ねずみ、昆虫等の防除 建築物環境衛生管理技術者

ゴキブリ・ダニの防除|指数は上位30%・湿度70%が分かれ目

ゴキブリ指数を「全トラップの捕獲数の平均」で出していませんか。それでは水準判定を間違えます。厚生労働省の「建築物における維持管理マニュアル」が定める計算は、配置したトラップ10個までは上位3つ、それ以上なら上位30%のトラップだけを使う方法です。平均で出すと、措置水準の現場を警戒水準と読み違えます

もう1つ。「チャバネゴキブリは繁殖力が高い」——中身を産卵回数だと思っていると誤ります。産卵回数はクロゴキブリが生涯20〜30回、チャバネは5〜7回で、クロのほうが多いのです。差がつくのは生育期間で、クロが1年以上、チャバネは2.5〜3か月です。

制度・資料確認日:2026年8月5日。建築物における衛生的環境の確保に関する法律施行令・施行規則はe-Gov法令検索のAPIで条文XMLを取得して原文を確認し、調査法と目標水準は厚生労働省「建築物における維持管理マニュアル」(平成20年1月)、ゴキブリとダニの生態は千葉市保健所の公開資料によりました。

結論|ゴキブリは「指数」、ダニは「湿度」で決まる

同じ「ねずみ、昆虫等の防除」でも、ゴキブリとダニでは管理の軸がまったく違います。

対象 管理の軸 基準になる数字
ゴキブリ 粘着トラップの捕獲指数 許容0.5未満/措置1以上
吸血性のダニ 捕獲指数(許容は0 措置1以上
ヒョウヒダニ等 相対湿度と除じん 70%以上で繁殖しやすい

ゴキブリは数えて判定します。ヒョウヒダニのようなアレルゲンになるダニは、数える前に環境(湿度とほこり)を管理します。この違いを押さえると、対策の優先順位が決まります。

防除の考え方の全体像(IPM)は「IPMと防除計画・調査法」、ねずみへの当てはめは「ねずみの生態と防除」で扱っています。

ゴキブリ指数は「上位30%」で計算する

まず調査方法から。維持管理マニュアルが定めるゴキブリの粘着トラップ調査は次のとおりです。

項目 基準
トラップの大きさ 粘着面が8cm×20cm程度
厨房など発生しやすい場所 5m²に1枚
事務所など通常発生源がない場所 25〜50m²に1枚
設置期間 3〜7日間
数え方 雌の卵鞘から明らかに孵化した幼虫は捕獲数に加えない
指数の単位 1日1トラップあたりに換算した数

そして肝心の計算方法です。マニュアルは注記でこう定めています。

捕獲指数は、配置したトラップ10個までは上位3つまで(0を含む場合もある)、それ以上配置した場合については、上位30%のトラップを用いて、1トラップに捕獲される数に換算した値で示す。

(建築物における維持管理マニュアル)

なぜ上位だけを使うのか。ゴキブリは建物全体に均一にいるわけではないからです。厨房の一角に集中し、他の場所ではゼロということが普通に起きます。全トラップで平均すると、この集中が薄まって消えてしまいます。防除が必要なのは密度の高い場所ですから、上位を見るのが理にかなっています。

【計算1】平均で出すと、措置水準が警戒水準に化ける

どれくらい結果が変わるのか、実際に計算します。

条件:厨房300m²に5m²あたり1枚=60枚3日間設置。総捕獲数130匹、うち上位18枚(30%)に108匹が集中

正しい計算:108匹 ÷ 18枚 ÷ 3日 = 指数2.0措置水準

平均で計算:130匹 ÷ 60枚 ÷ 3日 = 指数0.72 → 警戒水準

同じ調査結果で、すぐに防除作業が必要な状態環境整備を見直せばよい状態に分かれてしまいます。

トラップが少ないときは、差がもっと極端になります。

条件:事務所に10枚、3日間設置。総捕獲数12匹、うち上位3枚に9匹

正しい計算:9匹 ÷ 3枚 ÷ 3日 = 指数1.0措置水準

平均で計算:12匹 ÷ 10枚 ÷ 3日 = 指数0.40 → 許容水準

許容水準と措置水準——2段階の差が出ました。「調査したが問題なし」と報告された現場が、実は防除作業を要する状態だった、ということが起こり得ます。委託業者の報告書を見るときは、指数の計算に使ったトラップ枚数を確認してください。60枚配って60で割っていたら、計算方法が違います。

