AHUは、部品の並び順より「空気が何を失い、何を受け取ったか」を見ると診断しやすくなります。コイル前後の温度・湿度比、フィルタ差圧と実風量、加湿給水と蒸発量、凝縮水と排水量を同じ時刻で比べます。
この第1回は、顕熱能力26.4kW、蒸発効率を含む加湿給水16.2kg/h、差圧190Paで風量70%、コイル凝縮水22.5kg/h、加湿器の月次点検を扱う独自5択5問です。単一の表示値だけで正常・異常を決めない練習にしてください。
制度・資料確認日:2026年8月8日。厚生労働省の建築物環境衛生管理基準と維持管理基準、日本冷凍空調工業会のAHU資料、国土交通省の機械設備標準資料を照合しました。構造と法定管理の全体は「空気調和機(AHU)とFCUの構造」で解説し、このページは新しい運転値の計算・診断に特化しています。
解く前の3分整理|空気・水・差圧の収支をそろえる
| 見る経路 | 入口と出口 | 代表的な異常 |
|---|---|---|
| 空気 | 温度・湿度比・風量 | 能力不足・バイパス |
| 水 | 冷温水・加湿水・ドレン | 流量不足・閉塞・漏れ |
| 抵抗 | フィルタ・コイル・ダクト差圧 | 目詰まり・破損・測定異常 |
AHUの処理順は機種で異なります。送風機をコイル上流へ置く押込み形も、下流へ置く吸込み形もあります。蒸気加湿も完全な等温変化とは限りません。名称の暗記ではなく、機器表、流れ方向、センサー位置を確認します。
第1問|7,200m3/hを26℃から15℃へ冷やす顕熱
AHU風量7,200m3/h、空気密度1.2kg/m3、比熱1.0kJ/(kg・K)とする。コイル入口26℃、出口15℃のとき、空気側の顕熱冷却能力に最も近いものはどれか。潜熱は別に扱う。
- 2.64kW
- 13.2kW
- 26.4kW
- 79.2kW
- 95.0kW
第2問|蒸発効率80%なら給水16.2kg/h
給気量3,600m3/h、乾き空気密度1.2kg(DA)/m3、加湿前3.5g/kg(DA)、加湿後6.5g/kg(DA)とする。供給水の80%だけが空気中へ蒸発する練習条件で、必要な供給水量に最も近いものはどれか。
- 3.0kg/h
- 10.4kg/h
- 13.0kg/h
- 16.2kg/h
- 21.6kg/h
第3問|差圧190Paでも風量が70%しかない
新品時のフィルタ差圧80Pa、メーカー指定の最終圧力損失220Pa、現在190Paである。差圧計と導圧管は正常だが、ファン回転数上限でも実風量は設計の70%だった。最も適切な対応はどれか。
- 190Paは220Pa未満なので、風量不足を無視して運転を続ける。
- 差圧が新品時の2倍を超えたため、他の条件を見ず法律上必ず交換する。
- ろ材の汚れ・取付・バイパスを点検し、ダンパ・コイル等の抵抗も切り分け、必要風量とメーカー条件に基づき清掃・交換を判断する。
- フィルタを外したまま運転し、粉じん濃度だけを後で確認する。
- 加湿量を増やせば差圧と風量は自動的に正常になる。
第4問|凝縮予測22.5kg/hに対し排水は4kg/h
定常練習として、冷却コイルを通る乾き空気は5,000kg(DA)/h、入口湿度比13.5g/kg(DA)、出口9.0g/kg(DA)だった。一方、ドレン排水の実測は4kg/hである。最も適切な判断はどれか。
- 凝縮予測は4.5kg/hなので、4kg/hとほぼ一致する。
- 凝縮予測は22.5kg/hで、排水との差が大きい。測定条件、コイルの空気バイパス、ドレン滞留・漏れ・飛散、排水計測を確認する。
- 凝縮予測は67.5kg/hで、必ず加湿器を停止する。
- 湿度比差は温度差なので、水の収支には使えない。
- 排水が少ないほど除湿能力は高いので、正常と判断する。
第5問|加湿器の月次点検が1か月を超えた
特定建築物の空気調和設備で、汚れ検知センサーのない加湿装置を冬季連続使用している。使用開始時の1月10日に点検し、直近点検は2月5日、今日は3月12日である。年次清掃は前年10月1日に実施した。最も適切な管理はどれか。
- 年次清掃済みなので、翌年10月まで汚れ点検は不要である。
- 1か月以内ごとの汚れ点検期限を超えているため速やかに点検し、必要に応じて清掃・換水等を行う。年次清掃と供給水の水質管理も別に継続する。
- 相対湿度が40%以上なら、加湿器内部の点検は不要である。
- 使用開始時だけ点検し、以後は異臭が出たときだけ清掃する。
- 供給水は加湿後に蒸発するため、水道法の水質基準へ適合させる措置は不要である。
採点|表示値を収支と点検条件へつなげたか
| 正解数 | 判定 | 復習の焦点 |
|---|---|---|
| 5問 | 運転診断は安定 | 同時刻データで検証 |
| 4問 | 1収支を再確認 | 単位か蒸発効率 |
| 2~3問 | 単一値で判定 | 風量・差圧・水量を結ぶ |
| 0~1問 | 親記事から復習 | AHUの空気と水の経路 |
計算値と実測値が違うときは、すぐ機器能力不足と決めません。センサー、単位、測定位置、過渡状態、バイパス、漏れ、滞留を確認し、同じ条件で再測定します。
間違えた分野の戻り先
- AHU・FCU・加湿器・フィルタ:空気調和機(AHU)とFCUの構造
- 湿度比・露点・冷却除湿:湿り空気線図の読み方
- フィルタ・全熱交換器・活性炭:全熱交換器と空気浄化の診断
- 感染症・レジオネラ・カビの初動:ビルの感染症対策
追加演習
冷却除湿・吸収/吸着・活性炭・ULPAは「空気調和機と加湿装置 ミニテスト第2回」、加湿方式・湿り空気線図・AHU保守は「空気調和機と加湿装置 ミニテスト第3回」で確認できます。
公式の確認先
- 厚生労働省「建築物環境衛生管理基準について」
- 厚生労働省「空気調和設備等の維持管理及び清掃等に係る技術上の基準」
- 厚生労働省「建築物における衛生的環境の維持管理について」
- 日本冷凍空調工業会「エアハンドリングユニットとは」
- 国土交通省「官庁営繕の技術基準」
まとめ|能力・差圧・水量を同じ時刻で比べる
風量7,200m3/hを26℃から15℃へ冷やす顕熱は26.4kWです。3,600m3/hを湿度比3.5から6.5g/kg(DA)へ上げる蒸発量は12.96kg/h、蒸発効率80%なら給水は16.2kg/hになります。
フィルタ差圧190Paが最終値未満でも、風量が70%なら原因調査を止めません。コイルの凝縮予測22.5kg/hに対して排水4kg/hなら水の行き先を追います。加湿装置は使用開始時・使用期間中1か月以内ごとの点検と、1年以内ごとの清掃を分けて管理してください。
制度・資料確認日/最終更新日:2026年8月8日
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