結論:自家用電気工作物は「自分で点検・報告する」のが原則
自家用電気工作物の設置者は、自主的に保安管理を行う義務があります。国の直接検査ではなく、設置者が保安規程に基づいて点検・検査を行い、事故があれば報告する――この「自主保安体制」が電気事業法の基本的な考え方です。
自家用電気工作物の範囲
事業用電気工作物のうち、電気事業の用に供するもの以外のもの。具体的には:
- 600Vを超える電圧で受電する需要設備(ビル・工場の高圧受電設備)
- 小出力発電設備以外の発電設備を持つもの
- 構外にわたる電線路を持つもの
使用前自主検査(竣工検査)
自家用電気工作物を新設・変更した場合、使用開始前に設置者が自主検査を行います。
| 検査項目 | 内容 |
|---|---|
| 外観検査 | 設備の外観・配置・施工状態の確認 |
| 接地抵抗測定 | A種〜D種接地の抵抗値が基準以下か |
| 絶縁抵抗測定 | 電路の絶縁抵抗が基準値以上か |
| 絶縁耐力試験 | 規定電圧を印加して絶縁破壊しないか |
| 保護装置試験 | 継電器・遮断器が正常に動作するか |
定期点検と年次点検
| 種類 | 頻度 | 内容 |
|---|---|---|
| 月次点検 | 月1回程度 | 外観点検、異音・異臭・温度の確認。停電不要 |
| 年次点検 | 年1回 | 停電して実施。絶縁抵抗測定・接地抵抗測定・保護装置試験など |
ビルメンの実務:年次点検は全館停電にして行うため、テナントとの調整が大変です。深夜や休日に実施するのが一般的です。
事故報告(復習+補足)
| 種類 | 期限 | 報告が必要な事故 |
|---|---|---|
| 速報 | 24時間以内 | 感電死亡・感電入院、電気火災、主要設備の破損、波及事故 |
| 詳報 | 30日以内 | 事故原因・経過・対策を詳細に記載 |
波及事故:自家用の事故が他の需要家に停電を波及させる事故。最も避けるべき事故です。保護協調(PAS+地絡継電器)で防止します。
理解度チェック
【第1問】
自家用電気工作物の年次点検で行う項目として、適切でないものはどれか。
(1) 絶縁抵抗測定 (2) 接地抵抗測定 (3) 保護装置試験 (4) 外観点検 (5) 需要率の計算
【第2問】
自家用電気工作物で波及事故が発生した場合の速報期限はどれか。
(1) 直ちに (2) 24時間以内 (3) 48時間以内 (4) 7日以内 (5) 30日以内
【第3問】
自家用電気工作物の保安に関する記述として、正しいものはどれか。
(1) 国が直接検査を行う (2) 設置者が自主的に保安管理を行う (3) 電力会社が点検する (4) 保安規程は不要 (5) 月次点検には停電が必要
【第4問】
使用前自主検査(竣工検査)で実施しないものはどれか。
(1) 外観検査 (2) 接地抵抗測定 (3) 絶縁耐力試験 (4) 電力量の測定 (5) 保護装置試験
まとめ
- 自主保安体制:設置者が自ら保安管理を行う(国の直接検査ではない)
- 竣工検査:外観・接地抵抗・絶縁抵抗・絶縁耐力・保護装置を検査
- 月次点検:外観中心、停電不要
- 年次点検:停電して絶縁抵抗測定等を実施
- 事故報告:速報24時間以内、詳報30日以内
- 波及事故:他の需要家に停電を波及させる最も重大な事故
次の記事では、「電気工事士法と電気用品安全法」を学びます。
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