ミニテスト

スウェル・燃焼調整・低水位から運転異常を判定する問題5問【第1回】

この5問で身につくこと

  • 負荷急増時に圧力が下がり、水位が一時上がるスウェルを判定する
  • 燃焼量を増減するときの空気・燃料の安全側の順序を選ぶ
  • 排ガスO₂とCOが同時に高いとき、単純な空気過剰だけで説明しない
  • 低水位を「必ず給水禁止」と一律に扱わず、過熱の疑いと実水位で判断する
  • 安全弁を常用の圧力調節に使わない

結論:運転中は圧力・水位・燃焼を別々に見るのではなく、どの値が最初に、どちら向きへ、どれだけ変わったかを時系列で読みます。水位計の一瞬の動きや火炎色だけに反応して、給水・燃料・空気を大幅に変えてはいけません。

監視の基本を先に復習する場合は「運転中の圧力・水位・燃焼の監視」を参照してください。本記事では、複数の運転データが一見矛盾している場面を判定します。

圧力・水位・流量は変化の順番で読む

負荷変化 圧力 一時的な水位
急増 蒸気流出で低下方向 気泡膨張で上昇するスウェル
急減 蒸気余剰で上昇方向 気泡収縮で低下するシュリンク

負荷が急に増えると、蒸気流量が増えて圧力が下がります。圧力低下でボイラー水中の気泡が膨らむため、実際の水の質量は減る方向でも、ドラム水位は一時的に上がることがあります。これがスウェルです。

水位だけを見て給水弁を急閉すると、気泡が落ち着いた後に本当の低水位が現れるおそれがあります。2個の水面計、蒸気流量、給水流量、給水弁出力、ドラム圧力を組み合わせ、設備の制御・操作基準に従います。

燃焼量の変更はクロスリミットの考え方で行う

燃焼量を増やす

空気を先に、燃料を後から
燃料先行による一時的な空気不足を避ける。

燃焼量を減らす

燃料を先に、空気を後から
空気を先に絞って不完全燃焼にしない。

自動燃焼制御では、空気不足側へ外れないよう燃料と空気の指令へ上限・下限を持たせる考え方が使われます。操作後はO₂だけでなく、CO、ばい煙、火炎形状、通風圧、燃料圧力も確認します。

O₂が高くても局所的な不完全燃焼は起こり得る

排ガスO₂が高いと、全体として空気が多いか、炉・煙道へ空気が漏れ込んでいる可能性があります。しかし、同時にCOや黒煙も増えているなら「空気は十分だから完全燃焼」とは言えません。

O₂高値+CO高値で確認すること

  • バーナごとの燃料・空気配分、霧化、ガス圧、ダンパ位置
  • 火炎の偏り、炉壁・伝熱面への接触、失火・脈動
  • 炉・煙道の空気漏入とO₂分析計の測定位置・校正
  • 負荷、燃料銘柄、O₂・CO・ばい煙の時間変化

炉全体の平均O₂が高くても、特定バーナの近くでは混合不良や霧化不良により酸素が不足することがあります。O₂を下げる・上げるという単独操作ではなく、燃料と空気の配分、漏入、測定の健全性を切り分けます。

低水位は実水位と過熱の疑いで給水可否を分ける

低水位警報が出たら、燃料を安全側へ下げるか遮断し、2個の水面計、低水位検出、給水ポンプ・弁・タンクを確認します。対応は次の2場面で異なります。

確認できる状態 判断の方向
水面が確認でき、過熱の兆候なし 燃焼を抑え、給水系の原因を確認し、緊急手順で必要水位を維持
水面が見えず、伝熱面過熱の疑い 燃料停止。慌てて給水せず、冷却・隔離・損傷確認を含む緊急手順へ

「低水位なら必ず直ちに大量給水」も「原因に関係なく絶対に給水禁止」も一律すぎます。実水位が確認できるか、火に触れる伝熱面が露出・過熱した可能性があるか、設備の緊急手順が何を定めているかで判断します。

安全弁を常用の圧力調節に使わない

蒸気負荷が急減して圧力が上がる場合は、燃焼量を下げ、圧力調節器、燃料弁、蒸気止め弁、負荷側の状態を確認します。安全弁は過圧からボイラーを守る最後の保護であり、日常的に安全弁が開くまで燃焼を続けるのは正常な制御ではありません。

安全弁が作動した場合は、燃焼制御の追従不良や蒸気弁の急閉などの原因を調べます。吹出し圧力を上げたり、安全弁を固定したりすることは行いません。

公式・技術資料の確認先

現行規則・公式情報確認日:2026年7月30日。警報値、給水可否、操作順序、記録間隔は設備固有の運転・緊急手順を優先します。問題文・数値・設備状況は独自作成です。

