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低水位・プレパージ・失火時の安全シーケンスを判定する問題5問【第1回】

この5問で身につくこと

  • 通常の自動制御と、危険時に燃料を遮断する安全機能を区別する
  • 低水位・着火失敗・失火・擬似火炎で装置が取るべき動作を判断する
  • プレパージ「4倍」という数値を適用範囲ごと覚える
  • 停電復帰やトリップ後に安易な自動再始動をさせない理由を説明する

結論:燃焼安全装置の基本は、異常を検出したら燃料を安全側へ遮断し、原因が残ったまま燃焼を再開させないことです。圧力や水位を目標値へ近づける制御と、危険条件で燃焼を止める保護を混同しないようにします。

構成機器と制御方式を先に復習する場合は「自動制御装置と燃焼安全装置」を参照してください。本記事では、運転場面から安全シーケンスを判定します。

自動制御は「検出・判断・操作」のループで動く

検出
圧力・温度・水位・火炎
判断
調節器・安全制御器
操作
弁・ダンパ・遮断弁

通常制御では、検出値と設定値の差に応じて燃料弁やダンパを動かします。一方、安全制御では、許容できない状態を検出すると燃料遮断などの保護動作を優先します。安全インタロックを通常の負荷調節で代用することはできません。

オンオフ・ハイロー・比例制御の違い

方式 出力の変化 判断の要点
オンオフ 運転・停止の二位置 頻繁な発停を防ぐ動作すき間を設ける
ハイロー 高燃焼・低燃焼など 段階的に容量を変える
比例 偏差に応じ連続的に変化 負荷追従性と安定性を調整する

これらは主に蒸気圧力などを保つための燃焼量制御です。たとえば圧力が設定値へ達して燃焼量を下げる動作と、失火を検出して燃料を緊急遮断する動作は目的が異なります。

シーケンスとインタロックを分けて考える

シーケンス制御は、定めた順序と条件に従って起動・停止を進める制御です。代表的には、起動要求、起動条件確認、通風、プレパージ、点火、火炎確認、主燃料投入という流れがあります。

インタロックは、必要条件が成立しないと次の操作を許可しない仕組みです。低水位や通風不足なら点火へ進めない、火炎を確認できなければ燃料供給を続けない、という関係です。実際の順序・時間・許可条件は、設備の形式、法令上の適用、メーカーの取扱説明書とシーケンス図で確認します。

低水位では自動給水の有無だけで判断しない

現行のボイラー構造規格第84条は、蒸気ボイラーに自動給水調整装置を設けることを原則とし、貫流ボイラー以外では、起動時または運転中に水位が安全低水面以下となった場合に燃料供給を自動遮断する装置を求めています。貫流ボイラーでも給水不足時の自動燃料遮断または同等の安全措置が必要です。

したがって「自動給水ポンプが動いたから、低水位のまま点火してよい」とは判断できません。水位検出器、給水系、遮断信号を確認し、安全水位と再始動条件を満たしてから所定の手順へ戻ります。規格には用途・構造に応じた例外もあるため、個別設備の適用条文を確認します。

プレパージ4倍は適用範囲まで覚える

重要:「すべてのボイラーは、点火前に必ず炉内容積の4倍だけ換気する」という覚え方は不正確です。

厚生労働大臣が定める自動制御装置の告示では、その装置が満たす条件として、点火前に燃焼室および煙道の内容積の4倍以上の空気量で換気することが示されています。これは告示対象装置の要件です。すべての設備へ数値だけを切り離して一律適用してはいけません。

実機では、適用法令、バーナ・炉の形式、燃料、風量確認方法、メーカー指定のパージ量・時間を確認します。目的は炉内や煙道に残る未燃ガスを排出し、点火時の爆発的燃焼を防ぐことです。時間だけ経過しても、必要な通風が成立していなければ目的を果たせません。

火炎検出器は「炎があるか」を安全制御器へ伝える

火炎検出器には、火炎の光、熱、電気的性質などを利用する方式があります。フレームロッドは火炎の整流作用、光電式検出器は紫外線・可視光・赤外線などを利用します。燃料やバーナの特性に合う方式を使い、のぞき窓の汚れ、取付方向、配線、接地、感度を点検します。

検出状態 安全側の基本動作
点火操作後も火炎なし 燃料を遮断し、手動操作なしに再始動させない
燃焼中に失火 異常を検出し、直ちに燃料を遮断する
燃焼前なのに火炎信号あり 擬似火炎として燃焼を開始しない

擬似火炎とは、実際には火炎がないのに火炎ありの信号が出る状態です。高温耐火物の放射、外光、検出器・増幅回路の異常などが候補になります。信号を無視して点火するのではなく、検出器と回路を点検します。

停電復帰とトリップ復帰はフェイルセーフで考える

ボイラー構造規格第85条では、燃焼安全装置の操作用動力源が失われた場合に直ちに燃料供給を遮断し、動力源が失われている間と復帰時に遮断が自動解除されないことを求めています。停電復帰だけで燃料弁が開き、無人で再点火する設計では安全側になりません。

トリップ後は、最初に成立した警報・遮断原因であるファーストアウトを記録します。その後に出た二次的な警報と区別し、燃料が残っていないか、通風・水位・検出器が正常かを確認します。原因を除去し、指定のパージを含む復帰手順を守ります。リセットの反復やインタロックの短絡は行いません。

