ねずみ、昆虫等の防除 建築物環境衛生管理技術者

【ビル管理士・ねずみ昆虫】蚊・ハエ・その他の害虫と媒介疾病(アカイエカ・チカイエカ・トコジラミ・感染症の対応表)

結論:蚊の種類と媒介する感染症の組み合わせが試験で繰り返し問われます

ビル管理士試験の「ねずみ、昆虫等の防除」科目では、蚊・ハエ・トコジラミなど、さまざまな害虫が出題されます。特に蚊の種類と媒介する疾病の組み合わせは定番の出題パターンです。

たとえば「デング熱を媒介する蚊は?→ヒトスジシマカ」「地下の汚水槽で繁殖する蚊は?→チカイエカ」のように、種類・繁殖場所・媒介疾病をセットで覚えるのが得点のコツです。

この記事では、蚊・ハエ・トコジラミ・ノミなどの害虫の生態と、害虫が媒介する疾病の対応表を整理します。ねずみの生態と防除法ゴキブリ・ダニの生態と防除法とあわせて学習し、科目全体の得点力を高めましょう。

蚊の種類と生態

ビル管理で問題になる蚊は、主にアカイエカチカイエカヒトスジシマカの3種です。それぞれ繁殖場所と吸血の特徴が大きく違います。

項目 アカイエカ チカイエカ
繁殖場所 屋外の水たまり、下水溝、雨水枡 ビル地下の汚水槽・湧水槽・雑排水槽
吸血時間帯 夜間に吸血する 昼夜を問わず吸血する
産卵の特徴 吸血しないと産卵できない 最初の産卵は無吸血で可能
越冬 成虫で越冬(休眠状態になる) 地下で年中活動(冬でも繁殖できる)
媒介する疾病 日本脳炎(コガタアカイエカが媒介) 直接的な疾病媒介は少ないが不快害虫として重要

続いて、近年注目されるヒトスジシマカの特徴です。

項目 ヒトスジシマカ
外見 黒い体に白い縞模様が特徴(いわゆる「ヤブ蚊」)
繁殖場所 屋外の小さな水たまり(空き缶・古タイヤ・植木鉢の受け皿・墓石の花立て)
吸血時間帯 昼間に吸血する(他の多くの蚊と異なる大きな特徴)
媒介する疾病 デング熱、ジカウイルス感染症、チクングニア熱
活動季節 5〜10月頃(卵で越冬する)
試験のポイント
蚊の出題で最重要なのは次の3点です。
1. チカイエカはビルの地下で年中繁殖し、最初の産卵は吸血なしで可能(無吸血産卵)
2. ヒトスジシマカ昼間に吸血し、デング熱を媒介する
3. コガタアカイエカ日本脳炎を媒介する(水田地帯に多く、ブタが増幅動物)

ビルにおける蚊の発生と対策

ビルの地下には汚水槽や湧水槽があり、ここがチカイエカの絶好の繁殖場所になります。チカイエカは冬場でもビルの暖かい地下で活動できるため、「冬なのに蚊に刺された」という苦情の原因はたいていチカイエカです。

蚊の防除の基本は発生源対策(幼虫対策)です。成虫を殺虫剤で駆除するより、そもそも蚊が発生しない環境をつくるほうが効果的です。具体的には次のような対策を行います。

  • 汚水槽・雑排水槽のふたを隙間なく密閉して、蚊の出入りを防ぐ
  • 排水槽の清掃を定期的に行い、有機物(蚊の幼虫のエサとなる汚泥)を除去する
  • 屋外の不要な水たまり(空き缶・古タイヤ・バケツ・植木鉢の受け皿)をなくす
  • 必要に応じて、幼虫(ボウフラ)の生息する水面に昆虫成長制御剤(IGR)を投入する
  • 排水槽の通気管に防虫網を取り付けて、成虫の外部への飛散を防止する

