ボイラーの取扱い ミニテスト

キャリオーバ量・泡立ち・見掛け水位をデータから判定する問題5問【第1回】

この5問では、キャリオーバ量の計算、プライミングとホーミングの識別、見掛け水位の変化、過熱を伴う低水位への初動を確認します。

水位計の指示だけで決めず、蒸気流量・給水流量・圧力・水質・管壁温度を組み合わせて判断するのがポイントです。

先に押さえる結論

現象 読み取るデータ 基本判断
プライミング 高水位、急な負荷増加・圧力低下、水面の激しい動揺 水滴が蒸気に同伴する
ホーミング 持続する細かい泡、高い濃縮度、油分などの混入 泡が蒸気側へ持ち上がる
シュリンク 負荷低下、圧力上昇、蒸気泡の収縮 実水量が急減していなくても指示水位が下がる
過熱を伴う低水位 水位消失、管壁温度上昇、燃料遮断作動 燃焼停止を維持し、急な給水を避けて点検する

水位異常を見分ける順序

確認順 確認するもの 判断の目的
1 燃料遮断・警報・管壁温度 低水位と過熱の危険を最優先で除外する
2 蒸気流量・給水流量・胴圧力 実際の収支と見掛け水位を区別する
3 水位計の吹出し試験・別系統の指示 計器や連絡管の異常を切り分ける
4 ボイラー水と復水の水質 濃縮や油分混入による泡立ちを確認する

以下はすべて当サイト作成の独自問題です。数値は問題演習用に設定しています。

問1 キャリオーバによる持込み量

蒸気発生量が2,000 kg/hのボイラーで、蒸気に同伴するボイラー水が蒸気量の0.5質量%であった。ボイラー水中のシリカ濃度は80 mg/L、水の密度は1 kg/Lとする。蒸気系へ持ち込まれるシリカ量として最も近いものはどれか。

  1. 0.08 g/h
  2. 0.4 g/h
  3. 0.8 g/h
  4. 8 g/h
  5. 80 g/h
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正解:3 0.8 g/h

同伴水量は2,000×0.005=10 kg/h、密度から約10 L/hです。したがってシリカは80 mg/L×10 L/h=800 mg/h=0.8 g/hです。割合が小さくても、連続運転では過熱器や蒸気使用設備への付着要因になります。

問2 高水位と負荷急増後の現象

胴水位が高めの状態で蒸気需要が急増し、胴圧力が低下した直後から水面が激しく動揺した。ボイラー水の電気伝導率は管理範囲内だが、蒸気配管側で水滴の同伴が確認された。最も考えられる現象はどれか。

  1. 高濃縮だけを原因とするホーミング
  2. 急な蒸発と水面動揺によるプライミング
  3. 負荷低下によるシュリンク
  4. 水位計蒸気側連絡管の閉塞
  5. 給水温度低下だけによる低水位
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正解:2 急な蒸発と水面動揺によるプライミング

高水位と急な負荷増加・圧力低下は、沸騰を激しくして水滴を蒸気側へ同伴させやすい条件です。電気伝導率が管理範囲内で、持続的な細かい泡よりも水面の激しい動揺が中心なので、プライミングと判断します。

問3 持続する泡立ちへの対応

負荷は安定しているが、水面に細かい泡が持続し、ボイラー水の電気伝導率が管理上限を超えている。さらに回収復水から油分が検出された。最も適切な対応はどれか。

  1. 主蒸気弁を急開して泡を蒸気側へ排出する
  2. 水位指示だけを見て給水を最大にする
  3. 燃焼量を抑え、水位を確認し、汚染復水を切り離して所定のブローと水質調整を行う
  4. 安全弁の設定圧力を上げる
  5. 油分があっても電気伝導率だけを下げれば運転を続ける
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正解:3 負荷を抑え、汚染源を切り離して水質を是正する

高い濃縮度と油分は泡を安定させ、ホーミングとキャリオーバを招く組合せです。まず燃焼と水位を安定させ、汚染復水の流入を止めます。そのうえで、急激な大量ブローではなく、設備の手順と水質基準に従ってブロー・給水・分析を行います。

問4 負荷低下時に指示水位が下がった

蒸気負荷が急に低下し、蒸気流量が減少、胴圧力は上昇した。給水流量は直前とほぼ同じなのに、胴水位の指示が一時的に下がった。このときの判断として最も適切なものはどれか。

  1. 蒸気泡の収縮によるシュリンクの可能性があり、流量・圧力と併せて確認する
  2. 必ず胴内の水が急減したので、直ちに給水弁を全開にする
  3. 負荷低下時には必ずスウェルが起こる
  4. 指示低下はボイラー水のシリカ濃度だけで決まる
  5. 圧力上昇は低水位燃料遮断装置の故障を意味する
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正解:1 シュリンクの可能性を考えて複数データで確認する

負荷低下で胴圧力が上がると、胴水中の蒸気泡が収縮し、実際の水量が急減していなくても指示水位が下がることがあります。これがシュリンクです。水位だけに反応して過剰給水すると、その後の高水位を招くため、蒸気・給水流量と圧力を併せて判断します。

問5 過熱を伴う低水位の初動

水面計から水位が見えなくなり、低水位燃料遮断装置が作動した。管壁温度も通常より著しく高く、過熱の疑いがある。最も適切な初動はどれか。

  1. 燃料遮断を解除し、水位を確認しながら燃焼を続ける
  2. 燃焼停止を維持し、設備の手順に従って隔離・冷却・点検し、状態確認前の強制給水を避ける
  3. 安全弁を固定して圧力低下を防ぐ
  4. 主蒸気弁を急開して胴内を急冷する
  5. 水位計に水が見えるまで直ちに給水弁を全開にする
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正解:2 燃焼停止を維持し、急な給水を避けて点検する

過熱した伝熱面へ急に給水すると、大きな熱応力や損傷につながるおそれがあります。燃料を遮断したまま設備を安全に隔離し、実水位・過熱・損傷の有無を確認します。低水位時の操作はボイラー形式と状態で異なるため、設備固有の取扱手順を優先します。

採点結果の見方

正解数 復習ポイント
5問 運転データから現象と初動を切り分けられています。
3~4問 プライミング/ホーミングと、スウェル/シュリンクの組合せを整理しましょう。
0~2問 水位計の指示だけでなく、圧力・流量・水質を見る順序から復習しましょう。

関連する解説と次の問題

公式資料

公式資料の確認日:2026年7月31日。実機の操作では、法令・メーカーの取扱説明書・事業場の運転手順を優先してください。

まとめ

キャリオーバは、同伴水量と不純物濃度から影響量を見積もれます。水位異常では、プライミングやホーミングだけでなく、圧力変化で起こる見掛け水位も切り分けます。低水位と過熱が疑われるときは燃焼停止を維持し、状態を確認する前の急な給水を避けるのが安全側の判断です。

最終更新日:2026年7月31日

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