絶縁の問題は、数値を覚えるだけでは解けません。交流か直流か、どこを接地しているか、配線か機械器具かによって、使う基準が変わります。
設備台帳や点検記録を読み解く場面を使った5問です。まず1つ選び、「解答を見る」を開いて、自分が使った条件と解説の条件を比べてください。
電験三種の法規科目に向けた演習です。考え方から復習したい方は、電気設備技術基準・総則と電路の絶縁の解説も参照してください。
このページでいう「省令」は電気設備に関する技術基準を定める省令、「解釈」は電気設備の技術基準の解釈です。絶縁抵抗は電流の漏れにくさを抵抗値で調べるもの、絶縁耐力は定められた電圧に耐えられる性能を確かめるものです。問題では、この2つを分けて考えます。
第1問|設備台帳の「低圧・高圧」を判定する
研修で次の3つの電路の台帳を整理しています。記載値はいずれも使用電圧で、多線式電路の中性線と他の一線だけに接続する設備ではありません。
- A:直流750Vの電路
- B:交流620Vの電路
- C:交流7,000Vの電路
省令第2条による電圧の区分の組合せとして、正しいものはどれですか。
- (1)A:高圧 B:高圧 C:高圧
- (2)A:低圧 B:低圧 C:高圧
- (3)A:低圧 B:高圧 C:特別高圧
- (4)A:低圧 B:高圧 C:高圧
- (5)A:高圧 B:低圧 C:特別高圧
第2問|同じ200Vでも、絶縁抵抗の判定は同じか
建物の電気使用場所にある低圧配線A~Cについて、絶縁抵抗の記録を確認しています。各配線は過電流遮断器で区切ることができ、解釈第14条の対象です。第13条の例外部分、第16条の機械器具等、電車線などの除外対象には当たりません。
絶縁抵抗の測定は可能で、省令第58条の表により判定します。記載した測定値は、それぞれ必要な電線相互間・電路と大地間を測定した値のうち、最も小さい値です。
- A:三相交流200V。電源は中性点を接地したY結線で、各電線と大地との間は約115V。測定値は0.16MΩ。
- B:三相交流200V。電源側を含め非接地式で、電線間の電圧は200V。測定値は0.16MΩ。
- C:三相交流440V。測定値は0.46MΩ。
この表の絶縁抵抗基準を満たす配線だけを挙げたものはどれですか。
- (1)AとC
- (2)AとB
- (3)BとC
- (4)Cだけ
- (5)A・B・Cのすべて
第3問|絶縁の例外は、装置のどこまでか
地下配管の腐食を抑える電気防食装置と、電気炉を備えた施設の図面を確認しています。電気防食装置には、大地を通じて電流を流すための陽極と、装置へ電気を供給する通常の配線があります。
省令第5条と解釈第13条による、電路を大地から絶縁する原則と例外の説明として、正しいものはどれですか。
- (1)省令ではなく解釈を使って設計する場合は、省令が求める絶縁性能を満たさなくてもよい。
- (2)解釈に従って電路の1か所を接地したら、その電路につながるすべての充電部を大地から絶縁しなくてよい。
- (3)電気炉は解釈第13条に挙がっているため、炉に給電する通常の配線も含め、施設の電路全体を絶縁の例外にできる。
- (4)電気防食装置に接続する配線であれば、屋外の湿った場所では、陽極へ至る部分かどうかに関係なく絶縁を省略できる。
- (5)解釈に従う接地工事の接地点や、電気防食用の陽極などの絶縁できないことがやむを得ない部分が例外になる。装置全体へ広げて判断しない。
第4問|倍率を掛けたあと、下限電圧を確認する
高圧又は特別高圧の交流電路A・Bについて、解釈第15条第1号と15-1表を使い、絶縁耐力試験の電圧を計算します。
- A:最大使用電圧7,200V
- B:最大使用電圧12,000V
両方とも中性点非接地式の架空電線路で、ケーブルは使用していません。解釈第13条の例外部分、第16条の機械器具等、直流電車線には当たらず、第15条の他の確認方法も使いません。
電路と大地の間に加える交流試験電圧の組合せとして、正しいものはどれですか。印加時間はいずれも連続10分間とします。
- (1)A:9,000V B:15,000V
- (2)A:10,500V B:15,000V
- (3)A:10,800V B:18,000V
- (4)A:6,624V B:11,040V
- (5)A:10,500V B:10,500V
第5問|交流ケーブルを直流で試験する場合
最大使用電圧3,600Vの交流電路に、3心ケーブルを使っています。変圧器や回転機など、解釈第16条の機械器具等は試験対象から切り離し、ケーブルの電路だけについて確認します。第13条の例外部分などにも当たりません。
