この5問で身につくこと
- 昇圧中に2個の水面計が一致しないとき、給水量だけで判断しない
- 安全弁手動試験の75%は「常用圧力」ではなく最高使用圧力を基準に計算する
- 暖管完了をドレンの有無だけで決めず、温度・膨張・排出状態を合わせて見る
- ウォーターハンマー時に主蒸気弁をさらに開かない
- 並列送気では母管との圧力差、暖管、逆流防止を確認する
結論:圧力上昇から送気開始までは、ボイラー本体と蒸気配管の両方を少しずつ熱い状態へ移す工程です。水位・圧力・熱膨張・漏れを監視し、ドレンを排出しながら少量送気し、異音や圧力差がなければ段階的に主蒸気弁を開くのが基本です。
基本操作を先に復習する場合は「圧力上昇時の取扱い・暖管・送気開始」を参照してください。本記事では、表示の食い違いと異常兆候から、次工程へ進めるかを判断します。
昇圧中は単独の計器より「一致と変化」を見る
2個の水面計
給水・蒸気流量
上昇速度
計器間の整合
支持部・管
伸び方向
漏れ・振動
異音・臭気
ボイラー水は温まると膨張するため、冷間起動中は水位が上がることがあります。ただし、2個の水面計が異なる値を示すなら、膨張だけで説明してはいけません。蒸気側・水側連絡管の閉塞、コック位置、ガラス内の汚れなどを疑い、設備の機能試験手順で表示の信頼性を確かめます。
給水を急に増減すると、原因を切り分ける前に実水位まで動かしてしまいます。燃焼量、蒸気流量、給水流量、2個の水面計を時系列で記録し、表示が一致しないまま送気へ進みません。
安全弁手動試験の75%は最高使用圧力が基準
公表試験で扱われる安全弁の手動試験は、試験レバーを操作して蒸気の通気を確かめるもので、最高使用圧力の75%以上の圧力で行います。「常用圧力の約75%」ではありません。
最高使用圧力0.80MPaの場合
0.80 × 0.75 = 0.60MPa
試験問題上は0.60MPa以上が基準。実施時期・安全区域・操作方法は安全弁の形式と点検要領に従います。
この手動試験は、安全弁の吹出し圧力を測って設定を調整する試験とは別です。また、すべての起動で無条件にレバーを操作するという意味でもありません。高温蒸気の放出先を含め、事業場の点検計画と取扱説明書を優先します。
暖管は「少量送気と排水」を同時に行う
冷たい蒸気管へ蒸気を送ると、蒸気の一部が凝縮してドレンになります。主蒸気管・蒸気だめ・低部のドレンを排出できる状態にし、バイパス弁または主蒸気弁の微開で少量の蒸気を送ります。配管温度、熱膨張、支持部、ドレン排出、異音を追いながら徐々に暖めます。
| 確認 | 進めてよい状態 | 止めて確認する状態 |
|---|---|---|
| 温度・膨張 | 偏りが小さく安定 | 局部低温、支持部の拘束 |
| ドレン | 排出経路が機能 | 滞留、排出不能、逆勾配 |
| 音・振動 | 異常なし | 打撃音、配管の跳ね |
「ドレンが一滴も出なくなれば完了」とだけ覚えるのは不十分です。配管からの放熱が続けば送気後も凝縮水は生じます。暖管完了は、設備の基準に従い、温度・膨張・ドレンの状態・異音を合わせて判断します。
ウォーターハンマーは弁を開けて押し流さない
蒸気配管のウォーターハンマーには、高速のドレン塊が弁や曲がりへ衝突する型と、蒸気が冷たいドレン中で急凝縮して周囲の水が衝突する型があります。どちらも、滞留ドレンと急な蒸気供給が重要な手掛かりです。
打撃音や大きな振動が出たら、主蒸気弁をさらに開いて押し流そうとしません。操作基準に従って蒸気供給を抑え、危険区域へ近づかず、ドレン弁、スチームトラップ、配管勾配、ポケット、支持部を確認します。漏えい・変形が疑われる場合は隔離と点検を優先します。
並列送気は母管と新しいボイラーの境界を確認する
運転中の共通母管へ別のボイラーを接続するときは、弁間配管を暖めてドレンを排出し、母管との圧力差を設備の許容範囲まで小さくしてから蒸気止め弁を徐々に開きます。逆止め弁の有無と方向、負荷分担制御、追加ボイラーの水位変化も確認します。
