ミニテスト

冷媒配管の圧力損失・油戻し・材料選定 ミニテスト5問【第1回】

この5問で身につくこと

  • 液管の立上がりで失う圧力を計算する
  • 膨張弁入口のフラッシュ余裕を数値で判定する
  • 圧力損失と油戻しを両立する配管を選ぶ
  • 冷媒との材料適合と保温材下腐食を安全側に判断する

冷媒配管は、太くすればすべて解決するわけではありません。管径を大きくすると圧力損失は減りますが、ガス流速が下がって油が戻りにくくなる場合があります。液管では、摩擦、立上がり、熱侵入がサブクールの余裕を使います。

先に「冷媒配管の設計と圧力容器|油戻し・フラッシュガス」を読むと、3本の配管の役割から確認できます。計算条件は学習用に独自作成しています。実際の管径・許容高低差・材料は、使用機器の最新版設計資料と法令を優先してください。

解く前に押さえる3つの設計目標

配管 主な目標 確認する値
吸入管 能力低下を抑え、油を戻す 圧力損失、最低負荷時流速
吐出し管 油戻し、振動・熱伸縮対策 流速、支持、温度
液管 膨張弁まで単相液を保つ 過冷却、圧力損失、液温

立上がりの圧力低下:Δp=ρgh

膨張弁入口の圧力余裕:入口圧力-その液温の飽和圧力

ρは液密度、gは重力加速度、hは立上がり高さです。圧力余裕が正でも、負荷変動、熱侵入、追加の弁・継手損失を見込む必要があります。余裕がゼロ以下なら、膨張弁より前で液の一部が気化するおそれがあります。

法令・技術資料の確認先

技術情報確認日:2026年7月29日。外部資料の図表・公表試験の設問本文は転載していません。

冷媒配管と圧力容器 ミニテスト

第1回 第2回 第3回

第1問:液管立上がりの圧力低下を求める

【問1】密度1,000kg/m³の液冷媒が、液管を8.0m立ち上がります。重力加速度を9.81m/s²とし、摩擦を無視すると、立上がりで失う圧力に最も近いものはどれですか。

(1) 0.008MPa
(2) 0.078MPa
(3) 0.125MPa
(4) 0.785MPa
(5) 7.85MPa

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正解:(2) 約0.078MPa
Δp=ρgh=1,000×9.81×8.0=78,480Paです。1MPa=1,000,000Paなので、約0.078MPaとなります。実配管では、ここへ管・継手・電磁弁・ドライヤなどの圧力損失を加えます。

第2問:膨張弁入口のフラッシュ余裕を判定する

【問2】受液器出口の液圧力は1.30MPa(絶対圧)です。問1の立上がりで0.078MPa、配管・弁の摩擦で0.042MPa低下します。膨張弁入口の液温に対応する飽和圧力が1.12MPa(絶対圧)のとき、圧力余裕はどれですか。

(1) −0.12MPaで、すでに余裕がない
(2) 0MPaで、損失を無視できる
(3) +0.06MPaだが、熱侵入や変動も確認する
(4) +0.18MPaなので、管径は無関係である
(5) +1.18MPaなので、必ず単相液になる

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正解:(3) +0.06MPa
入口圧力は1.30-0.078-0.042=1.18MPaです。圧力余裕は1.18-1.12=0.06MPa。正の余裕はありますが小さいため、液温上昇、負荷変動、未計上の継手損失を含めて設計します。ゲージ圧と絶対圧を混ぜてはいけません。

第3問:部分負荷でも油を戻す

【問3】吸入管に長い上向き立上がりがあり、全負荷では油が戻りますが、部分負荷で油が立上がり下部に滞留します。対応として最も適切なものはどれですか。

(1) 圧力損失だけを減らすため、さらに太い単管へ交換する
(2) 最低負荷時のガス流速を確認し、必要ならメーカー基準に沿って二重立上がり管を検討する
(3) 立上がりの途中へ多数のトラップを無条件に追加する
(4) 吸入管の断熱を外して冷媒を加熱する
(5) 冷媒を追加し、油を液冷媒で押し上げる

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正解:(2)
部分負荷では流量が減るため、太すぎる立上がり管ほど油を運ぶ速度を確保しにくくなります。二重立上がり管は小管で低負荷時の速度を確保し、負荷増加時に大管も使う考え方です。適否と寸法は冷媒、油、能力制御、メーカー資料で決めます。

第4問:冷媒に適合する材料を選ぶ

【問4】アンモニア(R717)冷凍装置の配管材料を検討しています。最も適切な判断はどれですか。

(1) 家庭用空調で一般的なので、銅管をそのまま使う
(2) 冷媒名に関係なく、すべての金属は同じように使える
(3) 銅・銅合金を安易に使わず、圧力・温度・油・接合法に適合する規格材料を選ぶ
(4) 設計圧力が低ければ、材料の冷媒適合性は確認しなくてよい
(5) 腐れしろを増やせば、どの材料でも使用できる

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正解:(3)
アンモニア設備では銅・銅合金との適合性に注意が必要です。ただし「必ず一種類の鋼管」と決めるのも不十分です。冷媒と油への耐食性、設計圧力・温度、規格、継手、施工方法を一体で確認します。CO₂や微燃性冷媒でも専用条件があるため、冷媒名だけで材質を決めません。

第5問:保温材の下の腐食を見逃さない

【問5】屋外の断熱された鋼製吸入管で、外装の破れ、さび汁、保温材の湿りが見つかりました。運転圧力は平常値です。対応として最も適切なものはどれですか。

(1) 圧力が正常なので、外装だけ塗って点検を終える
(2) 断熱材の上から板厚を推測し、腐食なしと判定する
(3) 安全な停止・隔離手順を立て、必要範囲の保温材を外して外観・板厚を確認し、許容値と比較する
(4) 冷媒を追加して管内圧力を上げ、漏れなければ合格とする
(5) さび汁は吸入管では正常なので記録しない

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正解:(3)
保温材へ水が入ると、外から見えない腐食が進むことがあります。平常圧力は残存肉厚を証明しません。設備の安全手順に従って対象部を確認し、実測肉厚、腐食範囲、必要最小厚さ、支持部の状態から補修・更新を判断します。

採点結果と誤答別の復習先

正解数 理解度 次の行動
5問 計算・配管判断が定着 第2回へ進む
3〜4問 式か材料を再確認 誤答だけ解き直す
0〜2問 3配管の役割を整理 本解説へ戻る
  • 問1・2を誤答:立上がりと摩擦を引いてから、その液温の飽和圧力と比べる
  • 問3を誤答:圧力損失だけでなく最低負荷時の油戻し速度を見る
  • 問4を誤答:冷媒、油、圧力、温度、接合法を材料選定の一組として確認する
  • 問5を誤答:外装損傷と湿りを保温材下腐食の入口として扱う

次の練習と学習ルート

まとめ

液管の立上がりはΔp=ρghで圧力低下を見積もり、摩擦損失を加えてから液温の飽和圧力と比べます。吸入管・吐出し管では、圧力損失を減らすだけでなく、最低負荷でも油を戻せるかを確認します。

材料は冷媒名だけで決めず、圧力・温度・油・接合法まで照合します。断熱外装の破れや湿りは、見えない腐食を疑うサインです。正常な運転圧力だけで健全性を判断しないことが大切です。

最終更新日:2026年7月29日

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