ミニテスト 建築物環境衛生管理技術者

給水配管・保守診断ミニテスト第1回|漏水420L/h・損失55.4kPaの5問

給水設備の異常は、見つけた症状だけで部品名を決めず、流量・圧力・運転回数・発生範囲を同じ時刻軸で比べます。夜間流量があっても即座に漏水と断定せず、正規使用、計器、弁、ポンプ、水槽、枝管の順に区間を絞ります。

この第1回は、夜間流量420L/h、日使用量30%増、立て管の追加損失55.4kPa、ポンプ90回/hの短時間起動、8階冷水枝管だけに出る赤水を扱う独自5択5問です。

資料確認日:2026年8月10日。国土交通省の給水装置標準計画・施工方法と建築設備設計基準、環境省の給水用具維持管理情報、東京都水道局の水質FAQを照合しました。逆流・水撃・赤水の原理は「クロスコネクション・逆流・水撃の診断」で解説し、このページは別の運転値から保守範囲を絞る演習に特化します。

解く前の3分整理|量・率・圧・回数・範囲を分ける

記録 変換 次の確認
夜間メーター L/min・L/h 系統を区間分け
日使用量 基準との差・増加率 稼働条件を補正
上下階圧力 静水頭と他損失 弁・管・計器
ポンプ履歴 起動回数/h 圧力・漏れ・逆流
異常水 冷温・階・初流水 発生区間を採水

以下の数値は学習用です。実設備は水道事業者の基準、設計水量・圧力、給水方式、ポンプ・圧力タンク・逆流防止器の仕様、建物用途、測定器精度に従って判定します。

第1問|0.126m³を18分で使用=420L/h

午前2時00分から2時18分まで、受水槽への流入と設備の自動補給を停止し、入居者へ使用停止を周知した。建物側の親メーターは0.126m³進んだ。この時間帯の平均流量と初動の組合せとして最も適切なものはどれか。

  1. 7L/h。微量なので記録しない
  2. 42L/h。親メーターだけを交換する
  3. 420L/h。直ちに地下埋設管の破損と断定する
  4. 420L/h。正規使用と計器を再確認し、立て管・テナント・機械室系統を順に隔離する
  5. 7,000L/h。給水圧力を上げる
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正解:4(420L/hを確認し、系統を区間分けする)

0.126m³=126L。126÷18=7L/minなので、1時間では7×60=420L/hです。18分間の量を、そのまま1時間の量と読まないことがポイントです。

3は計算値が合っても原因を断定しています。清掃、製氷、加湿、冷却塔、洗浄弁等の正規使用、メーター分解能と時刻を確認し、弁操作前後の流量変化で区間を絞ります。地下漏水なら路面・ピット・湧水、圧力低下、残留塩素等も合わせて調べます。

第2問|54.6-42.0=12.6m³、基準比30%増

曜日、在館者数、外気条件をそろえた基準日の給水量が42.0m³/日、今回が54.6m³/日だった。増加量と基準日に対する増加率の組合せはどれか。

  1. 5.46m³・10%
  2. 12.6m³・23.1%
  3. 12.6m³・30.0%
  4. 42.0m³・77.0%
  5. 54.6m³・130%
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正解:3(12.6m³・30.0%増)

増加量は54.6-42.0=12.6m³/日。基準に対する増加率は12.6÷42.0×100=30.0%です。2の23.1%は増加量を今回値54.6で割った値です。

比較日は在館者、清掃、厨房、加湿、冷却塔、散水、工事、検針時刻をそろえます。日量だけでは場所が分からないため、時間別流量とサブメーターを重ね、増加が連続か、設備運転時だけか、夜間も残るかを切り分けます。

第3問|総低下320kPa-高さ264.6kPa=他損失55.4kPa

同じ流量・同じ時刻に、立て管基部で565kPa、27m上の最不利給水栓で245kPaを測定した。1m水頭=9.8kPaとし、高さ以外の配管・弁・メーター等による圧力損失はいくらか。

  1. 55.4kPa
  2. 264.6kPa
  3. 320.0kPa
  4. 510.4kPa
  5. 810.0kPa
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正解:1(55.4kPa)

測定した総圧力低下は565-245=320kPa。高さによる低下は27×9.8=264.6kPaです。したがって高さ以外の損失は320-264.6=55.4kPaです。

2は高さ分だけ、3は総低下、4・5は足し算です。55.4kPaが異常かどうかは、設計流量・口径・管長・継手・メーター・弁・減圧装置の計画値と平常値で判断します。流量が違う測定値を比較すると摩擦損失も変わるため、同時測定が重要です。

