建築物環境衛生管理技術者 給水及び排水の管理

【ビル管理士・給排水】給湯設備とレジオネラ対策(中央式・局所式・貯湯槽・60℃以上管理)

レジオネラ対策の温度管理 ― 数値を暗記!
60℃↑
貯湯槽の温度 ― 必ず60℃以上で貯湯
55℃↑
末端の給湯温度 ― 配管末端でも55℃以上
20-50℃
レジオネラ菌の増殖範囲(この温度帯を避ける!)
36-43℃
レジオネラ菌の最適増殖温度(最も危険!)

結論:給湯設備は「温度管理がすべて」──レジオネラ対策の要

結論から言います。給湯設備の管理で最も重要なのは「温度管理」です。なぜなら、お湯の温度が下がるとレジオネラ属菌が爆発的に増殖するからです。

レジオネラ属菌は、20〜45℃のぬるま湯で最もよく繁殖します。人間が「ちょうどいい温度」と感じるお湯は、レジオネラにとっても「住みやすい環境」なのです。だからこそ、貯湯槽の温度を60℃以上に保つことが、レジオネラ対策の大原則になります。

ビル管理士(建築物環境衛生管理技術者)試験では、給湯方式の種類と比較レジオネラ対策の温度基準が超頻出です。この記事では、中央式と局所式の違いから、レジオネラ対策の具体的方法まで網羅します。

給湯方式の種類

給湯方式は、大きく「中央(セントラル)給湯方式」「局所給湯方式」の2つに分かれます。

中央(セントラル)給湯方式

ボイラー室や機械室に大型の加熱装置と貯湯槽を設置し、建物全体にお湯を供給する方式です。

ホテル、病院、大規模オフィスビルなど、多くの箇所で同時にお湯を使う建物で採用されます。機械室のボイラーで水を加熱し、貯湯槽(お湯を溜めるタンク)に蓄えます。そこから配管を通じて各階の洗面所・シャワー・厨房などに送り届けます。

ホテルで朝一番にシャワーを浴びるとき、蛇口をひねるとすぐにお湯が出ますよね。これは地下の機械室にある大型貯湯槽で常にお湯が準備されているからです。何百室ものゲストが同時にシャワーを使っても湯量が足りるよう、大容量のシステムが組まれています。

項目 内容
加熱装置 ボイラー、ヒートポンプ、真空式温水発生機など
貯湯槽 加熱した湯を溜めるタンク。60℃以上で保温
給湯循環方式 配管内のお湯を循環させ、蛇口を開けたらすぐに湯が出るようにする

局所給湯方式

お湯を使う場所のすぐ近くに小型の給湯器を設置する方式です。

ガス瞬間湯沸かし器、電気温水器、小型の貯湯式給湯器など、使用場所ごとに個別に設置します。小規模な事務所の給湯室やトイレの手洗いなどで使われます。

家庭のキッチンに付いているガス給湯器をイメージすると分かりやすいでしょう。蛇口を開けると自動的にバーナーが着火し、使うたびにお湯を作るタイプです。

項目 内容
メリット 配管が短い、熱損失が少ない、個別制御可能
デメリット 多箇所に設置するとメンテナンス負担増、大量給湯には不向き

中央式 vs 局所式の比較

比較項目 中央給湯 局所給湯
適する建物 大規模(ホテル・病院) 小規模(事務所・店舗)
配管長さ 長い(熱損失あり) 短い(熱損失少ない)
レジオネラリスク 貯湯槽があるため要管理 瞬間式なら低リスク
試験のポイント:中央給湯方式は「大規模向け・貯湯槽あり・レジオネラ対策が必要」、局所給湯方式は「小規模向け・配管短い・熱損失少ない」が定番の出題パターンです。

給湯循環方式(★重要★)

中央給湯方式では、給湯管内のお湯を常に循環させる「給湯循環方式」が採用されます。

もし循環させないとどうなるか。配管内のお湯が冷めてしまい、蛇口を開けたときにしばらく冷たい水が出てから、ようやくお湯に変わります。ホテルの客室でシャワーを浴びるたびに1分も待たされたら、お客様は不満に思いますよね。

循環方式では、給湯管と返湯管で配管をループ状に結び、循環ポンプでお湯を回し続けます。こうすることで、蛇口を開けた瞬間から温かいお湯が出ます。さらに、配管内の湯温が下がらないため、レジオネラ対策としても有効です。

返湯温度の管理

循環して戻ってきたお湯(返湯)の温度が低いと、配管内でレジオネラ属菌が繁殖するリスクがあります。返湯温度は55℃以上を維持することが推奨されています。

レジオネラ対策(★超頻出★)

レジオネラ属菌とは?

