この5問で身につくこと
- 水管内と管外を通るものを区別する
- 蒸気ドラムから上昇管までの循環経路を追う
- 自然循環・強制循環・貫流を戻り経路から判定する
- 水循環が管壁の過熱を抑える理由を説明する
結論:水管ボイラーの判定では、管内を何が通るか、ボイラー水が入口側へ戻るか、何が流れを生むかの三点を確認します。形式名だけでなく系統をたどれば、自然循環式・強制循環式・貫流ボイラーを混同しにくくなります。
基本構造から復習したい場合は「水管ボイラー3方式|自然循環・強制循環・貫流の違い」を先に確認してください。
判定の出発点は「管内が水側」
| 確認場所 | 水管ボイラーで通るもの |
|---|---|
| 水管の内側 | 水、または水と蒸気の混合体 |
| 水管の外側 | 燃焼ガスなどの熱源 |
| 上昇管 | 加熱され、気泡を含んで密度が小さくなった混合体 |
| 下降管 | 比較的密度の大きい水 |
煙管ボイラーは煙管内を燃焼ガスが通ります。名称が似ていても、管内流体は逆です。また「水管内は水だけ」と限定するのも正確ではありません。加熱部では、沸騰によって水と蒸気の混合体になります。
自然循環式は密度差で一周する
代表的な自然循環の経路
気水を分離
水が下降
各管へ分配
気水が上昇
上昇管から蒸気ドラムへ戻り、蒸気と水を分離して循環を続ける
上昇管内の気水混合物は軽く、下降管内の水は重いので、両者の密度差が循環の駆動力になります。高圧になるほど水と蒸気の密度差は小さくなるため、設計条件によっては循環ポンプで流量を確保する強制循環式が有効です。
強制循環と貫流は「水が戻るか」で分ける
| 方式 | 流れを作るもの | 戻り経路 |
|---|---|---|
| 自然循環 | 密度差 | あり |
| 強制循環 | 循環ポンプ | あり |
| 貫流 | 給水ポンプ | なし・一方向 |
ポンプがあるだけで強制循環式とは決められません。貫流ボイラーにも給水ポンプがあります。蒸発部を通った水が入口側へ戻るなら循環式、給水から蒸気まで一方向なら貫流です。気水分離器を持つ機種でも、分離水の戻り経路がなければ循環式の蒸気ドラムとはいえません。
水循環は管壁を内側から冷却する
燃焼ガス側から入った熱は、管壁を通って管内の水へ移ります。適切な流れがあれば、熱は連続して水へ運び去られます。循環の停滞や管内スケールの付着が起きると熱が水へ逃げにくくなり、同じ燃焼量でも管壁温度が上昇するおそれがあります。
水が熱を受け取り
管壁を冷却する
熱を運び去れず
管壁温度が上がる
熱抵抗が増え
局部過熱につながる
この因果関係を理解すれば、「水循環が良いほど伝熱面温度が水温より著しく高くなる」という逆向きの説明を見抜けます。
公式資料の確認先
構造・試験情報確認日:2026年7月30日。問題文、系統例、比較表は独自作成し、公表試験の設問本文や外部図表は転載していません。
第1問:自然循環の経路を並べる
【問1】蒸気ドラムで分離された水が、再び加熱されて気水混合物として蒸気ドラムへ戻るまでの代表的な順序として、最も適切なものはどれですか。
(1) 蒸気ドラム → 下降管 → 下部管寄せ → 上昇管 → 蒸気ドラム
(2) 蒸気ドラム → 上昇管 → 下部管寄せ → 下降管 → 煙突
(3) 下部管寄せ → 蒸気ドラム → 煙管 → 下降管 → 給水タンク
(4) 蒸気ドラム → 過熱器 → 下降管 → 炉筒 → 蒸気ドラム
(5) 蒸気ドラム → 煙道 → 上昇管 → 下部管寄せ → 蒸気ドラム
第2問:自然循環の駆動力低下に対応する
【問2】運転圧力が高くなり、上昇管内の気水混合物と下降管内の水との密度差が小さくなる設計条件で、必要な循環量を確保する方法として最も適切なものはどれですか。
(1) 下降管をすべて煙管へ変更する
(2) 循環ポンプを用いる強制循環式を採用する
(3) 給水を止めて保有水量を減らす
(4) 上昇管を燃料配管として使う
(5) 蒸気ドラムを煙道へ接続する
第3問:系統図から強制循環式を判定する
【問3】ある水管ボイラーでは、蒸発管を出た気水混合物を分離器へ送り、分離した水を循環ポンプで蒸発管入口へ戻しています。この方式として最も適切なものはどれですか。
(1) 強制循環式水管ボイラー
(2) 貫流ボイラー
(3) 炉筒煙管ボイラー
(4) 鋳鉄製組合せボイラー
(5) 電気温水器
第4問:気水分離器がある貫流ボイラーを見分ける
【問4】別のボイラーでは、給水ポンプから加熱管を通って気水分離器へ至りますが、分離水を加熱管入口へ戻す配管はありません。判定として最も適切なものはどれですか。
(1) 気水分離器があるので必ず自然循環式である
(2) 気水分離器があるので必ず強制循環式である
(3) 戻り経路がなく一方向なので、貫流ボイラーと判断できる
(4) ポンプがあるので水管ボイラーではない
(5) 蒸気ドラムがなくても丸ボイラーである
第5問:循環停滞時の管壁温度を予測する
【問5】燃焼量が変わらないまま、ある蒸発管で水の流れが著しく停滞しました。このとき起こり得る変化として最も適切なものはどれですか。
(1) 水へ熱を運び去りにくくなり、管壁温度が異常上昇する
(2) 水の流れが止まるほど管壁は必ず冷える
(3) 管内が燃焼ガス側へ自動的に切り替わる
(4) スケールが瞬時に消え、伝熱が改善する
(5) 循環の有無は管壁温度に影響しない
採点結果と誤答別の復習先
| 正解数 | 次の行動 |
|---|---|
| 5問 | 第2回へ進み、貫流・水管理を追加練習 |
| 3〜4問 | 誤答した系統を入口から指でたどる |
| 0〜2問 | 三方式比較表と循環経路から復習 |
- 問1・2を誤答:密度差と自然循環の一周経路を確認
- 問3・4を誤答:ポンプの有無ではなく、水の戻り経路を見る
- 問5を誤答:水流が管壁から熱を運び去る関係を確認
次の練習と学習ルート
まとめ
水管ボイラーは、管内が水または気水混合物、管外が燃焼ガス側です。自然循環式は密度差、強制循環式は循環ポンプで水を回し、貫流ボイラーは給水から蒸気まで一方向に流します。
設備図では、ポンプや気水分離器の名称だけで決めず、分離水が入口側へ戻るかを確認します。水循環には管壁から熱を運び去る役割もあるため、循環停滞やスケール付着は局部過熱につながります。
最終更新日:2026年7月30日
※当サイトの画像にはAI生成のものが含まれており、実際の機器・器具とは外観が異なる場合があります。問題・解答の内容には細心の注意を払っておりますが、誤りが含まれる可能性があります。学習の参考としてご活用いただき、最終的な確認は公式テキスト・法令等で行ってください。当サイトの情報に基づく判断によって生じた損害について、一切の責任を負いかねます。
内容の誤りやお気づきの点がございましたら、お問い合わせフォームよりご連絡いただけますと幸いです。正確な情報をお届けできるよう、随時修正してまいります。