ゴキブリの標準的な目標水準

算出した指数を、次の基準に当てはめます。

水準 条件
許容水準
(全て該当)
①捕獲指数が0.5未満
②1個のトラップの捕獲数が2匹未満
③生きたゴキブリが目撃されない
警戒水準
(全て該当)
①捕獲指数が0.5以上1未満
②1個のトラップの捕獲数が2匹未満
③生きたゴキブリが時に目撃される
※許容にも措置にも当たらない場合は警戒水準
措置水準
(いずれか1つ以上)
①捕獲指数が1以上
②1個のトラップの捕獲数が2匹以上
③生きたゴキブリがかなり目撃される

見落としやすいのが②です。指数が低くても、1枚のトラップに2匹かかっていれば措置水準になります。平均も指数も基準内なのに、1枚だけ大量に捕れている——これは発生源がそこにあるサインです。

【計算2】12,000m²のビルで必要なトラップ枚数

設置密度を建物全体に当てはめると、調査の規模が見えます。

区域 面積・密度 枚数
厨房 300m²/5m²に1枚 60枚
事務所(25m²に1枚の場合) 8,700m² 348枚
事務所(50m²に1枚の場合) 8,700m² 174枚
合計 234〜408枚

数百枚を配って3〜7日後に回収し、1枚ずつ数える。これが基準どおりの調査です。「厨房に10枚置いて終わり」では、指数の計算以前に密度が基準の6分の1ということになります。作業計画書の枚数と対象面積は、必ず突き合わせてください。

チャバネとクロ|差は産卵回数ではなく生育期間

種類の違いを、千葉市保健所の資料で整理します。

項目 チャバネゴキブリ クロゴキブリ
成虫の体長 11〜15mm 約30mm
黄褐色、前胸背板に2本の細長い黒斑 黒褐色で光沢
生育期間 2.5〜3か月 1年以上
寒さ 弱い(暖房の普及で冬期の生育も可能) 比較的強い
卵鞘の扱い 雌が腹に抱えて歩き回る 産み落とし、物陰に唾液で貼り付ける
産卵から孵化 3〜4週間 約40日
産卵回数 生涯5〜7回 生涯20〜30回
生息場所 暖房が完備した大型ビル、高層マンション、病院、ホテル 共同住宅、日本家屋。ビルでは厨房、湯沸室

産卵回数だけ見ればクロゴキブリのほうが4倍多いのです。それでも厨房で問題になるのがチャバネなのは、生育期間が4分の1以下だからです。千葉市の資料も「適応力に優れ、他種に比べ成長速度が速く、増殖力が強いので新天地への侵入は一番早い」と書いています。

チャバネの産卵回数が少ないのには理由があります。卵鞘を抱えている間は次の産卵をしないからです。一方クロゴキブリは産み落とすので、夏なら3〜5日後には次の卵鞘を産めます。卵鞘を持ち歩く戦略は、卵を守る代わりに産卵回数を犠牲にしているわけです。

もう1種、ワモンゴキブリも押さえておきましょう。体長30〜40mmで黄褐色、前胸部に淡黄白色の輪紋があります。九州南部や四国に多い種ですが、暖房の完備されたビルでは東京や札幌でも確認されています

【計算3】世代の速さが1年で1,000倍の差になる

生育期間の差が何を生むか、単純化して計算します。

前提:1世代あたりの個体数の増え方を同じ10倍とし、生育期間だけを変える(生存率や死亡は考えない理論値)

チャバネ(生育期間3か月):1年で4世代 → 10410,000倍

クロ(生育期間1年以上):1年で1世代 → 10110倍

差 = 1,000倍

実際の増加は生存率や餌の量で変わりますから、これはあくまで世代数の効き方を見る計算です。それでも示唆は明確です。1世代あたりの繁殖力が同じでも、世代が4回まわれば結果は桁違いになる。チャバネの生育期間2.5か月なら年4.8世代で、差はさらに開きます。

だから防除では初動の速さが効きます。厨房で1匹見つけてから3か月放置すると、次の世代が成虫になっています。ビル管理では、暖房の効いた厨房・湯沸室は季節に関係なく通年で監視してください。チャバネは自然状態では越冬できませんが、暖房のあるビルでは1年中生息します。