運転中の留意事項 ミニテスト

第1回 第2回 第3回

第1問:負荷急増時の水位上昇を判定する

【問1】蒸気流量が急増し、ドラム圧力は0.75MPaから0.68MPaへ低下しました。給水流量はまだ変わっていませんが、水位は一時的に上昇しています。最も適切な判断はどれですか。

(1) 水が急に増えたので給水弁を全閉する
(2) 圧力低下で気泡が膨張するスウェルを疑い、蒸気・給水流量と水位の推移を見て設備基準どおり調整する
(3) 水面計が必ず故障している
(4) 安全弁を手動で開く
(5) 燃焼を最大にして水位を下げる

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正解:(2)
負荷急増で圧力が下がると、ボイラー水中の気泡が膨張して水位が一時上がることがあります。水の質量はむしろ蒸気流出で減る方向なので、水位だけで給水を急閉しません。

第2問:燃焼量を増やす操作順を選ぶ

【問2】負荷増加に対応して燃焼量を増やします。燃料・空気の操作順として適切なものはどれですか。

(1) 燃料を先に増やし、空気は火炎が黒くなってから増やす
(2) 空気を先に増やし、通風条件を確認してから燃料を追従させる
(3) 燃料だけを増やす
(4) 空気だけを増やし続ける
(5) 燃料と空気の計器を無視して同時に最大へ動かす

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正解:(2)
増加時は空気を先行させて一時的な空気不足を避けます。減少時は燃料を先に減らし、その後に空気を減らすのが安全側の順序です。

第3問:O₂高値とCO高値を同時に診断する

【問3】同じ負荷で排ガスO₂が3.5%から6.5%へ上がり、COも20ppmから300ppmへ増えました。1本のバーナ火炎には偏りがあります。最も適切な判断はどれですか。

(1) O₂が高いので完全燃焼であり放置する
(2) 空気が多いだけなので全バーナの空気を一律に下げる
(3) バーナ配分・霧化・火炎偏りと炉内空気漏入、分析計を確認し、局所不完全燃焼と測定値の原因を切り分ける
(4) COは完全燃焼の指標なので問題ない
(5) 給水量だけを増やす

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正解:(3)
平均O₂が高くても、バーナ付近の混合不良や霧化不良でCOが生じることがあります。炉・煙道への空気漏入や分析計異常も含め、複数の値と火炎を照合します。

第4問:水面が確認できる低水位へ対応する

【問4】低水位警報が作動しましたが、2個の水面計で水面は安全低水面の直上に確認でき、伝熱面過熱の兆候はありません。常用給水ポンプは停止し、待機ポンプは使用可能です。適切な対応はどれですか。

(1) 原因に関係なく給水を永久に禁止する
(2) 燃焼を最大にして蒸気を作る
(3) 燃焼を安全側へ下げるか遮断し、表示を確認したうえで緊急手順に従い待機給水系を確立し、必要水位を維持する
(4) 水面計を閉じる
(5) 吹出し弁を全開にする

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正解:(3)
水面が確認でき、過熱の疑いがない条件では、燃焼を抑えて給水原因を直し、設備の緊急手順で水位を保ちます。水面が消失し過熱が疑われる場合とは給水判断が異なります。

第5問:圧力異常上昇へ対応する

【問5】負荷側の蒸気弁が急閉し、蒸気流量が低下しましたが、燃料指令は60%のままで圧力が上昇しています。安全弁はまだ作動していません。最も適切な対応はどれですか。

(1) 安全弁が開くまで燃焼を続ける
(2) 安全弁の設定圧力を上げる
(3) 手順に従って燃焼量を下げるか停止し、圧力調節・燃料弁・負荷側弁の状態を確認する
(4) 圧力計のコックを閉じて表示をゼロにする
(5) 給水を全停止すれば圧力が直ちに下がる

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正解:(3)
負荷急減に燃焼制御が追従していません。安全弁を常用制御にせず、燃焼を安全側へ動かして原因を確認します。安全弁の設定変更や固定は行いません。

採点結果と誤答別の復習先

正解数 次の行動
5問 第2回へ進み、火炎・CO・水面計を追加練習
3〜4問 変化の順序と低水位条件を再確認
0〜2問 圧力・水位・燃焼のつながりから復習
  • 問1を誤答:負荷、圧力、気泡量、水の質量を分けて考える
  • 問2・3を誤答:燃料・空気の順序と複数の排ガス指標を確認する
  • 問4・5を誤答:保護動作を優先し、異常原因が残ったまま運転を続けない

次の練習と学習ルート

まとめ

負荷急増では圧力低下とスウェルが同時に起こり得ます。水位だけに反応せず、蒸気流量・給水流量・圧力を時系列で確認します。燃焼増加は空気先行、減少は燃料先行です。

O₂が高くてもCOが増えていれば完全燃焼とは断定できません。低水位は実水位と過熱の疑いで給水可否を分け、圧力上昇時は安全弁任せにせず燃焼制御の異常を正します。

最終更新日:2026年7月30日

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