ミニテスト

時間換算・換算蒸発量・効率からボイラー性能を判定する計算問題5問【第1回】

この5問で身につくこと

  • 運転時間と蒸気質量から毎時蒸発量を求める
  • 比エンタルピー差から換算蒸発量を計算する
  • 蒸気の吸収熱量と燃料の供給熱量から効率を求める
  • 電気ボイラーの最大電力容量を法定伝熱面積へ換算する

結論:容量・効率・伝熱面積は、単位と役割が違います。蒸発量はkg/h、効率は%、伝熱面積はm²です。式へ数値を入れる前に「1時間当たりか」「熱量の基準は同じか」をそろえると、計算ミスを減らせます。

各用語の定義と法令上の算定範囲は「ボイラーの容量・効率・伝熱面積|換算蒸発量の計算」で確認できます。

最初に四つの指標を分ける

指標 何を表すか 単位
実際蒸発量 実条件で発生した蒸気 kg/h
最大連続蒸発量 連続して発生できる最大量 kg/h・t/h
換算蒸発量 基準状態に換算した能力 kg/h
ボイラー効率 供給熱のうち蒸気が得た割合

45分間の発生量をそのままkg/hと書くことはできません。たとえば45分で3,600kgなら、1時間相当は3,600÷45×60=4,800kg/hです。t/hへ直すなら1,000で割って4.8t/hです。

換算蒸発量は「蒸気が得た熱」を基準熱量で割る

換算蒸発量 Ge

Ge = G ×(h₂ − h₁)÷ 2,257

G:実際蒸発量、h₂:蒸気、h₁:給水の比エンタルピー

2,257kJ/kgは、100℃の飽和水1kgを同温度の乾き飽和蒸気にする基準熱量です。実条件で蒸気1kgが受け取った熱は、h₂−h₁で求めます。

例:G=1,800kg/h、h₂=2,790kJ/kg、h₁=340kJ/kgなら、比エンタルピー差は2,450kJ/kgです。

  1. 換算係数:2,450÷2,257=約1.0855
  2. 換算蒸発量:1,800×1.0855=約1,954kg/h

実際蒸発量より大きくなるのは、今回の実条件で蒸気1kgが得た熱量2,450kJが、基準の2,257kJより大きいからです。

ボイラー効率は分子と分母を同じ時間でそろえる

ボイラー効率 η

η = G ×(h₂ − h₁)÷(F × HL)× 100

F:燃料消費量、HL:燃料の低発熱量

例:G=3,000kg/h、h₂=2,760kJ/kg、h₁=335kJ/kg、F=225kg/h、HL=42,000kJ/kgとします。

  1. 蒸気の吸収熱:3,000×(2,760−335)=7,275,000kJ/h
  2. 燃料の供給熱:225×42,000=9,450,000kJ/h
  3. 効率:7,275,000÷9,450,000×100=約77.0%

効率は機種だけで固定されません。負荷、空気比、排ガス温度、すす・スケール、ブロー量などで変わります。また、低発熱量基準と高発熱量基準を混ぜると比較できないため、使用した発熱量の基準も記録します。

燃料消費の増加は「効率低下の合図」であって原因名ではない

蒸気量、給水・蒸気の比エンタルピー、燃料発熱量が同じなのに、燃料消費量だけが225kg/hから250kg/hへ増えたとします。分子は同じまま分母が増えるため、計算上のボイラー効率は低下します。

計算で分かること
同じ有効出力に
より多くの燃料が必要
追加確認が必要
排ガス・空気比・汚れ
ブロー・計器誤差など

燃料流量だけから「原因は必ずすす」と断定はできません。運転条件をそろえたうえで、排ガス温度、酸素濃度、伝熱面の汚れ、蒸気・燃料流量計の状態を確認します。

伝熱面積は法令の算定方法で求める

伝熱面積は熱交換に関係しますが、面積が大きいだけで効率や蒸発量が必ず大きくなるわけではありません。温度差、熱伝達、水循環、汚れ、燃焼状態も影響します。

形式 法令上の基本
水管・電気以外 ガス側に触れ、裏面が水・熱媒に触れる本体面
水管 燃焼ガス等に触れる水管・管寄せ等を規定どおり合算
貫流 燃焼室入口から過熱器入口までの該当水管面
電気 最大電力設備容量60kWを1m²として換算

