床の異常は、洗浄力を上げる前に「何の床か」「どこまで影響したか」を確認します。同じ水拭き、洗剤、床維持剤でも、仕上げ材、表面処理、接着剤、下地、メーカー仕様によって結果が変わるからです。
この第1回は、ビニル床タイルの浮き15.0%、大理石の光沢値62.2%低下、体育館木床の目視検出25%、カーペットの再開判定、リノリウムとpH9.4の洗剤を扱う独自5択5問です。
資料確認日:2026年8月12日。国土交通省「建築保全業務共通仕様書 令和5年版」、厚生労働省告示、文部科学省の体育館床板事故防止手引き、床材メーカーの維持管理情報を照合しました。共通仕様書は官庁施設の契約に使う標準で、すべての建物へ一律に課される法令ではありません。実務では床材・接着剤・表面仕上げを特定し、契約仕様書とメーカー最新版を優先してください。
解く前の3分整理|材質・異常・復旧条件を分ける
| 床・異常 | 先に確認すること | 避ける判断 |
|---|---|---|
| ビニル床の浮き | 範囲、水分、下地、接着剤 | 上から被膜で隠す |
| 石材のつや落ち | 石種、薬剤、接触範囲 | 別薬剤を加えて中和 |
| 体育館木床の剥離 | 触診、位置、使用区画 | ワックスと水拭き |
| カーペットの湿り | 測定点、再開条件、残留 | 平均値だけで再開 |
| リノリウムの変色 | 製品名、pH、メーカー指定 | 名称だけで床材を推定 |
異常率や光沢値は、作業の再開条件そのものではありません。分母、測定位置、測定器、合否基準を記録し、「清掃班だけで復旧できるか」「床施工・設備・施設管理へ引き継ぐか」を切り分けます。
第1問|180枚中27枚の端部浮きは15.0%
漏水後のビニル床タイル180枚を調べると、27枚に端部の浮きがあった。水分や下地は未調査である。異常率と初動の組合せで最も適切なのはどれか。
- 6.7%。全面へ床維持剤を厚塗りして段差を埋める
- 15.0%。範囲を区画・記録し、水分、下地、接着剤を確認して管理者へ報告する
- 18.0%。浮いた27枚をぬれたまま再接着する
- 27.0%。洗浄水を増やして下地まで均一にぬらす
- 85.0%。異常のない153枚をすべて交換する
第2問|大理石の光沢値82→31は62.2%低下
大理石床へ酸性洗剤がこぼれ、同じ測定条件で光沢値が82から31へ低下した。低下率と対応の組合せで最も適切なのはどれか。
- 37.8%。酸性洗剤を全面へ広げて色をそろえる
- 51.0%。アルカリ性剥離剤を直接加えて床上で中和する
- 62.2%。立入区画し、SDSに従って回収し、石材専門業者へ状態確認を依頼する
- 164.5%。同じ酸性洗剤で再洗浄すれば光沢が戻る
- 264.5%。測定値が0でないため対応は不要である
第3問|布で4か所、目視で1か所なら目視検出25%
体育館の木製床を36レーンに分け、柔らかい布を床板方向へ滑らせたところ4か所で引っ掛かった。そのうち目視だけで先に確認できたのは1か所だった。この点検結果の読み方と対応で最も適切なのはどれか。
- 目視検出25%。4か所を区画し、位置を記録して専門業者の補修判断へつなぐ
- 目視検出75%。見えなかった3か所は異常なしとする
- 目視検出400%。全面へワックスを塗ってささくれを固める
- 異常率11.1%。水を多く含むモップで引っ掛かりを寝かせる
- 異常率25%。強粘着テープを床全面へ貼って恒久補修とする
第4問|15点中12点合格でも、再開率は80%
抽出洗浄後のカーペットについて、メーカーと合意した現場手順では同一計器の指示値10.0%以下を再開条件としている。15点中12点は合格、3点は12.1%、12.8%、13.4%だった。判断として最も適切なのはどれか。
