ミニテスト 建築物環境衛生管理技術者

熱中症対策ミニテスト第1回|2025年義務化と初動の5問

熱中症が疑われ、返事がおかしい、自力で飲めない場合は、すぐに119番し、冷却を始めます。病型名や発汗の有無を現場で確定するまで待ちません。無理に飲ませず、一人にしないでください。

この第1回は、2025年6月1日施行の職場対策と、異常発生時の初動を扱う独自5択5問です。ビル管理の屋上・機械室を想定し、対象判定から搬送までを一本の手順として確認します。

制度・資料確認日:2026年8月8日。改正労働安全衛生規則と施行通達、厚生労働省・環境省の応急対応資料、日本救急医学会「熱中症診療ガイドライン2024」、消費者庁の経口補水液資料を確認しました。詳しい予防計画は「熱中症の初動と脱水対策|2025年義務化・WBGT・水分補給」で解説し、このページは現場判断の演習に特化しています。

解く前の3分整理|対象と初動の境界

判断 確認条件 行動
規則の対象 WBGT 28℃以上または気温31℃以上 時間条件も確認
時間条件 継続1時間以上または1日4時間超 見込みで判定
反応が異常 返事が合わない・指示に従えない 119・冷却
自力で飲めない 意識異常・嘔吐等 無理に飲ませない

WBGT 28℃は、改正規則の対象作業を判定する線であって、全作業共通の中止線ではありません。作業強度、着衣、暑熱順化、体調、実測した局所環境も合わせて管理します。

第1問|WBGT未満でも気温で対象になる

機械室のWBGTは27.5℃だが、気温は32℃である。連続70分の点検を予定している。2025年改正規則の対象判定として、最も適当なものはどれか。

  1. WBGTが28℃未満なので対象外である。
  2. 気温31℃以上かつ継続1時間以上と見込まれるため、対象作業に該当すると判断する。
  3. 屋内作業なので対象外である。
  4. 作業後に70分を超えたと分かった時点で、初めて対策を考える。
  5. 気温条件は屋外だけに適用する。
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正解:2

対象は、WBGT 28℃以上または気温31℃以上の環境で、継続1時間以上または1日4時間を超える作業が見込まれる場合です。今回は気温32℃と予定70分の両方を満たします。屋内外は問いません。

1は「または」を「かつ」と誤読し、3・5は屋内の機械室を除外しています。4も誤りで、予定段階の「見込み」で体制と手順を準備します。WBGT 28℃を一律の作業中止線とせず、作業強度・着衣等に応じた基準も別に確認します。

第2問|掲示だけで終わらせない報告体制

対象作業を行う事業者が、熱中症のおそれがある人を早期発見する体制を整える。最も適当なものはどれか。

  1. 本人が倒れた後だけ報告する。
  2. 連絡先と連絡方法を定め、本人や異常に気づいた作業者が随時報告できるよう周知し、巡視・バディ制等も組み合わせる。
  3. ウェアラブル機器を渡せば、人による確認は不要である。
  4. 手順は管理者だけが保管し、作業者には知らせない。
  5. 体調不良の申告は作業終了後にまとめて受ける。
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正解:2

報告体制では、誰へ、どの電話・無線等で報告するかを決め、本人だけでなく「具合が悪そう」と気づいた人も随時報告できる状態にします。責任者の巡視、バディ制、定期連絡、ウェアラブル機器等を組み合わせると早期発見を補強できます。

1・5は異常の発見と報告を遅らせます。3は機器だけへ依存し、4は関係作業者への周知義務を落としています。別に、作業離脱、身体冷却、医療機関への搬送等を含む悪化防止手順も事前に定めて周知します。

第3問|返事が合わず自力で飲めない

屋上点検中の作業者がぼんやりし、質問への返事が合わず、吐き気があって自力で飲めない。最も適当な初動はどれか。

  1. 経口補水液を口へ流し込み、しばらく一人で休ませる。
  2. 本人が「大丈夫」と言えば、作業を再開させる。
  3. 119番し、涼しい場所へ安全に移し、衣服を緩めて冷却を続け、無理に飲ませず一人にしない。
  4. 発汗しているので、重症ではないと判断する。
  5. 病型名が確定するまで冷却を待つ。
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正解:3