防除の順序|環境整備 → 吸引 → 毒餌 → 散布

維持管理マニュアルが示す作業順序は明確です。いきなり薬剤を撒くことは想定されていません。

順番 方法 内容
1 環境的対策 食物管理(冷蔵庫・密閉キャビネットへ収納)、清掃管理(厨房機器の上下・裏、排水溝、グリストラップ、ゴミ箱)
2 吸引掃除機 生息ポイントを外さないよう吸い取る。残っていれば繰り返す
3 食毒剤(毒餌剤) 餌を整理した後、予防的な場所も含めて少量ずつ各所に配置。残量を数日ごとに確認し補充
4 散布処理 1〜3で不十分なとき、水性乳剤や懸濁剤(MC剤)などリスクのより少ない剤型を選び、隙間を重点に

2の掃除機で吸うという手順は、意外と知られていません。薬剤を使わずに個体数を確実に減らせて、抵抗性の問題も起きません。生息場所が分かっていて、ノズルが届くなら、まずこれです。

1の環境的対策について、マニュアルは「原則として建築物維持管理権原者の責任の下で行われなければならない」と明記しています。清掃と整理整頓は、防除業者ではなくビル側の仕事だということです。ここを業者任せにしている限り、防除は毎年同じところを繰り返します。

効果が出ないときの対応も定められています。ゴキブリを採集して、毒餌の喫食性や抵抗性獲得の有無を調査し、薬剤の変更等を考慮する。「効かないから量を増やす」ではありません。

薬剤の事前通知は「3日前」と「3日後」

殺虫剤を使うときの手続きも、マニュアルが具体的に定めています。

薬剤を処理する場合は、少なくとも3日前までに使用薬剤名、実施場所、においの程度、化学物質などの利用者への注意などを記載した事前通知書を作成して提示し、少なくとも実施3日後まで当該場所入り口に掲示しておく。

(建築物における維持管理マニュアル)

前に3日、後ろに3日。テナントへの周知は当日の朝では足りません。加えて、マニュアルは日常的に乳幼児がいる区域については薬剤処理を避けるとしています。

薬剤そのものにも制限があります。建築物衛生法施行規則第4条の5第2項は、殺そ剤・殺虫剤について医薬品医療機器等法の承認を受けた医薬品または医薬部外品を用いることと定めています。薬剤の分類と安全管理は「殺虫剤・殺鼠剤の分類と安全管理」で扱います。

ダニは「刺すもの」と「刺さないもの」を分ける

ダニは種類によって被害の性質がまったく違います。千葉市保健所の資料で整理します。

種類 大きさ・性質 被害
ヒョウヒダニ
イエササラダニ
コナダニ
体長約0.3mm。床・カーペット・畳・ふとんから検出。食べこぼし、フケ・垢、ほこり・カビが餌 刺さない・吸血しない。生体・死骸・糞の吸引がアレルギー疾患(小児ぜん息など)の原因になる
ツメダニ 体長0.5〜0.8mm、黄褐色〜茶褐色。他のダニやチャタテムシの体液を吸う 偶発的に人を刺し、かゆみの原因になる
イエダニ ねずみに寄生する吸血性のダニ 宿主を失うと人を吸血する
タカラダニ 体長約1mm、全身が鮮やかな赤色。5〜6月にコンクリート建築物の屋上・ベランダ・壁面 刺さない。数週間で自然にいなくなるため、特に対策は必要ない

ここで実務上いちばん大事なのは、ツメダニ対策は「ツメダニを叩く」ことではないという点です。千葉市の資料は「ツメダニの餌となる他のダニやチャタテムシを減らすことが必要」としています。刺されているからと殺虫剤を撒いても、餌が残っていれば再発します。

イエダニも同じ構造です。ねずみが死んだり巣を離れたときに人を吸血します。「ねずみの生態と防除」で触れた死鼠の除去後に周囲へ殺虫剤を散布するという手順は、このためのものです。

タカラダニについては、公的資料が「対策は必要ない」と明言していることを知っておくと役立ちます。5〜6月に屋上や外壁で赤い虫が大量に動いていると通報が入りますが、水で流す程度で足ります。不要な薬剤散布を避けられます。

相対湿度70%が分かれ目|管理基準との微妙な関係

ヒョウヒダニ対策の中心は湿度です。千葉市の資料はこう書いています。

室内の相対湿度は50〜60%が理想です。

相対湿度が70%以上になると、ダニが繁殖しやすくなります。また、湿度が高い家では、ダニの餌となるカビが生えやすくなります。

ここで建築物環境衛生管理基準を並べてみてください。建築物衛生法施行令第2条が定める相対湿度は40%以上70%以下です。

基準・目安 相対湿度
建築物環境衛生管理基準(施行令2条) 40%以上70%以下
ダニ対策として望ましい範囲 50〜60%
ダニが繁殖しやすくなる領域 70%以上