第4問|12分で18回起動=90回/h

給水量がほぼ一定の12分間に、給水ポンプが18回起動した。1時間換算の起動回数と、短時間起動を診断する順序として最も適切なものはどれか。

  1. 18回/h。起動履歴を消去する
  2. 72回/h。吐出弁を全閉にする
  3. 90回/h。時刻・圧力を確認し、漏水、逆止弁、圧力タンク、センサー、設定値を点検する
  4. 108回/h。モーター容量だけを大きくする
  5. 1,080回/h。警報を無効化する
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正解:3(90回/h。圧力変動の原因を追う)

60分は12分の5倍なので、18×5=90回/hです。この値だけで故障部品は決められませんが、平常時・メーカー許容回数から大きく外れる短時間起動は、モーター、接触器、ポンプへ負担をかけます。

圧力・流量・起動信号の時刻をそろえ、微小漏水、逆止弁からの戻り、圧力タンクの封入圧・隔膜、圧力センサー、起動停止幅、過大なポンプ容量を確認します。複数台なら交互運転と積算時間も見て、一台だけへ偏っていないかを調べます。

第5問|8階の冷水初流水だけなら局所枝管から絞る

8階の一つの冷水栓で朝の初流水だけ赤茶色となり、3分通水すると透明になった。同じ階の隣接冷水栓、8階の温水、1階の冷水、受水槽出口は透明だった。最も適切な初動はどれか。

  1. 受水槽全体が原因と断定し、全館断水する
  2. 温水系統が原因と断定し、給湯温度を上げる
  3. 配水本管全体の異常と断定し、採水せず放水を続ける
  4. 8階の当該冷水栓・局所枝管を優先し、初流水と通水後を採水して水栓・枝管・工事履歴を調べる
  5. 赤水は必ず無害なので、そのまま飲用する
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正解:4(当該冷水栓と局所枝管を優先する)

上流の受水槽出口と1階、同階の別水栓、温水が透明で、朝一番だけ発生して通水で消えるため、まず当該水栓・停滞する冷水枝管の範囲を疑います。ただし、これだけで材質や腐食箇所までは断定できません。

初流水を捨て切る前に、地点・時刻・冷温・放水時間を付けて採水します。水栓部材、局所配管、滞留、直近工事を調べ、濁度・色度・鉄等の検査要否を水道事業者等と判断します。発生範囲が広い、通水で戻らない、異臭・異味を伴う場合は使用制限と連絡範囲を広げます。

採点|部品名より先に測定範囲を決められたか

正解数 判定 復習の焦点
5問 保守診断は安定 実トレンドへ
4問 1単位を再確認 流量か圧力
2~3問 原因断定が早い 区間分け
0~1問 親記事から復習 逆流・水撃・赤水

保守診断チェック|比較条件をそろえて区間を狭める

  1. 時刻:メーター、BMS、ポンプ、警報、作業記録の時計を合わせる
  2. 流量:親・子メーター、瞬時値、夜間最小、日量を同じ単位へ直す
  3. 圧力:基部・最不利点を同時測定し、高さとその他損失へ分ける
  4. 運転:起動回数、運転時間、交互運転、逆流、圧力幅を確認する
  5. 水質:冷温、上流下流、初流水・通水後、正常点を比較する

「前回より多い」「圧力が低い」だけでは判断できません。人数、用途、流量、採水条件をそろえ、正常点と異常点を同じ方法で測ります。弁を無計画に操作すると漏水・汚染の範囲や再現条件を失うため、操作前の状態を写真と系統図へ残します。

間違えた分野の戻り先

追加演習

青い付着物・白濁・配管更生・さや管ヘッダーは「給水設備の保守管理ミニテスト第2回」、吐水口空間・水撃・VLP・日常確認の基礎は「給水設備の保守管理ミニテスト第3回」で確認できます。

公式資料の確認先

まとめ|420L/h・55.4kPa・90回/hを区間診断へつなぐ

18分で0.126m³進んだ夜間流量は420L/hです。基準42.0m³/日に対して54.6m³/日は12.6m³、30%の増加でした。立て管基部565kPaと27m上の245kPaから、高さ以外の損失は55.4kPaと分けられます。

12分で18回起動は90回/hです。漏水、逆止弁、圧力タンク、センサー、設定を時刻同期して確認します。赤水が8階の一つの冷水初流水だけなら、正常な上流・隣接点と比べながら局所枝管から絞る――流量、圧力、運転履歴、水質範囲を一つの系統図へ重ねることが、保守診断の基本です。

資料確認日/最終更新日:2026年8月10日

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