解釈第15条第2号による直流電圧での代替方法を使う場合、規定される試験電圧・時間・加える箇所の組合せとして、正しいものはどれですか。
- (1)直流5,400Vを連続10分間、心線相互間及び心線と大地との間に加える。
- (2)直流7,200Vを連続10分間、心線相互間及び心線と大地との間に加える。
- (3)直流10,800Vを連続10分間、心線相互間及び心線と大地との間に加える。
- (4)直流10,800Vを連続5分間、心線相互間及び心線と大地との間に加える。
- (5)直流10,800Vを連続10分間、心線と大地との間だけに加える。
復習表|省令第58条の絶縁抵抗を選ぶ順序
電気使用場所の低圧電路に適用する表です。解釈第14条の対象と除外を確認したうえで、使用電圧を先に、300V以下なら対地電圧を次に見ます。
| 電路の条件 | 絶縁抵抗の最低値 |
|---|---|
| 使用電圧300V以下で、対地電圧150V以下 | 0.1MΩ |
| 使用電圧300V以下で、上記以外 | 0.2MΩ |
| 使用電圧300V超の低圧電路 | 0.4MΩ |
接地式の対地電圧は電線と大地の間、非接地式では電線間の電圧です。各値は、開閉器又は過電流遮断器で区切れる電路ごとに、電線相互間と電路・大地間に適用します。
絶縁抵抗測定が困難な場合には、解釈第14条第1項第2号に、使用電圧が加わった状態で漏えい電流1mA以下とする方法があります。今回の第2問は測定可能という条件なので、抵抗値の表で判定しました。「抵抗値が足りないとき、条件なしで別の方法へ置き換えればよい」とは覚えないでください。
復習表|解釈第15条で今回使った耐力試験の条件
第13条の例外部分、第16条の機械器具等、直流電車線を除く電路についての整理です。表全体の抜粋なので、別の電圧や接地方式にそのまま広げないようにします。
| 対象・方法 | 電圧と確認する時間 |
|---|---|
| 最大使用電圧7,000V以下の交流電路:第1号 | 最大使用電圧の1.5倍の交流電圧。連続10分間。 |
| 最大使用電圧7,000V超~60,000V以下の交流電路で、中性点非接地式:第1号 | 最大使用電圧の1.25倍。10,500V未満になるときは10,500V。連続10分間。 |
| 電線にケーブルを使う交流電路の直流代替:第2号 | 15-1表の試験電圧の2倍の直流電圧。連続10分間。多心ケーブルは心線相互間と心線・大地間。 |
第1号・第2号の試験箇所は電路と大地の間で、多心ケーブルの場合は心線相互間と心線・大地間です。最大使用電圧15,000V以下の中性点接地式で、中性線を有し、その中性線に多重接地する電路などには別の欄があります。まず対象を決めてから、倍率・下限・交流か直流か・時間を確認しましょう。
間違えた問題から、次の学習へ
- 基礎を読み直す:電気設備技術基準・総則と電路の絶縁で、電圧の意味と絶縁の基準を確認できます。
- 追加演習:電気設備技術基準(総則・電路の絶縁)ミニテスト第2回/電気設備技術基準(総則・電路の絶縁)ミニテスト第3回。
- 前のテーマ:電気工事士法と電気用品安全法で、工事の資格と製品の表示を復習できます。
- 次のテーマ:電気設備技術基準・接地工事で、接地の種類と目的を確認できます。
根拠と確認先
問題の場面、数値の組合せ、選択肢と解説は、この演習のために作成しています。公式過去問や市販教材の問題文を転載したものではありません。
- e-Gov法令検索「電気設備に関する技術基準を定める省令」:第1条(電路の定義)、第2条(電圧区分)、第4・5条(安全の原則と絶縁)、第58条(低圧の絶縁抵抗)。
- 経済産業省「電気設備の技術基準の解釈」(令和7年11月20日改正):冒頭(省令との関係)、第13条(絶縁の例外部分)、第14条(低圧電路)、第15条・15-1表(耐力試験)、第16条(機械器具等)。文献名・版・条番号で参照できます。
- 日本電気技術者協会「絶縁抵抗測定の要領」:測定の考え方と記録を読む際の補助資料。
- 日本電気技術者協会「絶縁抵抗と絶縁耐力」:2つの性能確認の違いを復習する補助資料。
法令確認日:2026年11月5日。省令は2023年3月20日施行版、解釈は2025年11月20日改正版を参照しました。受験時は、その回の適用法令を確認してください。運営者は資格を独学中の個人です。
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