この5問で身につくこと
- 比エンタルピー差から冷凍能力を求める
- 圧力と温度から出口過熱度を計算する
- 乾式・満液式・液ポンプ循環式を正しく分類する
- 着霜とデフロスト後の液戻りを運転値から考える
蒸発器は、冷やしたい空気・水・ブラインから熱を受け取り、低圧冷媒を蒸発させる熱交換器です。試験では名称の暗記に加え、冷媒が受け取った熱量、出口過熱度、着霜時の通風、除霜後の安全な復帰を因果関係で問われます。
計算の根拠と各方式の構造は「蒸発器の種類と特徴|満液式・乾式・着霜と除霜」で確認できます。以下の数値問題は学習用の独自条件です。実設備ではメーカーの制御シーケンスと保安手順を優先してください。
解く前に押さえる3つの判断軸
| 方式 | 冷媒供給 | 主な管理点 |
|---|---|---|
| 乾式・直膨式 | 膨張弁で必要量を供給 | 出口過熱度、分配、油戻り |
| 満液式 | 伝熱面を冷媒液で満たす | 液面、気液分離、油回収 |
| 液ポンプ循環式 | 蒸発量より多い液を循環 | 循環比、分離器、ポンプ |
冷凍能力:Φ0=ṁ(h1-h4)
出口過熱度:SH=出口実測温度-出口圧力に対応する飽和蒸気温度
h4は蒸発器入口、h1は出口の比エンタルピーです。過熱度は温度だけでは求められず、同じ測定位置の圧力から冷媒の飽和温度を求める必要があります。混合冷媒では露点側を使うなど、冷媒ごとの物性表・制御仕様を確認します。
公式・メーカー資料の確認先
技術情報確認日:2026年7月29日。公表試験の設問本文・外部資料の図表は転載していません。
第1問:比エンタルピー差から冷凍能力を求める
【問1】蒸発器入口の比エンタルピーが240kJ/kg、出口が400kJ/kg、冷媒循環量が0.060kg/sです。外部への熱損失を無視した冷凍能力はどれですか。
(1) 2.4kW
(2) 6.7kW
(3) 9.6kW
(4) 24.0kW
(5) 38.4kW
第2問:過熱度を計算して給液状態を読む
【問2】直膨式蒸発器の出口配管温度が4℃、その測定点の圧力に対応する飽和蒸気温度が-6℃です。過熱度と判断の組合せとして最も適切なものはどれですか。
(1) -10K。液戻りが確定する
(2) 2K。冷媒不足が確定する
(3) 10K。目標値より高い場合は給液不足・分配・感温筒・負荷などを確認する
(4) 10K。測定値だけで冷媒を追加する
(5) 24K。正常値は全機種で同じである
第3問:方式名と管内・管外を混同しない
【問3】乾式・満液式・液ポンプ循環式の分類について、正しい説明はどれですか。
(1) 満液式という名称だけで、全構造の冷媒が必ず管外と決まる
(2) 液ポンプ循環式は蒸発に必要な量より少ない液だけを送る
(3) 乾式では出口を液のままにして圧縮機へ送る
(4) 満液式は伝熱面を液で濡らす供給状態を示し、実際の管内・管外は熱交換器構造ごとに確認する
(5) 3方式とも気液分離や液面制御は不要である
第4問:着霜の測定値を診断する
【問4】ユニットクーラの送風機は正常ですが、コイル前後の空気差圧が上昇し、風量が低下、フィン間に霜の橋ができています。最も適切な判断はどれですか。
(1) 霜は熱伝導を促進するので運転を続ける
(2) 着霜で通風と伝熱が悪化しているため、設計された除霜を行い、扉開放・湿気侵入・除霜設定・排水も確認する
(3) 冷媒不足だけが原因なので直ちに追加充填する
(4) 金属工具で運転中のコイルを強く削る
(5) 表面温度が0℃未満なら空気中の水分に関係なく必ず同じ速度で着霜する
第5問:デフロスト後の液戻りを防ぐ
【問5】低温用蒸発器のデフロストと冷却復帰について、最も適切な考え方はどれですか。
(1) 除霜加熱中も送風機を回し、温風と水滴を庫内へ送る
(2) 除霜終了と同時に最大給液・最大風量へ戻し、排水や液冷媒は確認しない
(3) 給液・送風・除霜弁を設計順序で制御し、終了判定、液排出・均圧、滴下時間、冷却再開、コイル冷却後の送風復帰を確認する
(4) ホットガスを入れれば凝縮した液は必ず安全に消える
(5) 吸入液分離器があればシーケンスは不要である
採点結果と誤答別の復習先
| 正解数 | 理解度 | 次の行動 |
|---|---|---|
| 5問 | 計算・診断・復帰が定着 | 第2回へ進む |
| 3〜4問 | 過熱度か除霜を再確認 | 誤答だけ解き直す |
| 0〜2問 | 熱と冷媒の流れを整理 | 本解説へ戻る |
- 問1を誤答:出口-入口の比エンタルピー差へ質量流量を掛ける
- 問2を誤答:実測温度と同じ位置の圧力から飽和温度を求める
- 問3を誤答:供給方式と管内・管外の構造を分ける
- 問4・5を誤答:霜・融解水・液冷媒・送風復帰を一連のシーケンスで見る
次の練習と学習ルート
まとめ
蒸発器の冷凍能力は冷媒循環量と比エンタルピー差、出口過熱度は実測温度と圧力に対応する飽和温度から求めます。単一の値だけで冷媒不足や正常を断定しないことが重要です。
着霜時は伝熱と通風の両方が悪化します。除霜は霜を溶かして終わりではなく、液排出、滴下、冷却再開、送風復帰までを安全なシーケンスとして管理します。
最終更新日:2026年7月29日
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