管理基準の上限70%は、ダニが繁殖しやすくなる境界とほぼ同じ位置にあります。つまり、法令基準を満たしていても、上限ぎりぎりで運用していればダニ対策としては不十分ということです。管理基準は人の快適性と健康を確保するための基準であって、ダニの繁殖を止めるための最適値ではありません。

アレルギーの相談が出ている区域では、基準の範囲内でさらに50〜60%を狙うのが実務的な答えになります。梅雨から夏にかけて、除湿の運転時間を延ばす判断がここから出てきます。

【計算4】ダニ対策の除じんは通常清掃の2.2倍かかる

湿度の次は除じんです。千葉市の資料は吸引時間まで示しています。

吸引時間は、畳1畳あたり1分、カーペットは1m²あたり20秒以上が理想(千葉市保健所)

一方、日常清掃の標準的な速度は1人8時間で3,200m² = 1m²あたり9.0秒

20 ÷ 9.0 = 約2.2倍の時間が必要

清掃計画と品質評価」で見た日常清掃の作業量では、ダニ対策としての除じんには足りません。カーペット敷きの1,000m²フロアを20秒/m²で吸引すると、20,000秒=5時間34分。畳の宴会場100畳なら100分です。

これは「清掃をもっと頑張れ」という話ではありません。日常清掃とは別に、定期的な除じん作業として作業時間と人員を確保するという計画の問題です。ダニのアレルギー相談が出ているのに日常清掃の仕様を変えないままでは、いつまでも解決しません。

ダニの目標水準は「捕獲指数0」が許容

イエダニなど吸血性のダニについては、維持管理マニュアルが水準を定めています。ゴキブリとの違いに注目してください。

水準 吸血性のダニ (参考)ゴキブリ
許容水準 捕獲指数が0 指数0.5未満
警戒水準 指数1未満、1個のトラップの捕獲数1匹以下 指数0.5以上1未満
措置水準 指数1以上、または1個のトラップに2匹以上 指数1以上、または1個に2匹以上

ゴキブリの許容水準が「0.5未満」であるのに対し、吸血性のダニの許容水準は「0」です。1匹でも捕れたら許容水準ではありません。人を刺す種であることを考えれば当然の設定です。

措置水準に該当した場合の手順も定められています。屋内塵を採集して飽和食塩水浮遊法など精密検査を行い、発生種を確認する。種類が分からないまま薬剤を選ぶことはできない、ということです。

現場では、この順で点検する

順番 見るところ 判断
1 トラップの枚数と対象面積 厨房5m²/事務所25〜50m²に1枚か
2 指数の計算根拠 上位30%(10枚までは上位3つ)か
3 1枚あたりの最大捕獲数 2匹以上なら発生源を探す
4 厨房機器の裏・排水溝・グリストラップ 清掃はビル側の責任
5 相対湿度の実測値 70%に近ければ除湿を強める
6 カーペット・畳の除じん仕様 20秒/m²、1畳1分を確保できているか
7 薬剤処理の掲示 3日前から3日後まで掲示したか

1と2は、業者の報告書を受け取った時点で確認できます。数字の出どころを確認するだけで、判定の誤りは大きく減ります。

理解度チェック|5択4問

Q1. 厨房300m²に粘着トラップを5m²あたり1枚(計60枚)、3日間設置したところ、総捕獲数は130匹で、上位30%にあたる18枚に108匹が捕獲された。建築物における維持管理マニュアルに基づくゴキブリ指数と水準の組み合わせとして正しいものはどれか。

(1) 0.72/警戒水準 (2) 0.72/許容水準 (3) 2.0/措置水準 (4) 2.0/警戒水準 (5) 6.0/措置水準

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正解:(3)
捕獲指数は上位30%のトラップを用いて、1日1トラップあたりに換算します。108 ÷ 18枚 ÷ 3日 = 2.0。指数1以上は措置水準です。(1)は全60枚で平均した誤った計算(130÷60÷3=0.72)、(5)は日数で割り忘れた値です。

Q2. チャバネゴキブリとクロゴキブリに関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

(1) チャバネゴキブリの生育期間は2.5〜3か月、クロゴキブリは1年以上である
(2) チャバネゴキブリの雌は卵鞘を腹に抱えて歩き回る
(3) クロゴキブリは卵鞘を産み落とし、物陰に唾液で貼り付ける
(4) 生涯の産卵回数は、チャバネゴキブリがクロゴキブリより多い
(5) チャバネゴキブリは自然状態では越冬できないが、暖房のあるビルでは1年中生息する