レジオネラ属菌は、水中に生息する細菌で、汚染されたエアロゾル(微小な水滴)を吸い込むことでレジオネラ肺炎を引き起こします。重症化すると死亡するケースもある危険な感染症です。

レジオネラは20〜45℃で増殖し、36℃前後が最も活発です。つまり、ぬるいお湯の中が最も危険です。逆に55℃以上では増殖が抑制され、60℃以上で死滅します。

2000年代に入ってから、温泉施設や入浴施設でのレジオネラ集団感染が社会問題になりました。ビルの給湯設備も同様のリスクを抱えているため、ビル管理士には適切な管理が求められます。

温度管理の基準(★最重要★)

箇所 温度基準
貯湯槽内 60℃以上に保温
末端の蛇口(給湯栓) 55℃以上を維持

「貯湯槽60℃以上、末端55℃以上」──この2つの数字は、ビル管理士試験で繰り返し問われる最重要数値です。

なぜ60℃かというと、レジオネラ属菌は60℃で5分間加熱すると死滅するからです。貯湯槽を60℃以上に保つことで、槽内でのレジオネラ増殖を防ぎます。末端が55℃以上なのは、配管途中で5℃程度温度が下がることを考慮した数値です。

レジオネラ対策の具体的方法

対策 内容
温度管理 貯湯槽60℃以上、末端55℃以上
給湯循環 配管内のお湯を常時循環させ、温度低下を防ぐ
滞留水の排除 使われていない配管や行き止まり管を撤去。滞留する水はレジオネラの温床
貯湯槽の清掃 定期的に底部の沈殿物を排出。スケールや汚泥がレジオネラの栄養源になる
高温フラッシング 配管内に70℃以上の高温湯を一定時間流して殺菌する(定期的に実施)
注意:貯湯槽の温度を60℃以上に保っていても、配管の行き止まり部分(デッドレッグ)や使用頻度の低い蛇口では湯温が下がり、レジオネラが繁殖するリスクがあります。「一部でも温度が下がる箇所はないか」を常に意識しましょう。

貯湯槽の種類と構造

密閉式と開放式

種類 特徴
密閉式 加圧された状態でお湯を貯留。外気と触れないため衛生的。現在の主流
開放式 大気に開放された状態。外気と接触するため汚染リスクあり。古い建物に残存

加熱方式

方式 仕組み
間接加熱 蒸気や温水をコイル(熱交換器)に通して加熱。飲料水と加熱媒体が混ざらない
直接加熱 蒸気を直接水に吹き込んで加熱。効率は良いが蒸気の水質管理が必要

一般的なビルでは密閉式・間接加熱の組み合わせが主流です。ボイラーで発生した蒸気を貯湯槽内のコイルに通し、間接的に水を加熱します。こうすることで、ボイラー水(薬品が添加されている)と給湯水が混ざる心配がありません。

給湯配管の膨張対策

給湯管には、給水管にはない特有の問題があります。それは「熱膨張」です。

お湯が通る配管は温度変化によって伸び縮みします。たとえば、20mの銅管を20℃から60℃に温めると、約7mm伸びます。たった7mmと思うかもしれませんが、この伸びを逃がす仕組みがないと、接続部に無理な力がかかって漏水の原因になります。

対策として、以下の方法が用いられます。

  • 伸縮継手(エキスパンションジョイント):配管の途中に伸び縮みを吸収する継手を設置
  • フレキシブルジョイント:柔軟な継手で熱膨張を吸収
  • 配管の固定方法の工夫:一定間隔でスライドできる支持金具を使用

また、給湯配管には膨張タンク(膨張水槽)を設けます。水は温度が上がると体積が増えるため、膨張した分の水を逃がすためのタンクです。膨張タンクがないと、配管内の圧力が上昇して安全弁が作動したり、最悪の場合は配管が破裂したりします。