- 合格率20%なので、12点だけ再洗浄する
- 合格率80%なので、平均値を計算せず全面を開放する
- 合格率80%だが、3点が条件超過のため区画・乾燥・再測定を続ける
- 最大値は基準の34倍なので、床材を即時廃棄する
- 数値に関係なく、洗剤を残した方が再汚染を防げる
第5問|リノリウムへpH9.4の洗剤は使わない
床材台帳でフォルボ社のマーモリウムと確認できた床に、代替洗剤を使おうとしている。希釈後の実測pHは9.4で、同社FAQはpH9以上の洗剤を使用しないよう示している。最も適切な判断はどれか。
- 9.4は中性なので、そのまま全面へ使う
- 0.4しか超えていないため、目分量で水を足して使う
- ワックスを先に塗れば、どの強アルカリ洗剤も使える
- 使用を見送り、同社指定に適合する中性洗剤を選び、目立たない場所で確認する
- 「リノリウム風」の床も含め、全床材へ同じ禁止条件を適用する
採点|計算の先に「止める・区画する」を置けたか
| 正解数 | 判定 | 復習の焦点 |
|---|---|---|
| 5問 | 材質別の初動は安定 | 自施設の床材台帳へ |
| 4問 | 1条件を再確認 | 分母か適用範囲 |
| 2〜3問 | 一般論に寄りやすい | 下地・表面・メーカー |
| 0〜1問 | 親記事から復習 | 4分類と禁止作業 |
異常発見時の記録|写真だけで終わらせない
- 特定:床材の商品名、表面仕上げ、接着剤、下地、施工年を確認する
- 位置:平面図へ異常箇所、測定点、立入区画を記入する
- 数値:分母、単位、測定器、条件、最大・最小を残す
- 履歴:漏水、直前の洗剤、パッド、作業時間、乾燥条件を残す
- 初動:作業停止、回収、区画、報告を時刻と担当者付きで残す
- 再開:誰が、何を根拠に、どの範囲を開放したか記録する
間違えた分野の戻り先
- 床材4分類と標準的な清掃:床材別清掃方法
- 汚れと機械の組合せ:汚れの分類と清掃用具・機械
- pH、洗剤、床維持剤:洗剤と床維持剤の選定
- 作業計画、記録、品質評価:清掃作業計画と品質評価
追加演習
第2回「床材別清掃方法 ミニテスト」と第3回「同 ミニテスト」では、別の角度から床材知識を確認できます。この第1回は、現場で数値を見た後の停止・報告・再開判断に焦点を置いた代表診断です。
公式・一次資料の確認先
- 国土交通省「建築保全業務共通仕様書」掲載ページ
- 国土交通省「建築保全業務共通仕様書 令和5年版」PDF
- 厚生労働省「清掃作業及び清掃用機械器具の維持管理の方法等に係る基準」
- 文部科学省「体育館の床板の剥離による事故防止について」
- 文部科学省「体育館の床板の剥離による事故防止について」手引きPDF
- フォルボ・フロアリング「マーモリウム よくある質問」
まとめ|15.0%、62.2%、25%を復旧判断へつなぐ
180枚中27枚の浮きは15.0%ですが、数値だけで原因は決まりません。大理石の光沢値82から31への低下は62.2%で、薬剤回収後も石材の復旧判断が必要です。体育館で布に引っ掛かった4か所のうち目視で先に見つかった1か所は25%であり、目視だけに頼れません。
カーペットは15点中12点が合格でも、現場の再開条件を超えた3点を残して全面開放しません。メーカーがpH9以上を禁止するマーモリウムへ、実測pH9.4の洗剤も使いません。床材名を特定し、異常範囲を区画し、契約仕様とメーカー資料に沿って再開条件を満たすところまでが床清掃です。
資料確認日/最終更新日:2026年8月12日
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