建築物環境衛生管理技術者 空気環境の調整

【ビル管理士・空気環境】配管・弁・ポンプ(配管材料・仕切弁/玉形弁/逆止弁・キャビテーション)

結論:配管・弁・ポンプは空調の「水回り」― 冷温水を確実に届ける

空調システムでは、冷凍機やボイラで作った冷水・温水・蒸気を建物中に運ぶ必要があります。この「水回り」を担うのが配管・弁・ポンプの3点セットです。

試験では弁の種類と用途ポンプの特性配管材料の使い分けがバランスよく出題されます。

空調の水系統フロー
冷凍機
冷水生成
ポンプ
圧送
配管
搬送

流量調整
AHU
冷却コイル

← 戻り配管で冷凍機に循環 ←

冷凍機で作られた冷水はポンプで圧送され、配管を通ってAHUやFCUの冷却コイルに届けられます。弁で流量を調整し、使い終わった水は戻り配管で冷凍機に循環します。

配管の材料と用途

材質 特徴と用途
鋼管(SGP) 配管用炭素鋼管。最も一般的。冷温水・蒸気・給排水に広く使用
腐食対策として亜鉛メッキ(白管)にすることが多い
銅管 冷媒配管に最も多く使用。腐食に強い。加工しやすい
給湯配管にも使用される
ステンレス鋼管 耐食性に優れる。給水・給湯に使用。コストは高い
塩ビ管(VP/VU) 軽量・安価・耐食性良好。排水管に広く使用
熱に弱い(高温蒸気には不可)
ポリエチレン管 可とう性(曲げやすい)があり施工が容易。給水・給湯に使用

試験のポイント:冷媒配管には銅管」が超頻出。鋼管では冷媒中の水分や塩素で腐食するリスクがあるため、冷媒配管には銅管が使用されます。「冷媒配管に鋼管を使う」は誤りです。

弁(バルブ)の種類と用途(★超頻出★)

弁は配管内の流体の流量を調整したり、流れを止めたりする装置です。用途によって使い分けます。

弁の種類 特徴と用途
仕切弁(ゲートバルブ) 全開・全閉で使用。流量調整には不向き
全開時の圧力損失が小さい
玉形弁(グローブバルブ) 流量調整に最適。S字型の流路
全開でも圧力損失が大きい
バタフライ弁 円板が回転して開閉。大口径でも軽量・コンパクト
流量調整も開閉も可能
ボール弁 球体で開閉。90度回転で全開/全閉。操作が簡単で確実
圧力損失が小さい
逆止弁(チャッキバルブ) 流体の逆流を防止する弁。ポンプの吐出側に設置
スイング式・リフト式がある

覚え方のコツ

仕切弁=「仕切る」→ 開か閉の二択(流量調整×)
玉形弁=「玉のように細かく」→ 流量を細かく調整(○)
逆止弁=「逆を止める」→ 逆流防止

現場イメージ:ビルの機械室でポンプの吐出側を見ると、まず逆止弁(ポンプ停止時の逆流防止)があり、次に仕切弁(メンテナンス時に完全に止めるため)があります。AHUの冷温水コイルへの配管には玉形弁バタフライ弁が付いていて、自動制御で流量を調整しています。弁の種類を間違えると「止まらない」「漏れる」「調整できない」といったトラブルになるため、正しい使い分けが重要です。

ポンプ周辺の弁の配置(現場で見る構成)

ポンプ周辺の標準的な弁配置
仕切弁
(吸込側)
ポンプ
逆止弁
(逆流防止)
仕切弁
(吐出側)

仕切弁はメンテナンス時にポンプを系統から切り離すため。逆止弁はポンプ停止時の逆流防止。

試験ポイント:ポンプの吐出側に設置する弁の順番が問われます。ポンプ→逆止弁→仕切弁の順です。逆止弁はポンプに近い側に設置し、仕切弁はその外側です。「仕切弁→逆止弁」の順番は誤りです。

ポンプの種類と特性

種類 特徴
渦巻ポンプ(遠心ポンプ) 羽根車の遠心力で揚水。空調用で最も一般的
大流量に対応。インラインポンプ(縦型)も含む
タービンポンプ 渦巻ポンプの一種。高揚程に対応。多段にして使うことが多い
水中ポンプ 水中に設置して使用。排水槽・雑排水の排水に使用

ポンプのキャビテーション

キャビテーションとは?