理解度チェック

【第1問】給湯方式の比較

給湯方式に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(1) 中央給湯方式は、ホテルや病院などの大規模建物に適している。
(2) 局所給湯方式は、配管が短いため熱損失が少ない。
(3) 中央給湯方式の貯湯槽は、レジオネラ対策として40℃以上に保温する。
(4) 局所給湯方式のガス瞬間湯沸かし器は、使用時のみ加熱するため待機中の熱損失がない。
(5) 給湯循環方式は、配管内のお湯を常時循環させることで蛇口から即座にお湯が出るようにする方式である。

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正解:(3)
貯湯槽の温度は60℃以上に保温する必要があります。40℃ではレジオネラ属菌の増殖適温域であり、まったく不十分です。「貯湯槽60℃以上、末端55℃以上」が正しい基準です。

【第2問】レジオネラ対策

レジオネラ属菌の対策に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

(1) 貯湯槽内の温度を60℃以上に保つ。
(2) 給湯末端の温度を55℃以上に維持する。
(3) 配管内のお湯を循環させて温度低下を防ぐ。
(4) 使用頻度の低い蛇口の配管を行き止まりのまま残しておく。
(5) 貯湯槽の底部の沈殿物を定期的に排出する。

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正解:(4)
使用頻度の低い蛇口の配管を行き止まりのまま残しておくのは最も危険な行為です。行き止まり管(デッドレッグ)ではお湯が滞留し、温度が下がってレジオネラ属菌の温床になります。使用しない配管は撤去するか、定期的にフラッシングして滞留水を排除する必要があります。

【第3問】給湯循環方式

中央給湯方式における給湯循環に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

(1) 給湯循環方式では、給湯管のみを使用し返湯管は不要である。
(2) 循環ポンプは、夜間のみ運転すればよい。
(3) 返湯温度は55℃以上を維持することが推奨される。
(4) 給湯循環はレジオネラ対策には効果がない。
(5) 循環方式を採用すると、蛇口からお湯が出るまでに時間がかかる。

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正解:(3)
返湯温度は55℃以上を維持することが推奨されています。(1)は誤りで、給湯循環方式には給湯管と返湯管の2本がセットで必要です。(2)は誤りで、循環ポンプは原則24時間連続運転です。(4)は誤りで、配管内の湯温低下を防ぐことでレジオネラ対策に有効です。(5)は逆で、循環方式は蛇口を開けたらすぐにお湯が出るようにする仕組みです。

【第4問】給湯配管

給湯配管に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

(1) 給湯管は温度変化により伸縮するため、伸縮継手を設ける。
(2) 膨張タンクは、温度上昇による水の体積増加を吸収するための装置である。
(3) 銅管は給湯管に適しているが、初期に青水が出ることがある。
(4) 給湯管には、給水管と同じ管種を使用しなければならない。
(5) 密閉式貯湯槽は、開放式に比べて衛生面で優れている。

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正解:(4)
給湯管と給水管は必ずしも同じ管種を使う必要はありません。給湯管には耐熱性が求められるため、銅管やステンレス鋼管、耐熱性の樹脂管など、高温に適した材質を選定します。給水管とは要求性能が異なるため、それぞれに適した管種を選びます。

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まとめ

この記事では、給湯設備とレジオネラ対策について解説しました。最後に重要ポイントを振り返りましょう。

テーマ 暗記ポイント
中央給湯方式 大規模向け、貯湯槽あり、レジオネラ対策必須
貯湯槽の温度 60℃以上
末端蛇口の温度 55℃以上
レジオネラ増殖温度 20〜45℃(36℃前後が最も活発)
デッドレッグ 行き止まり管は撤去するか定期フラッシング
膨張タンク 給湯管の熱膨張による圧力上昇を吸収

給湯設備の管理は、レジオネラ対策を中心にビル管理士試験で頻出のテーマです。「貯湯槽60℃以上・末端55℃以上」の温度管理を軸に、しっかり覚えておきましょう。

給水設備全般については給水方式と給水設備を、配管のトラブル対策については給水設備の保守管理をあわせて確認してください。

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