ミニテスト 建築物環境衛生管理技術者

騒音・振動ミニテスト第1回|72.5dB・85.7dB・A(8)の5問

騒音・振動は、測定値と時間を別々に見ないことが大切です。dBは対数なので普通の足し算・引き算ができません。手腕振動も、工具の振動値だけでなく1日の使用時間をA(8)へ統合します。

この第1回は、音源合成、暗騒音補正、8時間等価値、複数工具の振動ばく露を扱う独自5択5問です。数値から対策の優先順位まで説明できるか確認しましょう。

制度・資料確認日:2026年8月8日。厚生労働省の2023年改訂「騒音障害防止のためのガイドライン」と振動障害予防資料、環境省の騒音環境基準・騒音規制法資料を確認しました。健康影響と測定の全体は「騒音・振動の健康影響と測定|85dB・A(8)・設備苦情の切り分け」、設備音の診断は「騒音・振動の診断|dB加算・暗騒音・防音・防振」で解説し、このページは計算と判断の演習に特化しています。

解く前の3分整理|目的と評価量をそろえる

目的 主に見る量 一緒に残す条件
作業者の聴力保護 等価騒音・ばく露時間 作業別時間、保護具
設備苦情の診断 総合値・暗騒音・周波数 運転、負荷、測定点
手腕振動の管理 振動加速度とA(8) 工具別時間、整備状態

同じ測定点、同じ周波数補正、同じ時間条件の値だけを計算へ入れます。測定目的が違う環境基準、作業ばく露、室内設計目標を一つの数値で置き換えないでください。

第1問|71dBと67dBを合成する

同じ測定点で、互いに独立したポンプAが71dB、ポンプBが67dBだった。同じ評価条件で2台を同時運転した合成値に最も近いものはどれか。

  1. 69.0dB
  2. 71.0dB
  3. 72.5dB
  4. 76.0dB
  5. 138dB
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正解:3(約72.5dB)

合成値は10log10(1071/10+1067/10)=72.46dB、約72.5dBです。大きい方の71dBへ約1.5dBを加える結果です。1は算術平均、5はdB値の単純加算です。

同じレベルの独立音源2台なら約3dB増えますが、今回は4dB差があるため増加は約1.5dBです。位相関係が固定された純音の干渉、測定条件が異なる値、音圧レベルと音響パワーレベルの混在には、この式をそのまま使いません。

第2問|総合69dBから暗騒音63dBを引く

対象ファン運転時の総合値が69dB、停止時の暗騒音が63dBだった。対象ファン単独の寄与に最も近いものはどれか。

  1. 6.0dB
  2. 63.0dB
  3. 66.0dB
  4. 67.7dB
  5. 69.0dB
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正解:4(約67.7dB)

対象音は10log10(1069/10-1063/10)=67.74dBです。69-63=6dBを対象音とする1は、対数レベルを普通に引く誤りです。5は暗騒音のエネルギーを含む総合値です。

暗騒音補正では、運転時と停止時で測定点・時間設定・周囲条件をそろえます。差がごく小さいと、対象音の推定は不確かになります。停止できない設備は、時間変動、周波数スペクトル、近傍点との同時記録から寄与を検討し、仮定を残します。

第3問|92dBを1時間、83dBを7時間

1日の作業で92dBに1時間、83dBに7時間ばく露された。この練習条件での8時間等価騒音レベルに最も近いものはどれか。

  1. 83.0dB
  2. 84.1dB
  3. 85.7dB
  4. 87.5dB
  5. 175dB
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正解:3(約85.7dB)

10log10{(1×1092/10+7×1083/10)÷8}=85.71dBです。時間で単純平均した(92+83×7)÷8=84.1dBとは一致しません。短い92dB区間もエネルギー寄与が大きいためです。

厚生労働省の2023年改訂ガイドラインでは、等価騒音レベル85dB未満、85dB以上90dB未満、90dB以上で管理を分けます。この例は85dB以上90dB未満ですが、正式な作業環境評価はA測定・B測定等の結果を含めて行います。「一瞬85dBを超えたら直ちに難聴」という意味ではありません。

