この5問では、清掃の要否、清掃効果、母材の減肉、化学洗浄の準備、内部作業前の隔離を運転データから判定します。
「すすにはスートブロー」と名称だけを覚えるのではなく、清掃前後の同条件比較と安全な復旧までを一つの作業として考えましょう。
先に押さえる結論
| 観察したもの | 読み取れること | 次の判断 |
|---|---|---|
| 排ガス温度と通風損失が上昇 | 煙側付着物による伝熱・流路の悪化を疑う | 同一負荷で比較し、点検・清掃する |
| 清掃後に燃料使用量が低下 | 同じ出力なら効率改善の手掛かり | 給水温度など他条件もそろえて評価する |
| 付着物の下で肉厚不足 | 清掃では強度は回復しない | 再使用前に評価・補修の要否を決める |
| 洗浄試験で溶解不良 | 予定薬品が付着物に合わない | 組成・母材・排水計画から再設計する |
| 内部へ通じる窒素配管 | 酸素濃度が正常でも流入リスクが残る | 閉止・施錠・表示後に入る |
清掃・整備を完了させる5段階
- 記録:負荷、燃料量、排ガス温度、通風損失、付着位置を残す。
- 隔離:圧力・熱・燃料・薬液・不活性ガスなどの流入源を止める。
- 除去:付着物と母材に合う方法を選び、母材を傷めない。
- 検査:清掃後に孔食、割れ、変形、肉厚、残留物を確認する。
- 復旧:工具・閉止板・仮設物を照合し、漏れと安全装置を確認して再起動する。
以下はすべて当サイト作成の独自問題です。数値と設備状況は問題演習用に設定しています。
問1 煙側清掃の要否を運転値から判定する
同じ蒸気負荷、同程度の給水温度と排ガス酸素濃度で運転記録を比較した。1か月前に205℃だったボイラー出口排ガス温度が232℃へ上がり、ガス側の通風損失も0.45kPaから0.82kPaへ増えている。最初に疑うべき状態はどれか。
- 煙側伝熱面や流路へのすす・灰の付着
- 軟化装置の再生直後であることだけ
- 水面計の蒸気側連絡管の閉塞だけ
- 安全弁の吹出し圧力が低いことだけ
- 給水ポンプの吐出圧力が高いことだけ
問2 清掃による年間燃料削減量
煙側清掃の前後を同じ蒸気負荷で比較すると、燃料使用量が74L/hから69L/hへ低下した。この運転条件が年間1,800時間続くと仮定した場合、年間燃料削減量はいくらか。
- 900L
- 5,000L
- 8,100L
- 9,000L
- 133,200L
問3 スケール除去後に局部減肉を発見した
水管のスケールを除去したところ、その下に孔食が見つかった。超音波厚さ計による局部肉厚は5.8mmで、事業場の保全基準で再使用判定に用いる最小値6.2mmを下回っていた。最も適切な対応はどれか。
- スケールがなくなったため、そのまま再使用する
- 孔食部をさらに削り、表面だけ平らにする
- 防錆剤を塗れば肉厚不足は解消したと扱う
- 測定位置と値を記録し、再使用前に有資格者・検査担当者が補修や交換の要否を評価する
- 水圧を上げて漏れなければ恒久的に問題ないと判断する
問4 化学洗浄を始める前の判断
採取した付着物は炭酸塩と酸化鉄の混合物だった。予定薬品による事前の溶解試験では除去率が低く、洗浄で生じる固形物を捕集する設備と排水処理計画も決まっていない。最も適切な判断はどれか。
- 予定どおり薬品濃度だけを上げて開始する
- 洗浄時間を無期限に延ばして溶けるまで待つ
- 付着物の組成、母材、溶解試験を基に薬品と工程を再検討し、固形物回収・排水処理を決めてから開始する
- インヒビターを入れれば、どの薬品でも母材は侵されない
- 排水処理は洗浄終了後に初めて検討する
問5 内部作業前の窒素配管
停止・冷却したボイラー内部へ入る直前、酸素濃度は20.8%だった。しかし、内部へ通じる窒素配管はバルブを閉じただけで、施錠も「開放禁止」の表示もない。最も適切な対応はどれか。
- 酸素濃度が18%以上なので、そのまま入る
- 窒素は燃えないため、配管の状態を問わず入る
- バルブを少し開け、窒素の流れを確認してから入る
- バルブの閉止または閉止板による遮断を確実にし、施錠・表示を行い、必要な換気と測定を続けてから入る
- 監視人だけ置き、窒素配管は操作可能なままにする
採点結果の見方
| 正解数 | 復習ポイント |
|---|---|
| 5問 | 運転値、損傷、安全措置をつないで判断できています。 |
| 3~4問 | 清掃前後の比較条件と、清掃後の検査を見直しましょう。 |
| 0~2問 | 「記録→隔離→除去→検査→復旧」の順から復習しましょう。 |
関連する解説と次の問題
公式・一次資料
- 安全衛生技術試験協会「公表試験問題」
- 厚生労働省「ボイラー構造規格」
- 厚生労働省「酸素欠乏症等防止規則」
- IHI「バイオマス焚き循環流動層ボイラの運転実績」
- 三菱重工技報「HRSG高圧蒸発器管内スケールの化学洗浄技術」
一次資料の確認日:2026年7月31日。実機の清掃・内部作業では、法令、メーカーの取扱説明書、事業場の作業許可・隔離手順を優先してください。
まとめ
清掃の要否は、同じ負荷条件で排ガス温度や通風損失などを比べて判断します。清掃後は燃料量だけでなく、母材の孔食・肉厚・漏れ・仮設物の回収まで確認します。化学洗浄は分析と溶解試験から設計し、内部作業では正常な酸素濃度だけで安心せず、不活性ガスなどの流入源を確実に隔離しましょう。
最終更新日:2026年7月31日
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