ポンプの吸込側で圧力が低下し、水中に気泡(空洞)が発生する現象です。気泡がつぶれるときに衝撃波が生じ、羽根車の壊食(エロージョン)・騒音・振動の原因になります。

キャビテーション対策 内容
吸込揚程を小さくする ポンプを水面に近い位置に設置する
吸込管の圧力損失を減らす 吸込管を太くする・曲がりを減らす
水温の管理 水温が高いと気泡が発生しやすくなる

膨張タンクと配管の付属品

付属品 役割
膨張タンク 水の温度変化による体積膨張を吸収する。開放式と密閉式がある
エア抜き弁 配管内の空気を排出する。配管の最高点に設置
ストレーナ 配管内のゴミ・異物を除去する。ポンプや弁の前に設置
防振継手 ポンプ等の振動が配管に伝わるのを防ぐ

理解度チェック

【問題1】弁に関する記述のうち、正しいものはどれか。

(1)仕切弁は流量の細かい調整に適している
(2)玉形弁は全開・全閉の二択で使用する弁である
(3)逆止弁は流体の逆流を防止する弁である
(4)仕切弁は全開時の圧力損失が大きい
(5)バタフライ弁は大口径には不向きである

解答を見る

正解:(3)
逆止弁は流体の逆流を防止する弁です。仕切弁は全開/全閉で使い流量調整には不向きです。玉形弁は流量調整に適しています。仕切弁は全開時の圧力損失が小さいです。バタフライ弁は大口径でも軽量・コンパクトに対応できます。

【問題2】ポンプのキャビテーションに関する記述のうち、正しいものはどれか。

(1)キャビテーションはポンプの吐出側で発生する
(2)キャビテーションは水温が低いほど発生しやすい
(3)キャビテーションの防止には吸込揚程を大きくする
(4)キャビテーションにより羽根車の壊食が起こる
(5)キャビテーションはポンプの効率を向上させる

解答を見る

正解:(4)
キャビテーションはポンプの吸込側で圧力が低下して気泡が発生する現象です。気泡のつぶれにより羽根車の壊食(エロージョン)が起きます。水温が高いほど発生しやすくなります。防止には吸込揚程を小さくします。ポンプの効率は低下します。

【問題3】配管材料に関する記述のうち、正しいものはどれか。

(1)冷媒配管には一般に鋼管(SGP)が用いられる
(2)塩ビ管は高温蒸気の配管に適している
(3)銅管は冷媒配管に最も多く用いられる
(4)ステンレス鋼管は安価で広く使われる
(5)ポリエチレン管は高圧蒸気に適している

解答を見る

正解:(3)
冷媒配管には銅管が最も多く使用されます。冷媒中の水分や塩素による腐食に強いためです。塩ビ管は熱に弱く高温蒸気には不可。ステンレス鋼管は耐食性に優れますがコストが高いです。ポリエチレン管も高温には不向きです。

ビル管理の現場での配管・弁・ポンプ管理

日常点検のチェックポイント:

  • ポンプの異音・振動 ― キャビテーションの兆候。「ガラガラ」「ジャリジャリ」という音が出たら要注意
  • グランドパッキンからの漏水 ― 軸封部からの微量な滴下は正常。完全に止まっている方がかえって危険(焼き付きの原因)
  • 弁のハンドル操作 ― 長期間動かしていない仕切弁は固着することがある。定期的に開閉操作して可動性を確認
  • 配管の保温材 ― 保温材の破損箇所は結露や熱損失の原因。冷却塔との接続部分は特に注意

弁の開度は自動制御で管理されることが多く、ビル管理士として制御の基礎知識もあわせて押さえておくと実務に役立ちます。

まとめ ― 試験で狙われるポイント

この記事の重要ポイント

  • 冷媒配管=銅管、排水管=塩ビ管、冷温水・蒸気=鋼管
  • 仕切弁=開閉用(流量調整×)、玉形弁=流量調整用、逆止弁=逆流防止
  • 空調ポンプは渦巻ポンプ(遠心ポンプ)が主流
  • キャビテーション=吸込側で気泡発生→壊食。対策は吸込揚程を小さく
  • 膨張タンク=水の体積膨張を吸収。エア抜き弁は最高点に設置
  • ポンプ吐出側の弁配置:ポンプ→逆止弁→仕切弁の順

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