第4問|2種類の振動工具をA(8)へ統合する

1日に、3軸合成振動値4.0m/s2の工具を2時間、6.0m/s2の工具を1時間使う。A(8)=√{Σ(ai²Ti/8)}とすると、日振動ばく露量に最も近いものはどれか。

  1. 1.03m/s2
  2. 2.00m/s2
  3. 2.92m/s2
  4. 5.00m/s2
  5. 10.0m/s2
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正解:3(約2.92m/s2)

A(8)=√{4.0²×2÷8+6.0²×1÷8}=√(4.0+4.5)=√8.5=2.92m/s2です。工具ごとの振動値を足す、時間だけを足す、最大値6.0をそのまま日ばく露量とする計算ではありません。

厚生労働省資料の日振動ばく露対策値2.5m/s2を上回り、限界値5.0m/s2は下回る計算です。低振動工具、使用時間の削減、点検整備、握力を過度にかけない作業、休止等を検討します。手腕振動のA(8)を、床や車両による全身振動へそのまま適用しません。

第5問|低い「ブーン」という苦情を切り分ける

夜間だけ執務室で低い「ブーン」という苦情が出るが、昼夜のA特性総合値は近かった。次の調査として、最も適当なものはどれか。

  1. A特性値が近いので、苦情は存在しないと判断する。
  2. 最大値を1回測り、すべて外部交通音と決める。
  3. 耳栓を配り、設備の原因調査を終える。
  4. 苦情の時刻・席・音の変動を設備の発停・回転数と照合し、同じ条件のON/OFF値、A/C特性差、周波数、支持・配管経路を追う。
  5. 壁へ吸音材を貼れば、固体伝搬も必ず同じdBだけ下がる。
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正解:4

A特性は人の聴感に近づける補正ですが、低周波の特徴を大きく減衰して表示します。A特性総合値が近くても、夜間に暗騒音が下がる、純音性の成分が目立つ、構造伝搬が生じると不快感は変わります。訴えと設備ログを同じ時間軸へ置くことが第一歩です。

1・2は測定値の意味を広げすぎ、3は発生源・伝達経路を残します。5は吸音と防振・制振を混同しています。ファン・ポンプのアンバランス、軸受、VFD周波数、防振材、配管支持、フレキシブル継手、構造への短絡を確認し、対策前後を同じ負荷と測定点で比較します。

採点|対数・時間・経路を一組で扱えるか

正解数 判定 復習ポイント
5問 計算と診断は安定 同条件で再測定する
4問 1計算を再確認 dBと時間を対数処理
2~3問 評価量が混在 目的・単位・時間をそろえる
0~1問 親記事から復習 音源→経路→受音点の順

騒音性難聴は初期に4,000Hz付近が低下することがありますが、一つの周波数だけで診断しません。作業歴、自覚症状、1,000Hz・4,000Hzの選別聴力、必要な精密検査等を医師が評価します。設備担当者は、ばく露と運転の信頼できる記録を提供します。

間違えた分野の戻り先

追加演習

手腕振動・全身振動・健康影響の基礎は「音・振動と健康 ミニテスト第2回」、超低周波音・難聴・防振の横断問題は「音・振動と健康 ミニテスト第3回」で確認できます。第1回で対数計算とばく露時間を固めてから進んでください。

公式の確認先

まとめ|大きさだけでなく、時間と経路を計算する

71dBと67dBの合成は72.5dB、総合69dBと暗騒音63dBから対象音を求めると67.7dBです。92dBを1時間、83dBを7時間受けた8時間等価値は85.7dBで、単純平均とは一致しません。

振動工具2種類の例はA(8)=2.92m/s2です。数値が出たら、発生源の整備、伝達経路の遮断、ばく露時間、適切な保護具の順に対策し、同じ測定条件で効果を確認してください。

制度・資料確認日/最終更新日:2026年8月8日

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