ミニテスト 建築物環境衛生管理技術者

温熱環境ミニテスト第1回|熱収支・作用温度・PMVの5問

同じ26℃でも、窓際、吹出口の下、歩行中、厚着では体感が変わります。温熱環境は気温だけでなく、湿度、気流、平均放射温度、代謝量、着衣量の6要素と人体の熱収支で考えます。

この第1回は、固定割合の丸暗記ではなく、測る項目と指標を選ぶ独自5択5問です。作用温度の概算とPPDの読み方も、計算過程から確認してください。

規格・資料確認日:2026年8月8日。ISO 7730:2025、ANSI/ASHRAE Standard 55-2023、UC Berkeley CBE、環境省のWBGT資料を確認しました。基礎解説は「人体の体温調節と温熱環境|PMV・PPD・SET*・WBGTを比較」に分け、このページは条件から判断する演習に特化しています。

解く前の3分整理|6要素と指標の役割

分類 要素・指標 何を見るか
環境4要素 気温・湿度・気流・放射 周囲との熱交換
人体2要素 met・clo 産熱・着衣断熱
PMV・PPD 平均温冷感・不満率 集団の快適性
作用温度 気温・放射 両者の統合
WBGT 湿度・放射・気温等 暑熱ストレス

PMVが中立でも全員が快適になるわけではなく、窓面の放射、上下温度差、ドラフトなどの局所不快感が残ります。快適性と熱中症リスクも別の目的です。

第1問|放熱割合は環境で変わる

安静な室内と、高温多湿の機械室について、人体の放熱経路を評価する。最も適当なものはどれか。

  1. どの環境でも放射45%、対流30%、蒸発25%で固定する。
  2. 放熱割合は活動、着衣、気温、放射、湿度、気流で変わるため、固定割合を両室へ当てはめない。
  3. 気温が皮膚温に近づくほど、対流と放射だけで熱を逃がしやすくなる。
  4. 湿度が高いほど、汗は速く蒸発する。
  5. 人体の熱収支に平均放射温度は関係しない。
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正解:2

放射、対流、蒸発、伝導による熱交換の割合は、環境と人体条件で変わります。穏やかな室内では放射・対流による乾性放熱が大きくなりやすい一方、気温が皮膚温へ近づくと乾性放熱が難しくなり、蒸発の重要性が増します。

1は特定条件の目安を普遍化しています。3は温度差が小さくなるほど乾性放熱が減るため逆です。4も逆で、高湿度では汗が蒸発しにくくなります。5の平均放射温度は、壁・窓・天井などとの放射熱交換に関係します。

第2問|同じ室温でもmetとcloを変える

同じ26℃のフロアで、冬服の座位事務者と、薄着で荷物を運ぶ作業者の温冷感をPMVで比較する。入力条件として、最も適当なものはどれか。

  1. 室温が同じなので、気温だけ入力すればよい。
  2. 両者ともmetとcloを同じ値に固定する。
  3. 環境4要素に加え、作業ごとのmetと衣服構成ごとのcloを別々に設定する。
  4. metは着衣量、cloは代謝量の単位として入力する。
  5. 照度と騒音を温熱6要素として入力する。
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正解:3

PMVの入力は、気温、相対湿度、気流、平均放射温度という環境4要素と、代謝量met、着衣熱抵抗cloです。荷物運搬では座位事務より代謝による産熱が増え、冬服では薄着より断熱性が上がります。同じ室温でも結果は同じになりません。

1・2は人体側の条件差を消しています。4は単位が逆で、metが代謝量、cloが着衣量です。1metは58.15W/m2、1cloは0.155m2・K/Wに相当します。5の照度と騒音は別の環境評価項目です。

第3問|窓際の作用温度を概算する

気温27℃、平均放射温度19℃、気流が弱く両者の熱伝達の重みが近い窓際で、作用温度を単純平均で概算するといくらか。

  1. 8℃
  2. 19℃
  3. 23℃
  4. 27℃
  5. 46℃
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正解:3

