この記事で分かること
- 危害予防規程と保安教育計画の違い
- 第一種・第二種製造者の義務の正確な比較
- 冷凍保安規則第35条が定める12項目
- 教育を事故防止へつなげる計画・実施・記録の流れ
結論:第二種製造者も保安教育そのものは必要
最も重要な違いは次のとおりです。第一種製造者は危害予防規程を定めて届け出るほか、従業者に対する保安教育計画を定め、教育を実施します。第二種製造者には同じ危害予防規程や保安教育計画を作る義務はありませんが、高圧ガス保安法第27条第4項により、従業者へ保安教育を施す義務があります。
旧稿の訂正:「第二種製造者には保安教育義務がない」は誤りです。ないのは、第一種製造者と同じ保安教育計画の法定作成義務であり、教育そのものの義務ではありません。
公式資料の確認先
法令確認日:2026年7月28日。自治体の届出様式と最新の法令・例示基準も併せて確認してください。
第一種と第二種の義務を表で比較する
| 項目 | 第一種製造者 | 第二種製造者 |
|---|---|---|
| 危害予防規程 | 作成・届出・遵守が必要 | 法第26条の作成・届出対象外 |
| 保安教育計画 | 作成が必要 | 法第27条第1項の作成対象外 |
| 保安教育の実施 | 必要 | 必要 |
第二種製造者も、安全に必要な社内手順や教育計画を自主的に文書化できます。表は「法律上、第一種と同じ形式の規程・計画が必須か」を比較したもので、第二種なら管理手順が不要という意味ではありません。製造区分の判定は「第一種・第二種製造者の許可と届出」で確認できます。
危害予防規程は事業所全体の保安ルール
高圧ガス保安法第26条は、第一種製造者に危害予防規程を定め、都道府県知事へ届け出ることを求めています。変更したときも届出が必要です。都道府県知事は、災害防止上必要と認めるとき、規程の変更を命じることができます。
規程を届け出て終わりではありません。第一種製造者とその従業者には遵守義務があり、知事は遵守のための措置を勧告・命令できます。設備、組織、作業、異常時対応を実際の事業所と一致させる文書です。
冷凍保安規則第35条の12項目
冷凍保安規則第35条第2項は、危害予防規程へ記載する事項を次の12分野に分けています。条文の順序を保ったうえで、内容を短く整理します。
| 番号 | 記載分野 | 実務で定める例 |
|---|---|---|
| 1 | 法定技術基準 | 維持・確認の担当と方法 |
| 2 | 保安管理体制・責任者の職務 | 組織、権限、代理者、連絡系統 |
| 3 | 安全な運転・操作 | 起動、停止、切替、禁止事項 |
| 4 | 巡視・点検 | 項目、頻度、異常判定、報告 |
| 5 | 増設・修理工事の管理 | 停止、隔離、許可、復旧確認 |
| 6 | 危険状態の措置・訓練 | 通報、退避、緊急停止、訓練 |
| 7 | 大規模地震対策 | 被害防止・軽減、発災後の点検 |
| 8 | 協力会社の作業管理 | 責任範囲、立会い、情報共有 |
| 9 | 規程の周知・違反者措置 | 教育、閲覧方法、是正手順 |
| 10 | 記録 | 運転・点検・異常・工事の記録 |
| 11 | 作成・変更の手続 | 審議、承認、届出、改訂管理 |
| 12 | その他の災害防止事項 | 設備固有のリスクへの対策 |
対象地域・事業所の条件により、大規模地震や津波に関する追加事項も第35条第3項以降で定められています。自社が該当する条項を確認し、一般的なひな形をそのまま提出せず、冷媒の毒性・燃焼性、機械室、周辺環境、夜間体制へ合わせます。
保安教育計画は「人に何を身につけさせるか」を定める
危害予防規程が事業所のルールなら、保安教育計画は、そのルールを従業者が理解し実行できるようにする計画です。高圧ガス保安法第27条第1項により、第一種製造者は計画を定め、従業者へ保安教育を施します。知事は、災害防止上必要と認めるとき、計画の変更を命じることができます。
教育テーマには、法令、冷凍設備の仕組み、運転・点検手順、冷媒漏えい、火災・停電・地震時の対応、保護具、通報・退避、ヒヤリハットなどがあります。KHKの保安教育計画作成指針は具体化の参考になりますが、自社設備の危険源と職務に合わせることが必要です。
第二種は「計画不要=教育不要」ではない
第二種製造者には、第27条第4項が直接、従業者へ保安教育を施すことを求めています。法定の保安教育計画の作成対象でなくても、誰に、何を、いつ、どの方法で教えたかを社内で計画・記録すると、未教育者や内容の抜けを防げます。
KHKは第二種製造事業者向けの保安教育指針も示しています。小規模設備だから、無人運転だから、保守を外注しているからという理由だけで、自社従業者への教育が不要になるわけではありません。自社が行う日常確認、警報受信、連絡、立入禁止、退避の役割を明確にします。