ハエの種類と生態

ビルで問題になるハエには複数の種類があります。それぞれ発生場所が異なるのが特徴です。

ハエの種類 特徴と発生場所
イエバエ 最も一般的なハエ。ごみ集積所や畜舎周辺で発生。体表に病原体を付着させて食品を汚染し、消化器系の感染症(赤痢・腸チフスなど)を機械的に媒介する可能性がある
チョウバエ 排水管周り・浴室・トイレなど湿った場所に発生する小型のハエ。体が毛で覆われ蝶のような翅を持つ。排水トラップ内の有機物(汚泥・ヌメリ)の中で幼虫が育つ
ノミバエ 非常に小さく(体長2〜3mm)、動きが素早い。腐った食品や生ゴミから発生する。食品衛生上の問題が大きい
ショウジョウバエ 熟した果物やアルコール飲料(ビール・ワイン)に集まる小型のハエ。飲食店の厨房やバーで問題になることが多い
試験のポイント
ビルの排水管まわりで発生するチョウバエは試験によく出ます。「排水トラップ内の汚泥で幼虫が育つ」「浴室やトイレの壁にとまっている」という出題パターンです。対策は排水管・排水トラップの清掃が基本であり、殺虫剤だけでは根本的な解決にはなりません。

トコジラミ(ナンキンムシ)

近年、日本でも大きな問題になっているのがトコジラミ(ナンキンムシ)です。海外からの旅行者のスーツケースや衣類に付いて持ち込まれ、ホテルや宿泊施設を中心に被害が急増しています。名前に「シラミ」とありますが、シラミの仲間ではなくカメムシ目に属する昆虫です。

項目 トコジラミの特徴
体長 約5〜8mm(扁平な楕円形、吸血後は丸く膨らむ)
吸血行動 夜間に人を吸血する。刺されると強いかゆみが生じる
隠れ場所 ベッドの隙間・マットレスの縫い目・壁紙の裏・家具の隙間・額縁の裏
殺虫剤抵抗性 ピレスロイド系殺虫剤に抵抗性を持つ個体が世界的に増加中
飛翔能力 翅が退化しているため飛べない。歩行で移動する
発見の手がかり シーツやマットレスに黒い血糞(けっぷん=消化された血液の糞)が点々と付着
注意
トコジラミは近年急増しており、試験での出題頻度も上がっています。特に「ピレスロイド系殺虫剤に対する抵抗性(薬剤耐性)を持つ個体が増えている」という点は要注意です。対策としては、高温処理(スチーム処理・高温乾燥機)や、抵抗性のない薬剤(プロポクスルなどのカーバメート系)を使う方法が有効です。

ノミの種類

建物で問題になるノミはネコノミが最も多い種類です。名前は「ネコ」ノミですが、猫だけでなく犬や人にも吸血被害を与えます。現在の日本では、イヌノミやヒトノミよりも圧倒的にネコノミの被害報告が多いのが現状です。

ノミの防除は、宿主となるペットの駆除処理と、床面やカーペットへの殺虫剤散布を組み合わせて行います。ノミの卵は宿主の体から床に落ちてカーペットの奥に入り込み、そこで幼虫が育つため、念入りな掃除機がけも重要な対策です。ノミの幼虫は成虫と違って吸血せず、床のほこりや有機物を食べて成長します。

害虫・害獣と媒介疾病の対応表

試験では「この害虫はどんな疾病を媒介するか?」という問題がよく出ます。次の対応表は頻出なので、しっかり覚えておくと確実に得点できます。

害虫・害獣 媒介する疾病
ヒトスジシマカ デング熱、ジカウイルス感染症、チクングニア熱
コガタアカイエカ 日本脳炎
ハマダラカ マラリア
ネズミ レプトスピラ症(ワイル病)、サルモネラ症、ペスト(ネズミのノミを介して)
ゴキブリ サルモネラ菌・赤痢菌等を体に付着させて機械的に運ぶ
イエバエ 消化器系感染症(赤痢・腸チフスなど)を体表で機械的に運ぶ
ツツガムシ つつが虫病(リケッチアによる感染症)
マダニ 重症熱性血小板減少症候群(SFTS)、日本紅斑熱、ライム病
試験のポイント
最もよく出る組み合わせは「ヒトスジシマカ→デング熱」「コガタアカイエカ→日本脳炎」「ネズミ→レプトスピラ症」の3つです。また、感染症法の分類では、デング熱は四類感染症、日本脳炎も四類感染症に分類されています。四類感染症は「動物や蚊・ダニなどの媒介動物から人に感染する疾病」が中心で、人から人への直接的な感染は基本的にないのが特徴です。