条件どおり単純平均すると、(27+19)÷2=23℃です。室温計は27℃でも、冷たい窓面との放射熱交換により、体感は室温だけから想像するより低くなり得ます。

1は差、2・4は片方だけ、5は合計です。ただし、作用温度を常に単純平均するわけではありません。気流が強い場合などは、対流と放射の熱伝達係数による重みを考えます。現場では黒球温度等も使って放射環境を確認します。

第4問|PMVが+1と-1のPPD

A区画のPMVが+1.0、B区画が-1.0だった。PMVとPPDの関係として、最も適当なものはどれか。

  1. Aはやや暖かい、Bはやや涼しい方向で、PPDはいずれも約26%になる。
  2. 符号が反対なので、AのPPDは約26%、BのPPDは0%になる。
  3. PMVが0なら、PPDも0%になる。
  4. PMVは個人一人の温冷感を必ず言い当てる。
  5. PPDは気温だけから計算する。
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正解:1

PMVの正は暖かい側、負は涼しい側です。PPDの式にはPMVの2乗・4乗が入るため、絶対値が同じ+1と-1のPPDは同じで、いずれも約26.1%です。方向は反対でも、平均的な中立からの離れ方は同じということですね。

2は符号と不満率を混同しています。3も誤りで、PMV=0でもPPDの理論上の最小は5%です。4は集団平均の予測を個人診断へ広げすぎています。5のPPDは温熱6要素から得たPMVをもとに算出します。

第5問|快適性と暑熱リスクを分ける

事務室の「窓際だけ寒い」という苦情と、夏の屋上設備点検の熱中症リスクを評価する。指標の使い分けとして、最も適当なものはどれか。

  1. 両方とも室温だけで判断する。
  2. 事務室はPMV・PPDと局所不快感、屋上作業は現場のWBGTと作業・着衣・体調等を確認する。
  3. 事務室はWBGTだけ、屋上はPMVだけで判断する。
  4. SET*の数値を、そのまま建築物衛生法の室温として扱う。
  5. 地域のWBGT予測値があれば、日射を受ける屋上での実測は常に不要である。
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正解:2

PMV・PPDは健康な人が中等度の室内環境にいる場合の平均的な快適性評価に使います。窓際では、平均値だけでなく冷たい窓面、下降冷気、吹出口、上下温度差などの局所不快感を調べます。SET*は実環境と熱損失が等価な標準環境の温度であり、法定室温そのものではありません。

WBGTは暑熱ストレス・熱中症予防の指標です。屋上では日射、照り返し、風、作業強度、服装、暑熱順化、体調が地域代表値と異なるため、作業場所で把握します。1・3・4は指標の目的を取り違え、5は局所条件を落としています。

採点|測る項目と使う指標を選べるか

正解数 判定 次の確認
5問 使い分けは安定 局所不快感も診断する
4問 計算を1つ再確認 入力条件を記録する
2~3問 指標が混在 目的と出力単位を分ける
0~1問 基礎から復習 温熱6要素を言えるようにする

計算値だけでなく、測定位置・時刻、気温、湿度、気流、平均放射温度、met、cloを残してください。同じPMVでも、局所不快感や個人差で申告は変わります。

間違えた分野の戻り先

追加演習

温熱6要素とPMV・PPDの用語を別の角度から確認する場合は「人体の生理と温熱環境 ミニテスト第2回」、WBGTと体温調節の横断問題は「人体の生理と温熱環境 ミニテスト第3回」へ進めます。第1回の5問で判断手順を固めてから利用してください。

公式・専門機関の確認先

まとめ|固定割合ではなく熱収支で考える

人体の放熱割合は環境で変わるため、放射45%などを全場面へ固定しません。気温、湿度、気流、平均放射温度、met、cloをそろえ、窓際では作用温度と局所不快感も見ます。気温27℃・平均放射温度19℃なら、条件を限定した概算作用温度は23℃です。

PMVが+1と-1では温冷感の方向は反対ですが、PPDはいずれも約26%です。PMV・PPDとSET*は室内快適性、WBGTは暑熱ストレスが中心で、目的を入れ替えません。

規格・資料確認日/最終更新日:2026年8月8日

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