給水方式は建物の階数だけで選ばず、最低配水圧、標高差、損失、同時流量、非常時水量、逆流リスクを一つの系統で確認します。高層階へ届くだけでは不十分で、低層階の過大圧や点検・断水時の運用も同時に解きます。
この第1回は、直結増圧の不足圧259kPa、同時使用流量8.1L/s、非常用水66.7分、低層521kPa・高層103kPa、上水と雑用水のクロスコネクションを扱う独自5択5問です。
資料確認日:2026年8月9日。国土交通省の「給水装置標準計画・施工方法」、建築設備設計基準令和6年版、公共建築工事標準仕様書令和7年版、e-Govの水道法・給水装置構造材質基準を照合しました。5方式の選定と別数値の必要揚程・ポンプ入力は「給水方式の選び方と圧力計算」で解説し、このページは新しい運転条件の診断に特化します。
解く前の3分整理|圧力・水量・衛生を分けて足す
| 設計軸 | 主な入力 | 確認する結果 |
|---|---|---|
| 圧力 | 配水圧・高さ・損失 | 末端最小・低層最大 |
| 流量 | 器具・人数・同時使用 | ピーク時ポンプ容量 |
| 非常 | 使用可能水量・需要 | 継続時間・優先用途 |
| 衛生 | 上水・雑用水・吐水口 | 逆流・誤接続防止 |
| 運用 | 停電・保守・故障 | 代替系統・復旧条件 |
以下の数値は学習用です。実設備は水道事業者の給水区域条件、設計基準、ポンプ曲線、器具必要圧、管材、建物用途、消防・BCP条件に従って設計・確認します。
第1問|必要478.6-最低配水220=増圧259kPa
直結増圧方式を検討する。引込点から最高位器具まで32m、設計流量時の配管・器具損失65kPa、最高位器具で必要な最小圧力100kPa、水道事業者が示す引込点の最低動水圧220kPaとする。1m水頭=9.8kPaとして必要な増圧量に最も近いものはどれか。
- 94kPa
- 159kPa
- 220kPa
- 259kPa
- 479kPa
第2問|器具合計18L/s×同時係数0.45=8.1L/s
学習用の簡略計算として、全給水器具の需要流量合計18L/sに同時使用係数0.45を掛けてピーク流量を求める。運転可能なポンプ群の合計吐出量が7.2L/sのとき、判定として正しいものはどれか。
- 必要4.05L/sで3.15L/s余る
- 必要7.2L/sで一致する
- 必要8.1L/sで0.9L/s不足する
- 必要18L/sで10.8L/s不足する
- 同時使用係数は流量ではなく圧力へ掛ける
第3問|使用可能8m³÷120L/min=非常給水66.7分
停電時に重力給水できる高置水槽の使用可能な非常用水量が8.0m³ある。死水量や別用途の確保分は既に除外済みで、優先給水需要を一定120L/minに制限できるとする。理想化した継続時間に最も近いものはどれか。
- 6.7分
- 15分
- 40分
- 66.7分
- 960分
第4問|同じ600kPaでも低層521・高層103kPaになる
ポンプ吐出ヘッダ圧を600kPaで一定制御する。低層器具はヘッダより4m上で損失40kPa、高層器具は42m上で損失85kPa。器具の許容範囲を150~350kPa、1m水頭=9.8kPaとする。判定として最も適切なものはどれか。
- 低層521kPaで過大、高層103kPaで不足するため、圧力ゾーニングや減圧・増圧の分割を検討する
- 低層561kPa、高層515kPaで両方過大
- 低層350kPa、高層150kPaに自動的に調整される
- 低層103kPa、高層521kPaとなる
- ヘッダ圧が同じなら全階の器具圧も同じである
第5問|閉止弁と逆止弁があっても上水・雑用水を直結しない
雑用水ポンプ故障時の予備として、上水管と雑用水管をバイパス管で直接つなぎ、閉止弁1個と逆止弁1個を設ける案が出た。最も適切な判断はどれか。
- 閉止弁に「通常閉」と表示すれば直結できる
- 逆止弁が1個あれば、雑用水の汚染度に関係なく直結できる
- 停電時だけ開く運用なら、クロスコネクションにならない
- 上水系統と雑用水系統の直接接続をやめ、必要な補給は適切な吐水口空間など危険度と水道事業者基準に合う逆流防止方法で構成する
- 配管の色を変えれば物理的な逆流防止になる
採点|ポンプ名より末端条件を見られたか
| 正解数 | 判定 | 復習の焦点 |
|---|---|---|
| 5問 | 給水診断は安定 | 実ポンプ曲線へ |
| 4問 | 1条件を再確認 | 圧力か非常水量 |
| 2~3問 | 方式名で判断 | 高さ・損失・流量 |
| 0~1問 | 親記事から復習 | 直結と受水槽 |
運転診断チェック|入口から最不利点まで測る
- 入口:最低・最高配水圧、受水槽水位、吸込圧を記録する
- ポンプ:運転台数、周波数、流量、吸込・吐出圧、警報を記録する
- 系統:ゾーン、減圧弁、逆流防止器、閉止弁、バイパスを確認する
- 末端:高層最不利点と低層最大圧点を同じ需要条件で測る
- 非常:使用可能水量、優先用途、電源、代替水、継続時間を試算する
圧力不足時に設定値だけを上げると、低層側の過大圧、漏水、水撃、ポンプ過負荷を悪化させます。流量不足、弁開度、ストレーナ、ポンプ曲線、センサー位置、配管損失を切り分けてから調整します。
間違えた分野の戻り先
- 5方式の選定・必要揚程・ポンプ入力:給水方式の選び方と圧力計算
- 揚程・NPSH・制御弁を含むポンプ診断:配管・弁・ポンプ診断ミニテスト第1回
- 逆流・クロスコネクション・水撃:クロスコネクション・逆流・水撃の診断
- 水質・残留塩素・異常時初動:飲料水・水質診断ミニテスト第1回
追加演習
直結直圧、高置水槽、受水槽の点検、圧力タンクは「給水方式と給水設備ミニテスト第2回」、高置水槽とポンプ直送の比較、直結方式の衛生面は「給水方式と給水設備ミニテスト第3回」で確認できます。
公式資料の確認先
- e-Gov法令検索「水道法」
- e-Gov法令検索「給水装置の構造及び材質の基準に関する省令」
- 国土交通省「給水装置標準計画・施工方法」
- 国土交通省「建築設備設計基準 令和6年版」
- 国土交通省「公共建築工事標準仕様書(機械設備工事編)令和7年版」
- 環境省「給水用具の維持管理について」
まとめ|259kPa・8.1L/s・66.7分を一つの系統へつなぐ
最高位器具まで32m、損失65kPa、器具100kPa、最低配水圧220kPaなら、不足圧は約259kPaです。器具需要18L/sに同時使用係数0.45を掛けた8.1L/sに対し、ポンプ7.2L/sでは0.9L/s不足します。使用可能な非常用水8m³を120L/minで使うと66.7分です。
同じヘッダ600kPaでも、低層は521kPaで過大、高層は103kPaで不足しました。ゾーンを分け、最小・最大圧を両方満たします。上水と雑用水は閉止弁や逆止弁だけを頼りに直結せず、適切な吐水口空間等で分離する――圧力、水量、非常時、衛生を同じ系統図で管理してください。
資料確認日/最終更新日:2026年8月9日
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