感染症法での分類

感染症法(感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律)では、感染症を危険度に応じて一類から五類に分類しています。害虫・害獣が媒介する感染症は主に四類感染症に分類されます。

分類 主な疾病(害虫関連)
四類感染症 デング熱、日本脳炎、マラリア、つつが虫病、レプトスピラ症、SFTS、ジカウイルス感染症、チクングニア熱

四類感染症は動物や蚊・ダニなどの媒介動物から人に感染する疾病が中心です。人から人への直接感染は基本的にないのが特徴です。医師は四類感染症の患者を診断したとき、ただちに最寄りの保健所に届け出る義務があります。この「ただちに届出」という点も試験で問われることがあります。

確認クイズ

ここまでの内容を確認しましょう。

Q1. デング熱を媒介する蚊はどれか。

(1) アカイエカ (2) チカイエカ (3) コガタアカイエカ (4) ヒトスジシマカ (5) ハマダラカ

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正解:(4)
デング熱を媒介するのはヒトスジシマカです。黒い体に白い縞模様が特徴で、昼間に吸血します。コガタアカイエカは日本脳炎、ハマダラカはマラリアを媒介します。

Q2. チカイエカに関する記述のうち、最も適当なものはどれか。

(1) 屋外の水田で主に繁殖する (2) 最初の産卵には必ず吸血が必要である (3) ビル地下の汚水槽等で繁殖し、冬季も活動する (4) 昼間だけ吸血し、夜間は活動しない (5) マラリアを媒介する

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正解:(3)
チカイエカはビル地下の汚水槽・湧水槽で繁殖し、冬季でも暖かい地下で活動を続けます。最初の産卵は無吸血で可能(吸血なしに産卵できる)という特徴も重要なポイントです。

Q3. トコジラミ(ナンキンムシ)に関する記述のうち、最も適当なものはどれか。

(1) 飛翔能力があり、素早く飛んで移動する (2) 昼間に活動して吸血する (3) すべての殺虫剤に対して感受性が高い (4) ピレスロイド系殺虫剤に抵抗性を持つ個体が増加している (5) 主に食品を汚染する害虫である

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正解:(4)
トコジラミは翅が退化しており飛べません。夜間に人を吸血し、近年はピレスロイド系殺虫剤に対する抵抗性(薬剤耐性)を持つ個体が世界的に増加していることが大きな問題です。

Q4. 害虫と媒介疾病の組み合わせとして、誤っているものはどれか。

(1) ヒトスジシマカ ― デング熱 (2) コガタアカイエカ ― 日本脳炎 (3) ハマダラカ ― マラリア (4) ツツガムシ ― つつが虫病 (5) チカイエカ ― レプトスピラ症

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正解:(5)
レプトスピラ症はネズミが媒介する疾病であり、チカイエカとは関係ありません。チカイエカはビル地下で発生する不快害虫ですが、主要な疾病の媒介はしません。(1)〜(4)はすべて正しい組み合わせです。

まとめ

項目 要点
アカイエカ 夜間吸血。コガタアカイエカは日本脳炎を媒介する
チカイエカ ビル地下で年中繁殖。最初の産卵は無吸血で可能
ヒトスジシマカ 昼間吸血。デング熱を媒介。屋外の小さな水たまりで繁殖
チョウバエ 排水管まわりに発生。排水トラップの清掃が対策の基本
トコジラミ 近年急増。夜間吸血。ピレスロイド系に抵抗性を持つ個体が問題
ネコノミ 建物で最も多いノミ。人にも吸血被害を与える
疾病対応 デング熱・日本脳炎・レプトスピラ症の媒介動物を必ず覚える。四類感染症が中心

ビル管理士試験の科目別ロードマップで、効率よく学習を進めましょう。

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