管理技術者は特定建築物ごとに選任しますが、「1人1棟」へ一律制限する現行制度ではありません。2022年4月以降は、複数棟を兼任しても各棟の業務遂行に支障がないことを、特定建築物所有者等が確認します。
この第1回は、旧制度を見抜き、選任・兼任・意見具申・届出・記録をつなぐ5択5問です。管理技術者本人、所有者等、維持管理権原者の役割を入れ替えないように解いてください。
法令・資料確認日:2026年8月8日。建築物衛生法第5~7条・第10条、同法施行規則第5条・第20条、厚生労働省の改正後管理技術者選任Q&Aを確認しました。制度の詳しい説明は「建築物環境衛生管理技術者の職務と選任」に分け、このページは演習と誤答分析に特化しています。
解く前の3分整理|3者の役割を入れ替えない
| 主体 | 主な役割 | 試験での注意 |
|---|---|---|
| 所有者等 | 選任・届出・兼任確認 | 資格者任せにしない |
| 維持管理権原者 | 基準に従い管理する | 意見を尊重する |
| 管理技術者 | 維持管理を全般監督 | 行政命令は出さない |
「特定建築物ごとに選任」と「1人が1棟しか担当できない」は別の話です。兼任時は棟数や距離だけで決めず、各棟の管理状態、必要時間、設備、ICT、移動、ほかの業務まで見ます。
第1問|誰が、誰を選任するか
建築物環境衛生管理技術者の選任について、現行法に最も合うものはどれか。
- 都道府県知事が、保健所職員から選任する。
- 特定建築物所有者等が、免状を有する者から特定建築物ごとに選任する。
- 清掃業者が、免状の有無にかかわらず現場責任者を選任する。
- 管理技術者本人が、届出なしで自分を選任する。
- 建築物の利用者が、投票で選任する。
第2問|不適合を抱えたままの兼任判断
Aビルの管理技術者がBビルも兼任する計画である。Aビルでは空気環境の基準不適合が未是正で、既存業務だけで所定時間の大半を使っている。適切な判断はどれか。
- A・B間が近ければ、ほかの事情を確認せず兼任できる。
- 現行制度には3棟までという上限があるため、2棟なら必ず兼任できる。
- 管理技術者本人が可能と言えば、所有者等の確認は不要である。
- 既存棟の不適合と必要時間を含めて支障の有無を確認し、支障なしと言えなければ兼任させない。
- 2022年改正後も、すべての兼任が一律禁止されている。
第3問|兼任時の意見聴取と確認書
所有者とは別に維持管理権原者がいる特定建築物で、管理技術者を新たに複数棟兼任させる。手続として最も適当なものはどれか。
- 管理技術者の口頭申告だけで決め、記録は作らない。
- 維持管理権原者には知らせず、保健所が支障の有無を代わりに判断する。
- 所有者等が支障の有無を確認し、維持管理権原者の意見を聴き、確認結果と意見を記録して備える。
- 距離が1km未満なら、意見聴取と確認書を省略できる。
- ICTを導入していない建物は、内容にかかわらず兼任できない。
第4問|意見具申は命令ではない
管理技術者が、空気環境の不適合と再測定の必要を把握した。法第6条第2項に沿う対応はどれか。
- 管理技術者が行政上の改善命令を発し、建物使用を停止する。
- 都道府県知事の許可が出るまで、所有者等へ何も伝えない。
- 維持管理権原者へ必要な意見を述べ、相手方はその意見を尊重する。
- 意見を述べた時点で、相手方には内容どおり実施する絶対的義務が生じる。
- 測定会社が別会社なら、管理技術者は結果を評価しない。
第5問|1か月届出と5年帳簿を分ける
10月5日に管理技術者を変更した。届出と帳簿書類の扱いとして、最も適当なものはどれか。
- 変更届は不要で、維持管理帳簿は1年で廃棄する。
- 変更日から1か月以内に届け出て、維持管理状況等の帳簿は5年間保存する。
- 変更前7日までに厚生労働大臣へ届け出て、すべての図面を5年で廃棄する。
- 年度末に管理技術者本人が届け出ればよく、帳簿の保存義務はない。
- 次回立入検査までに届け出て、兼任確認書だけを5年間保存する。
採点|誰の判断・義務かを説明できるか
| 正解数 | 判定 | 次の行動 |
|---|---|---|
| 5問 | 現行制度は安定 | 全誤答の主体を訂正する |
| 4問 | 区別を1つ再確認 | 選任・兼任・意見を分ける |
| 2〜3問 | 旧制度が混在 | 2022年Q&Aへ戻る |
| 0〜1問 | 本記事から復習 | 法5・6・10条を読む |
特に「兼任できるか」だけで終わらず、誰が支障を確認し、どの情報を集め、別の維持管理権原者がいれば何を聴き、どの記録を備えるかまで説明してください。
間違えた分野の戻り先
- 全体の制度:建築物環境衛生管理技術者|選任・兼任・帳簿
- 第1・5問の届出:建築物衛生法と特定建築物|用途・面積・届出
- 第2・4問の基準評価:建築物環境衛生管理基準|空気・水・清掃
- 行政概論の全体像:ビル管理士の衛生行政入門
追加演習
同じテーマを別の角度から解く場合は「管理技術者の職務と選任 ミニテスト第2回」「管理技術者の職務と選任 ミニテスト第3回」へ進めます。本ページで2022年改正後の考え方を固めてから進んでください。
公式の確認先
まとめ|兼任可否は実態と記録で判断する
管理技術者は、所有者等が免状保有者から特定建築物ごとに選任します。複数棟の兼任は一律禁止でも自動承認でもなく、各棟の管理状態、従事時間、移動、設備、他業務を基に、所有者等が支障なしを確認します。
管理技術者は結果を評価し、必要な意見を述べ、相手方は意見を尊重します。変更届は1か月以内、維持管理帳簿は5年間です。確認書や図面は同じ保存区分へ一括せず、現在の管理実態を説明できる状態にしてください。
法令・資料確認日/最終更新日:2026年8月8日
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