「ほぼ同じ圧力」という言葉だけで操作せず、許容差とどちらをわずかに高くするかは事業場の手順で確認します。圧力差が大きいまま開くと、急流・逆流・水位変動・配管衝撃につながります。
公式・技術資料の確認先
現行規則・公式情報確認日:2026年7月30日。令和8年4月掲載の公表問題は2026年1月以降施行の法令に未対応との注意があるため、法令事項は現行の厚生労働省資料を優先しています。問題文・数値・設備状況は独自作成です。
第1問:2個の水面計の不一致を判定する
【問1】昇圧中、給水流量は一定ですが、2個のガラス水面計が60mm異なる水位を示しました。片方の水位はほとんど動きません。最も適切な対応はどれですか。
(1) 高い方だけを正しいとして直ちに吹き出す
(2) 低い方だけを正しいとして急給水する
(3) 燃焼と送気を安全側に保ち、コック位置と蒸気側・水側通路を所定の機能試験で確認して不一致を解消する
(4) 平均値を実水位として送気する
(5) 圧力が上がれば自動的に一致するので無視する
第2問:安全弁手動試験の圧力を計算する
【問2】最高使用圧力0.80MPa、常用圧力0.60MPaの蒸気ボイラーがあります。公表試験で扱う安全弁の手動試験圧力の基準として適切なものはどれですか。
(1) 0.45MPa以上
(2) 0.48MPa以上
(3) 0.60MPa以上
(4) 0.75MPa以上
(5) 0.80MPaを超える圧力だけ
第3問:暖管を続ける条件を選ぶ
【問3】主蒸気弁を微開して暖管中です。ドレンは排出されていますが、配管末端はまだ低温で、支持部の熱膨張も安定していません。適切な判断はどれですか。
(1) ドレンが出ているので直ちに主蒸気弁を全開にする
(2) 少量送気とドレン排出を続け、温度・膨張・異音が設備基準を満たしてから段階的に開く
(3) ドレン弁を閉じて凝縮水をためる
(4) 配管を外部から急冷する
(5) 安全弁を開いて暖管する
第4問:暖管中の打撃音へ対応する
【問4】暖管中に蒸気管から周期的な打撃音が出て、ハンガーも揺れています。最も適切な対応はどれですか。
(1) 主蒸気弁をさらに開いてドレンを押し流す
(2) ハンガーを手で押さえる
(3) 手順に従って蒸気供給を抑え、危険区域を避けてドレン排出、トラップ、勾配、支持部を確認する
(4) ドレン弁を閉じる
(5) 圧力を最高使用圧力まで上げる
第5問:並列送気の可否を判定する
【問5】共通母管は0.78MPa、新しく接続するボイラーは0.68MPaです。弁間配管はまだ冷たく、ドレン抜きも未実施です。適切な対応はどれですか。
(1) 圧力差を利用して一気に送気する
(2) 母管側から逆流させて暖管する
(3) 主蒸気弁を半開で固定する
(4) 弁間配管を暖管・排水し、手順で定める圧力差と逆流防止条件を満たしてから徐々に接続する
(5) 新しいボイラーをゼロ圧にして接続する
採点結果と誤答別の復習先
| 正解数 | 次の行動 |
|---|---|
| 5問 | 第2回へ進み、暖管と並列運転を追加練習 |
| 3〜4問 | 75%の基準と暖管完了条件を再確認 |
| 0〜2問 | 水位・圧力・ドレン・膨張の対応から復習 |
- 問1を誤答:水位表示が不一致なら、給水操作より計器経路の確認を先にする
- 問2を誤答:最高使用圧力×0.75を計算する
- 問3〜5を誤答:暖管・排水・圧力差を単独でなく組み合わせる
次の練習と学習ルート
まとめ
昇圧中は2個の水面計、圧力、熱膨張、漏れを比較し、表示の不一致を解消してから送気へ進みます。安全弁手動試験の75%は最高使用圧力が基準です。
暖管は少量送気とドレン排出を同時に行い、温度・膨張・排出状態・異音で完了を判断します。打撃音が出たら蒸気量を増やさず、並列送気では弁間配管と圧力差を手順どおり整えます。
最終更新日:2026年7月30日
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