教育頻度は「一律年1回」とは限らない
高圧ガス保安法第27条は、すべての教育を一律に年1回と定めているわけではありません。入社・配置時、担当変更時、設備や冷媒の変更時、手順改訂時、事故・ヒヤリハット後など、必要な時機を計画へ組み込みます。緊急時訓練は、事業所のリスクと危害予防規程に沿って実効性を保てる頻度にします。
資格を持つ保安責任者だけを教育すればよいわけでもありません。教育内容の深さは職務で変えても、警報を受ける人、機械室へ立ち入る人、工事を発注・管理する人など、それぞれに必要な内容を割り当てます。
協力会社との作業は責任分界を曖昧にしない
危害予防規程の記載事項には、協力会社の作業管理が含まれます。工事前に、冷媒・圧力・隔離範囲、作業許可、火気使用、酸欠・毒性の危険、緊急連絡、復旧確認を共有します。
外注先が専門業者でも、第一種製造者側の保安管理責任が自動的に移るわけではありません。誰が停止・隔離し、誰が作業開始を許可し、誰が復旧を確認するかを文書と現場で一致させます。
実効性のある教育は「知識・操作・判断」で作る
冷媒の性質、設備、法令、警報の意味を理解する
通常停止、緊急停止、通報、保護具を手順どおり扱う
無理に近づかず、退避・立入禁止・専門者要請を選べる
例として「機械室の冷媒警報が作動した」という場面を使い、受講者に最初の行動、通報先、立入条件を答えてもらいます。講義だけでなく、実機の停止位置、集合場所、連絡手段を確認すると、知っている状態から行動できる状態へ近づきます。漏えい時の法的措置は「冷媒漏えい時の措置と事故届」で整理しています。
教育記録は改善へつなげる
教育後は、実施日、対象者、内容、講師、使用資料、理解度、訓練で見つかった課題を記録します。保存期間や様式は、適用法令・自治体の指導、危害予防規程、社内文書管理規程を確認し、一律の年数を思い込みで決めないようにします。
欠席者への補講、理解不足への再教育、設備変更後の差分教育まで追跡して初めて教育が閉じます。点検・検査記録との関係は「定期自主検査・保安検査・完成検査」も参照してください。
規程・計画を見直すタイミング
- 設備の増設、冷媒変更、制御・安全装置の変更
- 組織変更、保安責任者や夜間連絡体制の変更
- 法令・例示基準・自治体様式の改正
- 事故、漏えい、誤操作、ヒヤリハットの発生
- 訓練で通報遅れ、連絡不能、手順の不一致が判明
第一種製造者が危害予防規程を変更した場合は届出が必要です。現場手順だけを先に変え、届出文書や教育資料が古いまま残らないよう、変更管理の流れを規程に組み込みます。保安管理組織と責任者の職務は「冷凍保安責任者の選任・届出・職務」で解説しています。
理解度チェック
【問1】第二種製造者の保安教育について正しいものはどれですか。
(1) 保安教育そのものが不要である
(2) 第一種と同じ危害予防規程の届出だけが必要である
(3) 法定の保安教育計画は不要だが、従業者への保安教育は必要である
(4) 事故発生後だけ教育すればよい
(5) 設備を外注保守にすれば教育義務は消える
【問2】危害予防規程について適切なものはどれですか。
(1) 第一種製造者は定めて届け出る
(2) 第二種製造者だけが届け出る
(3) 一度提出すれば変更届は不要である
(4) 従業者に遵守義務はない
(5) 点検や異常時対応は記載対象外である
【問3】冷凍保安規則第35条の危害予防規程の記載事項に含まれるものはどれですか。
(1) 製品の販売価格
(2) 協力会社の作業管理
(3) 従業者の私生活
(4) 広告の出稿計画
(5) 冷凍機の販売台数
【問4】保安教育の頻度について最も適切なものはどれですか。
(1) 法律上すべて一律で毎月1回である
(2) 法律上すべて一律で年1回だけである
(3) 資格者は一度受講すれば以後不要である
(4) 入社・変更・事故等の時機とリスクに応じて計画する
(5) 書類を配れば理解確認は不要である
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まとめ
第一種製造者は、危害予防規程を作成・届出・遵守し、保安教育計画を作成して教育を実施します。第二種製造者は、同じ規程・計画の法定作成対象ではありませんが、従業者への保安教育は必要です。
危害予防規程は12分野を自社設備へ落とし込み、教育は知識、操作、判断を身につけられる内容にします。計画、実施、理解確認、記録、改善を循環させ、文書と現場の不一致をなくしましょう。
最終更新日:2026年7月28日
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