返事が合わないのは意識状態の異常として扱い、自力で飲めない場合は直ちに救急要請します。誤嚥のおそれがあるため口から無理に与えません。救急車を待つ間も、涼しい場所への避難、脱衣・衣服を緩める、水で皮膚を濡らして風を当てる等の冷却を続けます。

1は誤嚥と急変の危険、2は本人の自己評価だけに依存、4は発汗を安全の証拠にしています。5も誤りで、診断より先に作業離脱・連絡・冷却を始めます。搬送時は発症時刻、環境、作業、経過を伝えます。

第4問|汗の有無だけで重症度を決めない

熱中症の重症度を現場で判断する考え方として、最も適当なものはどれか。

  1. 汗をかいていれば、意識異常があっても軽症である。
  2. 汗が止まれば、それだけで熱射病と確定する。
  3. 熱失神・熱けいれんなど旧来の病型名を当てるまで搬送しない。
  4. 発汗の有無だけに頼らず、反応、行動、呼吸、体の熱さ、症状の進行、自力摂取の可否を優先する。
  5. 表面体温だけで医療上のIV度を確定できる。
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正解:4

重症でも発汗している場合があり、汗がないことだけでも病名は確定できません。現場では「返事がおかしい」「簡単な指示に従えない」「まっすぐ歩けない」「自力で飲めない」など、悪化防止につながるサインを優先します。

1・2は発汗だけで安全・危険を二分し、3は初動を遅らせます。2024年診療ガイドラインのIV度は、医療者が深部体温40.0℃以上かつGCS 8以下等で判定する最重症群です。5のように一般の表面体温だけで確定する分類ではありません。

第5問|経口補水液を全員の常用水にしない

職場の熱中症対策として経口補水液を備える際の説明で、最も適当なものはどれか。

  1. 健康な作業者全員が、日常の水代わりに大量に飲む。
  2. 全製品が熱中症による脱水に使用できるため、表示確認は不要である。
  3. ナトリウム・カリウム・糖質の制限がある人も、同じ量を一律に飲む。
  4. 経口補水液は病者用食品であり、製品表示と個別の食事制限を確認し、反応異常や自力摂取不能時は飲ませない。
  5. スポーツドリンクよりナトリウムとカリウムが少ない。
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正解:4

経口補水液は脱水症時の食事療法に用いる病者用食品で、日常の水分補給用ではありません。一般的なスポーツドリンクよりナトリウムやカリウムが多く、熱中症による脱水に使えるかは製品表示を確認します。

1は常用、2は製品ごとの用途、3は個人の制限を無視しています。ナトリウム、カリウム、糖質の摂取制限がある人は、平時に医師等と補給方法を決めます。反応がおかしい、自力で飲めない、嘔吐がある場面では、5択以前に119と冷却を優先し、無理に飲ませません。

採点|発見から搬送まで動けるか

正解数 判定 次の行動
5問 初動は安定 職場手順で役割確認
4問 1場面を再確認 連絡先と搬送先を確認
2~3問 判断が遅れるおそれ 119・冷却の境界を復習
0~1問 手順書から再学習 対象条件と初動を読む

テストの正解より大切なのは、緊急連絡先、冷却場所、冷却器具、搬送先、付き添い役を作業前に確認することです。現場固有の手順と、119番の通信指令員・医療者の指示を優先してください。

間違えた分野の戻り先

追加演習

脱水の用語を別の角度から確認する場合は「熱中症・脱水と水の健康影響 ミニテスト第2回」、湿度・冷房と健康影響の問題は「熱中症・脱水と水の健康影響 ミニテスト第3回」へ進めます。実務では、本ページの初動を最優先してください。

公式・専門機関の確認先

まとめ|病名より先に離脱・連絡・冷却

WBGTが28℃未満でも、気温31℃以上で継続1時間以上または1日4時間超が見込まれれば、改正規則の対象です。報告先と連絡方法、作業離脱・冷却・搬送の手順を決め、作業者と関係者へ周知します。

反応がおかしい、自力で飲めない場合は119番し、無理に飲ませず、冷却を続け、一人にしません。発汗の有無だけで重症度を決めず、経口補水液も全員の常用水にはしない。この境界を作業前に共有してください。

制度・資料確認日/最終更新日:2026年8月8日

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