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正解:(4)
生涯の産卵回数はクロゴキブリが20〜30回、チャバネゴキブリが5〜7回で、クロのほうが多くなります。チャバネは卵鞘を抱えている間は産卵しないためです。チャバネの増殖力が強いとされるのは、産卵回数ではなく生育期間の短さによります。

Q3. ダニに関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

(1) ヒョウヒダニは人を刺さないが、死骸や糞がアレルギー疾患の原因になる
(2) ツメダニ対策は、餌となる他のダニやチャタテムシを減らすことが必要である
(3) タカラダニは人を刺さず、数週間で自然にいなくなるため特に対策は必要ない
(4) 吸血性のダニの許容水準は、捕獲指数0.5未満である
(5) 措置水準に該当した場合は、屋内塵を採集して飽和食塩水浮遊法などの精密検査を行う

解答を見る

正解:(4)
イエダニなど吸血性のダニの許容水準は捕獲指数が0です。0.5未満はゴキブリの許容水準の値です。人を刺す種であるため、1匹でも捕獲されれば許容水準を満たしません。

Q4. 特定建築物におけるゴキブリの防除に関する次の記述のうち、最も適当なものはどれか。

(1) 薬剤処理の通知は、実施当日の朝に掲示すればよい
(2) 環境的対策(清掃・整理整頓)は、原則として防除業者の責任で行う
(3) 効果が不十分なときは、まず薬剤の使用量を増やす
(4) 環境整備や毒餌で不十分な場合、水性乳剤や懸濁剤などリスクのより少ない剤型を選び、隙間を重点に処理する
(5) 粘着トラップに捕獲された個体は、孵化直後の幼虫も含めてすべて捕獲数に数える

解答を見る

正解:(4)
(1)は少なくとも3日前までに事前通知書を提示し、実施3日後まで掲示します。(2)の環境的対策は「原則として建築物維持管理権原者の責任の下で行われなければならない」とされています。(3)は、まず喫食性や抵抗性獲得の有無を調査して薬剤の変更等を考慮します。(5)は、雌の卵鞘から明らかに孵化したと考えられる幼虫で粘着面に捕獲されたものは捕獲数に加えません

公式の確認先

まとめ|数字の出どころを確認する

ゴキブリ指数は上位30%(トラップ10枚までは上位3つ)で計算し、1日1トラップあたりに換算します。全数平均で出すと、指数2.0の措置水準が0.72の警戒水準に、指数1.0の措置水準が0.40の許容水準に化けます。1枚に2匹以上捕れていれば、指数が低くても措置水準です。

トラップは厨房5m²に1枚、事務所25〜50m²に1枚、3〜7日間。延べ12,000m²のビルなら234〜408枚が目安です。孵化直後の幼虫は捕獲数に加えません。

チャバネとクロの差は産卵回数ではありません。産卵回数はクロ20〜30回、チャバネ5〜7回。決定的なのは生育期間(チャバネ2.5〜3か月、クロ1年以上)で、1世代あたりの増え方が同じでも、世代数の差で1年後には桁違いになります。

防除は環境整備 → 吸引掃除機 → 毒餌 → 散布の順。環境的対策は建築物維持管理権原者の責任です。薬剤処理の通知は3日前から3日後まで。効かないときは量を増やすのではなく、喫食性と抵抗性を調べます。

ダニは刺すものと刺さないものを分けます。ヒョウヒダニは刺さず、死骸と糞がアレルゲン。ツメダニ対策は餌になる他のダニを減らすこと。タカラダニは対策不要。吸血性のダニの許容水準は捕獲指数0です。

湿度は50〜60%が理想、70%以上で繁殖しやすい。建築物環境衛生管理基準の相対湿度は40〜70%ですから、上限ぎりぎりの運用はダニの繁殖域と重なります。除じんはカーペット20秒/m²、畳1畳1分——日常清掃の速度(9.0秒/m²)の約2.2倍の時間が要ります。

演習は「ゴキブリ・ダニの生態と防除法 ミニテスト第1回」へ、防除の全体像は「IPMと防除計画・調査法」、科目全体の攻略は「科目4・5・6・7の出題傾向と攻略法」で確認できます。

制度・資料確認日/最終更新日:2026年8月5日

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