最大電力設備容量360kWの電気ボイラーなら、360÷60=6m²です。外形寸法や電極の実表面積を測って求めるのではありません。

公式資料の確認先

公式資料・現行法令確認日:2026年7月30日。問題文、数値、計算過程、設備事例、比較表は独自作成し、公表試験の設問本文や外部図表は転載していません。

ボイラーの容量・効率・伝熱面積 ミニテスト

第1回 第2回 第3回

第1問:45分間の蒸気量を毎時へ換算する

【問1】運転状態が一定の45分間に3,600kgの蒸気を発生しました。この時間帯の実際蒸発量を1時間当たりで表した値はどれですか。

(1) 2,700kg/h
(2) 3,600kg/h
(3) 4,050kg/h
(4) 4,800kg/h
(5) 5,400kg/h

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正解:(4)
3,600÷45=80kg/min、80×60=4,800kg/hです。45分間の総量3,600kgと、1時間当たりの質量流量kg/hを混同しないようにします。t/hなら4.8t/hです。

第2問:換算蒸発量を求める

【問2】実際蒸発量1,800kg/h、発生蒸気の比エンタルピー2,790kJ/kg、給水の比エンタルピー340kJ/kgです。換算蒸発量として最も近い値はどれですか。

(1) 1,657kg/h
(2) 1,800kg/h
(3) 1,954kg/h
(4) 2,257kg/h
(5) 4,410kg/h

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正解:(3)
比エンタルピー差は2,790−340=2,450kJ/kgです。1,800×2,450÷2,257=約1,954kg/hとなります。今回は実条件の1kg当たり吸収熱が基準値より大きいため、換算値は実際蒸発量より大きくなります。

第3問:燃料基準のボイラー効率を求める

【問3】G=3,000kg/h、h₂=2,760kJ/kg、h₁=335kJ/kg、燃料消費量225kg/h、燃料の低発熱量42,000kJ/kgです。ボイラー効率として最も近い値はどれですか。

(1) 63.0%
(2) 70.0%
(3) 77.0%
(4) 84.0%
(5) 92.5%

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正解:(3)
蒸気の吸収熱は3,000×(2,760−335)=7,275,000kJ/h、燃料の供給熱は225×42,000=9,450,000kJ/hです。7,275,000÷9,450,000×100=約77.0%となります。

第4問:燃料消費量の増加を診断する

【問4】蒸気量、給水・蒸気条件、燃料の発熱量は同じですが、燃料消費量だけが225kg/hから250kg/hへ増えました。この記録から直接いえることとして最も適切なものはどれですか。

(1) 計算上の効率は低下したが、原因特定には排ガス・空気比・汚れ・計器などの追加確認が必要
(2) 伝熱面積が自動的に小さくなったと断定できる
(3) 原因は必ず水側スケールだけである
(4) 燃料が増えたので効率は必ず上昇した
(5) 蒸気量が同じなら効率は変化しない

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正解:(1)
有効出力が同じまま燃料入力が増えたため、計算上の効率は低下します。ただし、この二つの流量だけでは原因を一つに決められません。排ガス温度・酸素濃度、すす・スケール、ブロー量、計器誤差などを順に確認します。

第5問:電気ボイラーの法定伝熱面積を求める

【問5】最大電力設備容量360kWの電気ボイラーがあります。ボイラー及び圧力容器安全規則第2条による伝熱面積はいくらですか。

(1) 3m²
(2) 6m²
(3) 12m²
(4) 18m²
(5) 60m²

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正解:(2)
電気ボイラーは最大電力設備容量60kWを1m²とみなします。360÷60=6m²です。実際の外形面積を測る問題ではなく、法令で定めた換算です。

採点結果と誤答別の復習先

正解数 次の行動
5問 第2回へ進み、排熱回収も追加練習
3〜4問 単位と式の分子・分母を再確認
0〜2問 時間換算から一段ずつ解き直す
  • 問1を誤答:測定時間を60分へ換算
  • 問2・3を誤答:h₂−h₁を先に計算し、単位をそろえる
  • 問4・5を誤答:性能診断と法定換算を別問題として整理

次の練習と学習ルート

まとめ

蒸発量は測定時間を1時間へそろえ、換算蒸発量は実際蒸発量に比エンタルピー差を掛けて2,257で割ります。効率は蒸気の吸収熱量を燃料の供給熱量で割るため、時間と発熱量の基準を統一します。

効率低下が分かっても、流量だけから原因を断定はできません。伝熱面積も面積だけで性能を決める値ではなく、法令上は形式ごとの方法で算定します。電気ボイラーは60kWを1m²として換算します。

最終更新日:2026年7月30日

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