(6.325+9.487+12.649)÷3=9.487m/s、約9.49m/sです。

1・5は端の1点だけです。4は動圧を先に平均し、√(2×58÷1.20)=9.83m/sとした値です。平方根は非線形なので、圧力平均から求めた風速と風速平均は一般に一致しません。2は根拠のない丸めです。実測は等面積3点という問題条件だけでなく、規定のトラバース点、直管長、ピトー管の向き、密度補正、脈動、測定器の分解能を管理します。

第5問|直管と局部を合わせた全損失は約6.11kPa

20℃付近の水12m3/hが内径0.065m、長さ28mの管を流れる。密度998kg/m3、動粘度1.004×10−6m2/s、Darcy摩擦係数f=0.024、継手の損失係数合計ΣK=1.8とする。v=Q/A、Re=vD/ν、全損失ΔP=(fL/D+ΣK)ρv2/2で求めた組合せはどれか。

  1. Re約6,500、全損失0.61kPa
  2. Re約65,000、全損失5.21kPa
  3. Re約65,000、全損失6.11kPa
  4. Re約650,000、全損失6.11kPa
  5. Re約65,000、全損失11.7kPa
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正解:3(Re約65,000、全損失約6.11kPa)

Q=12÷3,600=0.003333m3/s、A=π×0.0652÷4=0.003318m2なので、v=1.005m/sです。Re=1.005×0.065÷(1.004×10−6)=約65,000。速度圧ρv2/2は約503.5Paです。

直管損失は0.024×(28÷0.065)×503.5=約5.21kPa、局部損失は1.8×503.5=約0.91kPa、合計は約6.11kPaです。1・4はReの桁違い、2は局部損失を加えていません。5は直管と局部を誤って重複した値です。摩擦係数は指定値であり、実系統では粗さ・温度・経年状態と、弁・ストレーナ・コイル等を含めます。

採点|制御信号から圧力損失まで追えたか

正解数 判定 復習の焦点
5問 診断の順序は安定 実トレンドへ展開
4問 1境界を再確認 PIか平均方法
2~3問 表示と実動作が混在 信号・単位・平方根
0~1問 親記事から復習 SP・PV・MV、Q=Av

制御不良では、SP・PV・指令MV・位置FB・運転許可・警報を同じ時刻で並べます。DOEのEMIS資料が扱う故障検知・診断も、データの時間粒度と対象設備の制御シーケンスが前提です。15分平均だけで短周期振動を診断せず、現象周期より十分短いデータを確保してください。

間違えた分野の戻り先

追加演習

オフセット、フィードフォワード、層流・乱流は「自動制御と流体力学ミニテスト第2回」、制御要素、ダクト断面変化、発展問題は「自動制御と流体力学ミニテスト第3回」で確認できます。

公式・技術資料の確認先

まとめ|50%の指令より先に、実際に動いたかを見る

比例帯6K、偏差1.2K、積分時間360秒、90秒、バイアス25%なら、単純化したPI出力は50%です。しかし指令100%でも開度FBが32%なら、PID再調整より先に操作部と信号経路を確認します。二位置制御のセンサーが+1.0Kなら、実温度のON/OFF点は19.0℃・21.0℃です。

ピトー管3点は動圧をそのまま平均せず、各点を風速へ変換して平均9.49m/sとします。水配管はRe約65,000で、直管5.21kPaに局部0.91kPaを加えた全損失が約6.11kPaです。制御値、機器の実動作、測定方法、流体抵抗を同じ系統図と時刻で結び付けてください。

資料確認日/最終更新日:2026年8月9日

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