ミニテスト 燃料及び燃焼

元素分析・空気比・排ガスO₂から燃焼状態を判定する問題5問【第1回】

この5問では、理論酸素量から理論空気量、実際空気量、燃焼ガス量、排ガス診断までを一つの流れで確認します。

公式を単独で覚えるのではなく、「何を求めた値か」「乾き・湿りのどちらか」「どの位置で測ったO₂か」を意識して解きましょう。

燃焼計算の順序

段階 基本式 確認する条件
1 理論酸素量 C・H・Sの必要酸素-燃料中O 元素分析値の質量割合
2 理論空気量A₀ 理論酸素量÷0.21 乾燥空気をO₂ 21%と近似
3 実際空気量A m×A₀ mは空気比
4 燃焼ガス量 生成ガス+窒素+余剰O₂ 水蒸気を含むか
5 排ガス診断 O₂・CO・温度・測定位置を照合 空気漏入と混合不良も確認

このページで使う式

理論酸素量=22.4×(c/12+h/4+s/32-o/32)

空気比m=A÷A₀  過剰空気率=(m-1)×100%

実際乾き燃焼ガス量Vd=Vd₀+(m-1)A₀

実際湿り燃焼ガス量Vw=Vd+燃焼で生じる水蒸気量

c、h、s、oは燃料1kg中の炭素・水素・硫黄・酸素の質量割合です。標準状態の気体1kmolを22.4m³、空気をO₂ 21%・N₂ 79%と近似します。

以下はすべて当サイト作成の独自問題です。実機の適正空気比は燃料・燃焼装置・負荷で変わるため、問題で指定した条件と設備メーカーの基準を分けて考えてください。

問1 元素分析から理論空気量を求める

仮想燃料1kgの元素分析値を、C=0.72、H=0.10、S=0.02、O=0.08とする。上の式を使った理論空気量として最も近いものはどれか。

  1. 1.86m³/kg
  2. 7.82m³/kg
  3. 8.87m³/kg
  4. 10.64m³/kg
  5. 42.2m³/kg
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正解:3 約8.87m³/kg

理論酸素量は22.4×(0.72/12+0.10/4+0.02/32-0.08/32)=約1.862m³/kgです。空気中の酸素は21%なので、理論空気量は1.862÷0.21=約8.87m³/kg。燃料自身に含まれる酸素の項は必要酸素量から差し引きます。1.86は理論酸素量であり、理論空気量ではありません。

問2 実際空気量から空気比を求める

理論空気量が8.87m³/kgの燃料に、実際には10.82m³/kgの空気を送った。空気比と過剰空気率の組合せとして最も近いものはどれか。

  1. 空気比0.82、過剰空気率-18%
  2. 空気比1.18、過剰空気率18%
  3. 空気比1.22、過剰空気率22%
  4. 空気比1.82、過剰空気率82%
  5. 空気比2.20、過剰空気率220%
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正解:3 空気比1.22、過剰空気率22%

空気比は10.82÷8.87=約1.22です。過剰空気率は(1.22-1)×100=約22%。空気比は無次元の倍率で、過剰空気率は理論空気量を超えた割合です。厚生労働省の省エネルギー実施要領も、空気比を実空気量÷理論空気量と説明しています。適正値は一律ではなく、実機の燃焼状態と基準で判断します。

問3 乾き・湿り燃焼ガス量を分ける

理論乾き燃焼ガス量Vd₀=8.40m³/kg、理論空気量A₀=9.60m³/kgの燃料を、空気比m=1.25で完全燃焼させる。燃焼で生じる水蒸気量は2.10m³/kgとする。実際の乾き・湿り燃焼ガス量の正しい組合せはどれか。

  1. 乾き8.40、湿り9.60m³/kg
  2. 乾き10.50、湿り10.80m³/kg
  3. 乾き10.80、湿り12.90m³/kg
  4. 乾き12.00、湿り14.10m³/kg
  5. 乾き12.90、湿り10.80m³/kg
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正解:3 乾き10.80、湿り12.90m³/kg

過剰空気分は(1.25-1)×9.60=2.40m³/kg。実際乾きガス量は8.40+2.40=10.80m³/kgです。湿りガス量は水蒸気2.10を加えて12.90m³/kg。安全衛生技術試験協会の特級公表問題でも、理論乾きガスに過剰空気を加えて実際乾きガスを求め、次に水蒸気を加える順序が示されています。

問4 排ガスO₂から空気比を概算する

完全燃焼し、測定点までの空気漏入が無視できるものとする。乾き排ガス中のO₂が5.0%のとき、簡便式m=21÷(21-O₂)で概算した空気比として最も近いものはどれか。

  1. 0.76
  2. 1.05
  3. 1.16
  4. 1.31
  5. 4.20
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正解:4 約1.31

21÷(21-5.0)=21÷16=1.3125です。環境省の省エネ対策資料でも、排ガス中の残存酸素を測定して空気比制御へ使う方法が示されています。ただし、この簡便式は完全燃焼や空気漏入が小さいことを仮定した概算です。O₂だけで空気を絞らず、CO、ばいじん、火炎、負荷、メーカー基準も確認します。

問5 測定位置でO₂が大きく変わる

燃料流量・負荷・バーナダンパ位置は安定し、COは低い。炉出口の乾きO₂は3.0%だが、同時刻の煙突入口では6.0%だった。最も適切な判断はどれか。

  1. 燃料の炭素分が測定区間で増えた
  2. 炉出口から煙突入口までの空気漏入を疑う
  3. O₂が高いので、直ちに燃焼空気を半分にする
  4. 測定位置にかかわらず両方の空気比は必ず同じである
  5. COが低ければO₂の差は点検しなくてよい
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正解:2 測定区間への空気漏入を疑う

燃料とバーナ条件が同じなのに下流ほどO₂が高いなら、点検口、ダクト継手、伸縮継手、シール部などから空気が入り、排ガスが希釈された可能性があります。下流O₂だけから燃焼用空気を大きく絞ると、実際の炉内は空気不足になるおそれがあります。測定器の校正・採取位置を確認し、区間ごとのO₂、炉内圧、漏入箇所を調べます。

採点結果の見方

正解数 復習ポイント
5問 計算値と実機の測定条件を分けて判断できています。
3~4問 理論酸素量から空気比までの順序を見直しましょう。
0~2問 乾き・湿りと、O₂の測定位置を整理して再挑戦しましょう。

関連する解説と次の問題

公式・一次資料

一次資料の確認日:2026年7月31日。計算問題は指定条件の近似値です。実機の空気比調整は、燃焼不良を避けるため設備メーカー・保守事業者の基準と手順を優先してください。

まとめ

燃焼計算は、元素分析から理論酸素量を求め、0.21で割って理論空気量へ進みます。空気比を掛けた後は、乾きガスへ過剰空気を加え、水蒸気を加える段階を分けます。排ガスO₂は有力な指標ですが、COと測定位置、煙道への空気漏入を確認して初めて運転判断につながります。

最終更新日:2026年7月31日

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