省エネ効果は、BEMSのグラフが下がっただけでは確定しません。気象・在館条件をそろえた基準線を作り、kWとkWhを分け、時刻・単位・欠測を確認してから、設備の是正前後を比べます。
この第1回は、基準使用量16.4MWh、削減率10.0%、30分平均60kW、固定入力を含むVFD削減29.57MWh、同時加熱冷却の診断を扱う独自5択5問です。
資料確認日:2026年8月9日。資源エネルギー庁、国土交通省、米国DOEのEMIS・計測検証・ファン制御資料を照合しました。BEMS、BEI、TAB、外気冷房の全体像は「BEMSと省エネ検証」で解説し、このページは別の運転値による判断演習に特化しています。
解く前の3分整理|見える化を是正と検証へつなぐ
| 段階 | 確認するもの | 避ける判断 |
|---|---|---|
| 基準線 | 気象・在館・負荷 | 前年料金だけで比較 |
| データ | 単位・時刻・欠測 | ずれた系列を演算 |
| 診断 | 指令・実動作・熱量 | グラフだけで故障断定 |
| 是正 | 設定・弁・ダンパ・保全 | 安全条件を解除 |
| 検証 | 同条件の前後値 | 瞬間値だけで完了 |
kWはある時点・区間の平均的な電力、kWhは時間を掛けた電力量です。設計性能を示すBEIと、運用後の実測削減率も別物です。省エネ対策は室内環境、最低外気量、安全インターロック、設備の許容範囲を守って実施します。
第1問|補正後の基準16.4MWhから10.0%削減
ある月の対策前モデルを「基準電力量[kWh]=12,000+25×冷房度日+120×在館日数」とした。対策後の月は冷房度日80、在館20日、実績14,760kWhだった。モデルをそのまま適用できる条件とし、回避電力量と削減率の組合せとして最も近いものはどれか。
- 1,240kWh・7.8%
- 1,640kWh・10.0%
- 2,000kWh・12.2%
- 2,400kWh・16.3%
- 14,760kWh・90.0%
第2問|100kWを15分・20kWを15分なら60kWと30kWh
30分区間の前半15分を100kW、後半15分を20kWで一定運転した。この30分の平均電力と電力量の組合せはどれか。ここでは平均電力=区間電力量÷0.5時間とする。
- 20kW・10kWh
- 30kW・15kWh
- 60kW・30kWh
- 100kW・50kWh
- 120kW・60kWh
第3問|固定2kWを含むVFD運転の削減は29.57MWh
全速時の電気入力20kWのうち、回転数で変わらない固定入力が2kW、相似則で回転数比の3乗に比例する部分が18kWある。年間2,500時間を70%回転へ変更し、効率等は一定とする。全速運転と比べた年間削減電力量に最も近いものはどれか。
- 11.83MWh
- 20.44MWh
- 29.57MWh
- 32.85MWh
- 45.00MWh
第4問|COP異常の前に8分の時刻ずれを直す
BEMSで冷水熱量と冷凍機電力からCOPを演算したところ、起動時だけ異常に低い。確認すると、電力メーターの時刻が熱量計より8分遅く、欠測補完の印も画面に出ていなかった。最初の対応として最も適切なものはどれか。
- 冷凍機を直ちに更新する
- COPの低い区間だけ削除する
- 冷水温度設定を限界まで下げる
- 時刻・単位・積算周期・欠測を整合させ、同じ区間で再演算する
- 熱量計の値を一律2倍する
第5問|冷却弁75%・加熱弁60%は同時加熱冷却を疑う
通常冷房中の空調機で、冷却弁指令75%、加熱弁指令60%が2時間継続した。除湿再熱の要求はなく、給気は冷却コイル後12℃、加熱コイル後18℃、室温24℃で安定している。最初の診断と是正後の確認として最も適切なものはどれか。
- 正常とし、確認を終える
- 換気を停止して両弁を閉じる
- 冷却設定をさらに下げ、加熱を増やす
- 安全連動を解除して強制的に片方だけ動かす
- センサー、指令と実開度、弁漏れ、制御シーケンスを確認し、是正前後を同じ外気・負荷で比較する
採点|数字を「設備を直す根拠」にできたか
| 正解数 | 判定 | 復習の焦点 |
|---|---|---|
| 5問 | 運用診断は安定 | 実トレンドで検証 |
| 4問 | 1境界を再確認 | 単位か基準線 |
| 2~3問 | 単純比較が残る | 時刻・固定損失・条件 |
| 0~1問 | 親記事から復習 | 計測→診断→是正→検証 |
エネルギーマネジメントは、使用実態を把握し、計画、是正、点検を継続して初めて機能します。DOEのEMIS資料も、可視化だけでなく、基準線、計測検証、故障検知、保全との接続を機能として挙げています。
間違えた分野の戻り先
- BEMS・基準線・BEI・TAB:BEMSと省エネ検証
- 冷凍機の熱量・機器COP・システムCOP:冷凍機・ヒートポンプの運転診断
- VFD・送風機全圧・風量:ダクト・吹出口・送風機の診断
- 自動制御・指令値と実動作:PID制御と流体計算
追加演習
TAB、需要制御換気、蓄熱、照明、冷却塔は「省エネルギーと維持管理ミニテスト第2回」、ファン則、フィルタ、ZEB、旧CEC、総合判断は「省エネルギーと維持管理ミニテスト第3回」で確認できます。
公式資料の確認先
- e-Gov法令検索「エネルギーの使用の合理化及び非化石エネルギーへの転換等に関する法律」
- 国土交通省「建築物省エネ法のページ」
- 米国DOE「Energy Management Information System Capabilities」
- 米国DOE「EMIS Technical Resources Report」
- 米国DOE「Measurement and Verification Options」
- 米国DOE「Variable-Speed Fan」
まとめ|16.4MWhの基準線から同時加熱冷却まで追う
気象・在館を補正した基準16.4MWhに対して実績14.76MWhなら、回避電力量1.64MWh、削減率10.0%です。100kWを15分、20kWを15分なら、30分平均60kW・電力量30kWh。固定2kWを含むVFDの例では、70%回転2,500時間の年間削減は29.57MWhでした。
演算前には時刻、単位、積算周期、欠測をそろえます。冷却と加熱が同時に高開度なら、センサー、実開度、弁漏れ、制御競合を確認し、同じ外気・負荷条件で是正前後を比べてください。BEMSはグラフを出す装置ではなく、保全判断を閉じるための道具です。
資料確認日/最終更新日:2026年8月9日
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