ビル管理の関連法令は、どれか1つを選べば終わりではありません。同じオフィスでも、建物利用者には建築物衛生法、働く人には労働安全衛生法、設備には建築基準法などが別の角度から重なります。
この第1回は、空気・給水・排水・廃棄物の現場を題材にした独自5択5問です。数値だけでなく、対象、義務者、設備条件、異常時の対応まで説明できるか確認してください。
法令・資料確認日:2026年8月8日。事務所衛生基準規則、建築物衛生法令、水道法令、下水道法、廃棄物処理法の現行資料を確認しました。制度全体は「ビル管理の関連法令|空気・水道・排水・廃棄物・建築を使い分け」で解説し、このページは適用関係を判断する演習に特化しています。
解く前の3分整理|法令は対象から探す
| 対象 | 最初に確認 | 追加確認 |
|---|---|---|
| 特定建築物の衛生 | 建築物衛生法 | 用途・設備別法令 |
| 事務所で働く人 | 労働安全衛生法 | 事務所衛生基準規則 |
| 受水槽以降の給水 | 水道法 | 建築物衛生法 |
| 公共下水道への排除 | 下水道法 | 自治体条例 |
| 建物から出る廃棄物 | 廃棄物処理法 | 自治体ルール |
法令名を当てたら、次に「誰が管理するか」「どの設備条件で数値が変わるか」を確認します。似た基準値でも、義務者、測定対象、記録期間まで同じとは限りません。
第1問|特定建築物内のオフィス
特定建築物に該当するテナントビルの事務室で、換気不足の苦情が出た。法令の適用関係として、最も適当なものはどれか。
- 特定建築物なので、事務所衛生基準規則は適用されない。
- 事務所なので、建築物衛生法は適用されない。
- 建築物衛生法と事務所衛生基準規則が、それぞれの対象と義務者に応じて重なり得る。
- 数値の厳しい方だけを選べば、もう一方の測定や記録は不要である。
- 空調があれば、どちらの法令も空気環境を規制しない。
第2問|50・5,000と10・1,000を分ける
事業者が空気調和設備を設けた事務室で、「COは50ppm以下、CO2は5,000ppm以下なら設備調整も十分」と判断した。事務所衛生基準規則上、最も適当な評価はどれか。
- 正しい。第3条の一般基準だけを見ればよい。
- 誤り。室へ供給する空気がCO 10ppm以下、CO2 1,000ppm以下等になるよう設備を調整する規定も確認する。
- 誤り。CO 6ppm以下、CO2 500ppm以下へ必ず調整する。
- 正しい。設備を設けるとCOとCO2の規定はなくなる。
- 誤り。温度は現在も17~28℃にする義務がある。
第3問|12m3受水槽の管理
水道事業の水だけを受ける有効容量12m3の受水槽が、特定建築物に設置されている。管理の考え方として、最も適当なものはどれか。
- 10m3を超えるため簡易専用水道に当たり、水道法上の清掃・検査と建築物衛生法上の管理を適用条件に応じて行う。
- 簡易専用水道の検査は6年に1回でよい。
- 毎年の第三者検査を受ければ、水槽清掃は不要である。
- 水質・衛生は国土交通省だけが所管し、環境省は関与しない。
- 特定建築物では水道法が適用されない。
第4問|排水槽と公共下水道を一つにしない
特定建築物の厨房排水槽から悪臭があり、油脂を含む排水を公共下水道へ流している。確認順として、最も適当なものはどれか。
- 建築物衛生法だけを確認し、公共下水道の排除基準は見ない。
- 下水道法だけを確認し、建物内の排水槽清掃は見ない。
- 建物内設備の衛生管理と、公共下水道への排除条件・自治体条例を分けて両方確認する。
- 臭気がなければ、油脂の排除条件は確認しなくてよい。
- 分流式区域では、厨房排水を雨水管へ接続する。
第5問|紙と廃プラスチックの分け方
一般的な事務所から使用済みコピー用紙と廃プラスチック製品が出た。廃棄物処理法上の判断として、最も適当なものはどれか。
- 事業活動から出たため、両方とも必ず産業廃棄物である。
- 一般的な事務所の紙は事業系一般廃棄物、廃プラスチック類は産業廃棄物として、発生工程と自治体ルールも確認する。
- 処理業者へ委託すれば、排出事業者の責任は消える。
- 紙はすべて家庭系一般廃棄物である。
- 廃プラスチック類は、事業から出ても必ず一般廃棄物である。
採点|数値の前に対象を説明できるか
| 正解数 | 判定 | 復習ポイント |
|---|---|---|
| 5問 | 適用関係は安定 | 義務者まで説明する |
| 4問 | 1場面を再確認 | 対象と設備条件を分ける |
| 2~3問 | 法令名が混在 | 最初の表から解き直す |
| 0~1問 | 本記事から復習 | 空気・水・排水・ごみで整理 |
正解番号だけでなく、「なぜ別の法令も重なるか」「誰が記録・改善するか」「異常時に何を止めるか」まで口に出せれば、実務判断にもつながります。
間違えた分野の戻り先
- 関連法令の全体:ビル管理の関連法令|対象から使い分ける
- 空気の基準:建築物環境衛生管理基準|空気・水・清掃
- 給水方式:水道の分類と52項目の水質基準
- 排水設備:排水設備とトラップの診断
- 廃棄物分類:廃棄物処理法と分類
追加演習
水道・下水道・廃棄物を別の角度から確認する場合は「関連法令まとめ ミニテスト第2回」、建築・用途別法令へ進む場合は「関連法令まとめ ミニテスト第3回」を利用できます。第1回で法令の重なりを固めてから進んでください。
公式の確認先
- e-Gov法令検索「事務所衛生基準規則」
- 厚生労働省「建築物環境衛生管理基準」
- e-Gov法令検索「水道法」
- 水道法施行規則(簡易専用水道の管理基準)
- e-Gov法令検索「下水道法」
- e-Gov法令検索「廃棄物処理法」
- 環境省「排出事業者責任の徹底について」
まとめ|対象・義務者・設備条件で読む
特定建築物内のオフィスでは、建築物衛生法と事務所衛生基準規則が重なり得ます。空調設備を設けた事務室では、一般換気の50・5,000だけでなく、設備調整の10・1,000を分けて確認します。現在の温度下限は両制度とも18℃です。
12m3の受水槽は簡易専用水道として年1回以上の清掃と検査を別々に行い、特定建築物の管理も確認します。排水は建物内と公共下水道、廃棄物は発生物と発生業種を分け、委託後も排出事業者責任を追います。
法令・資料確認日/最終更新日:2026年8月8日
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