機能試験は記録と組み合わせる

2026年施行の性能検査基準でも、水位検出器、火炎検出器、燃料遮断装置について損傷・劣化の有無と機能試験記録を確認する考え方が示されています。表示灯が点くだけでなく、検出から遮断まで意図した安全動作になるかを、設備ごとの点検要領で確認します。

公式・技術資料の確認先

現行規格・技術情報確認日:2026年7月30日。令和8年4月掲載の公表問題は2026年1月以降施行の法令に未対応との注意書きがあるため、法令事項は現行の厚生労働省資料と照合しています。問題文・選択肢・診断事例は独自作成です。

自動制御・燃焼安全 ミニテスト

第1回 第2回 第3回

第1問:起動前の低水位を判定する

【問1】自動給水調整装置を備えた蒸気ボイラーで、起動要求が出ましたが、水位は安全低水面以下です。最も適切な対応はどれですか。

(1) 自動給水ポンプがあるので直ちに点火する
(2) 低水位信号を短絡し、燃焼後に水位を戻す
(3) 燃料を遮断した状態で給水系と水位検出を確認し、安全条件を満たしてから所定の起動手順へ戻る
(4) 火炎検出器だけ正常なら低水位は無視する
(5) 主蒸気弁を開けば水位に関係なく点火できる

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正解:(3)
自動給水があることは、低水位のまま点火してよい理由になりません。燃料遮断を維持し、水位計・検出器・給水経路を確認します。安全水位と個別設備の再始動条件を満たしたうえで起動します。

第2問:プレパージ4倍の説明を選ぶ

【問2】点火前換気について「法令上、全ボイラーが炉内容積の4倍の空気でプレパージすれば十分」と説明されました。最も適切な訂正はどれですか。

(1) 4倍はどの設備にも適用される上限値である
(2) 告示対象の自動制御装置では燃焼室と煙道の内容積の4倍以上が要件であり、実機は適用法令とメーカー指定条件を確認する
(3) プレパージは燃焼停止後だけ行う
(4) パージ中は通風がなくても時間だけ測ればよい
(5) 液体燃料なら未燃ガスがないのでプレパージは不要である

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正解:(2)
4倍以上という数値は、厚生労働大臣が定める自動制御装置の告示にある要件です。対象と範囲を外して一律暗記せず、設備に適用される規定とメーカーのシーケンスを確認します。

第3問:点火前の擬似火炎を判断する

【問3】主燃料遮断弁が閉じ、まだ点火操作をしていないのに火炎ありの信号が出ました。取るべき動作はどれですか。

(1) 火炎確認済みとして主燃料弁を開く
(2) 感度を最大にしてそのまま点火する
(3) 擬似火炎として燃焼開始を禁止し、検出器、視野、配線、安全制御器を点検する
(4) 水位計を閉じれば信号は必ず消える
(5) 警報だけ止めて自動再始動させる

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正解:(3)
燃焼前の火炎信号は、実際の炎以外を検出している可能性があります。規格上も、この状態で燃焼を開始しないことが必要です。検出器の汚れ・向き・外光・高温部・回路を点検します。

第4問:燃焼中の停電復帰を判定する

【問4】燃焼中に燃焼安全装置の操作用電源が失われ、その後復電しました。設計上の基本動作として適切なものはどれですか。

(1) 停電中も燃料弁を開いたままにする
(2) 電源喪失時に燃料を遮断し、復電だけでは遮断を自動解除しない
(3) 復電と同時にパージを省略して点火する
(4) 火炎検出器への電源だけ切り、燃料供給を続ける
(5) 安全遮断は圧力計の指示と無関係なので不要である

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正解:(2)
操作用動力源を失ったときは燃料を安全側へ遮断します。復電で遮断が勝手に解除されると、炉内条件を確認しない再点火につながるため、原因確認と指定の手動復帰が必要です。

第5問:失火トリップ後の対応を選ぶ

【問5】燃焼中に火炎消失でトリップし、直後に通風圧力低下など複数の警報も出ました。最初に行う対応として最も適切なものはどれですか。

(1) 原因が分かるまでリセットを繰り返す
(2) インタロックを短絡して燃焼を再開する
(3) 最初に成立したファーストアウトを記録し、燃料遮断を確認して原因を調べ、指定のパージ・手動復帰手順に従う
(4) 後から出た警報だけを原因と断定する
(5) 火炎検出器を取り外したまま運転する

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正解:(3)
最初の異常が別の警報を連鎖させることがあります。時系列とファーストアウトを保存し、安全遮断を確認して一次原因を調べます。原因除去後も、設備指定のパージと再始動条件を省略しません。

採点結果と誤答別の復習先

正解数 次の行動
5問 第2回へ進み、制御方式とインタロックを追加練習
3〜4問 低水位・火炎監視・停電復帰を再確認
0〜2問 検出・判断・操作の流れから復習
  • 問1を誤答:自動給水と低水位遮断を別の安全機能として整理する
  • 問2を誤答:数値だけでなく告示の対象と実機条件を確認する
  • 問3〜5を誤答:危険時は遮断し、原因確認なしに自動復帰させない

次の練習と学習ルート

まとめ

通常の自動制御は圧力などを目標へ近づけ、燃焼安全装置は異常時に燃料を遮断して危険側への進行を止めます。低水位、着火失敗、失火、擬似火炎、操作電源喪失では、安全側の動作を優先します。

プレパージの数値は適用範囲と一緒に確認し、実機ではメーカー指定の風量・時間・成立条件に従います。トリップ後はファーストアウトを保存し、原因除去、必要なパージ、手動復帰の順序を守ります。

最終更新日:2026年7月30日

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