ミニテスト 燃料及び燃焼

発熱量・密度・粘度曲線から重油の取扱いを判定する問題5問【第1回】

この5問では、発熱量の基準と単位、重油使用量、粘度に合わせた予熱、低温時の移送不良、硫黄分による低温腐食を確認します。

A・B・C重油を「品質の順位」や固定温度で覚えず、納入燃料の性状表と設備条件を読み取るのがポイントです。

先に押さえる結論

性状・単位 意味 判断に使う場面
GJ/kL 体積当たりの発熱量 タンク容量・使用量の計算
MJ/kg 質量当たりの発熱量 燃料同士の質量基準比較
動粘度 油の流れにくさ 移送・バーナ噴霧の予熱
流動点 低温で流せる目安 冬期の保温・加熱計画
硫黄分 SOx・酸露点に関係 低温部腐食と排出管理

A・B・C重油の読み方

ENEOS石油便覧では、A重油はJIS 1種、B重油は2種、C重油は3種に対応し、主に50℃での動粘度で区分されています。同じC重油でも3種1号・2号・3号で粘度範囲が違うため、「C重油なら必ず同じ温度」ではありません。

確認する資料 主な確認値 設備側の照合先
納入燃料の性状表 密度・粘度・硫黄・水分・発熱量 受入基準・排出管理
粘度温度曲線 各温度での動粘度 配管とバーナの要求粘度
取扱説明書 許容温度・圧力・流量 油加熱器・ポンプ・バーナ

以下はすべて当サイト作成の独自問題です。設備値と燃料性状は、問題演習用に明示した値を使ってください。

問1 体積基準と質量基準の発熱量

A重油の総発熱量を38.90GJ/kL、密度を0.86t/kL、C重油を41.78GJ/kL、0.96t/kLとする。両燃料の比較として正しいものはどれか。

  1. 体積当たりも質量当たりもA重油が大きい
  2. 体積当たりも質量当たりもC重油が大きい
  3. 体積当たりはC重油、質量当たりはA重油が大きい
  4. 体積当たりはA重油、質量当たりはC重油が大きい
  5. 密度は発熱量の単位換算に関係しない
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正解:3 体積当たりはC重油、質量当たりはA重油が大きい

体積基準では41.78>38.90なのでC重油が大きい値です。質量基準へ直すと、A重油は38.90GJ÷0.86t=約45.2MJ/kg、C重油は41.78GJ÷0.96t=約43.5MJ/kgです。数値だけを比べず、GJ/kLかMJ/kgかを確認します。密度はこの設問用の値です。

問2 必要なC重油使用量

ボイラーから毎時1.98GJの有効熱を得たい。ボイラー効率は82%、使用するC重油の真発熱量は39.67GJ/kLとする。必要な燃料使用量として最も近いものはどれか。

  1. 40.9L/h
  2. 49.9L/h
  3. 60.9L/h
  4. 75.4L/h
  5. 99.0L/h
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正解:3 約60.9L/h

必要な投入熱は1.98÷0.82=約2.4146GJ/hです。燃料量は2.4146÷39.67=約0.0609kL/h、つまり60.9L/hです。効率を掛けて燃料を減らすのではなく、必要な有効熱を効率で割って投入熱を求めます。高発熱量と低発熱量を途中で混ぜないことも重要です。

問3 粘度温度曲線から予熱温度を選ぶ

バーナが要求する噴霧時の動粘度は15mm²/sである。納入燃料の粘度温度曲線では、80℃で24、90℃で18、100℃で15、110℃で12mm²/sだった。設備の許容範囲内で、まず設定候補とする温度はどれか。

  1. 40℃
  2. 80℃
  3. 90℃
  4. 100℃
  5. 重油名だけで決め、曲線は見ない
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正解:4 100℃

この燃料が15mm²/sになるのは100℃です。ENEOS石油便覧は、C重油を流体として扱うための加熱と、バーナで十分に噴霧するための最適粘度への加熱を分けています。実機では燃料供給者の曲線、バーナの要求粘度、油加熱器の許容温度、引火点を合わせて設定します。

問4 冬の始動時だけ燃料が流れにくい

ある燃料の流動点は+5℃である。冬の始動前、屋外配管の油温は3℃、ポンプ吸込圧力は低下し、燃料流量が不足した。ストレーナを清掃しても改善しない。最も適切な判断はどれか。

  1. 流動点を下回り、油の流動性が失われている可能性を考える
  2. 硫黄分が瞬間的にゼロになった
  3. 発熱量が2倍になった
  4. 灰分が蒸発して配管を冷やした
  5. 流動点は低温時の取扱いと無関係である
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正解:1 流動点を下回ったことによる移送不良を疑う

流動点は、規定条件で油が流動する最低温度の目安です。3℃は+5℃を下回っており、油が流れにくくなった可能性があります。設備の手順に従って保温・トレース・加熱器・温調を確認します。流動点ぴったりを運転目標にせず、配管放熱や局部冷却を見込んだ余裕が必要です。

問5 燃料切替後の低温腐食

重油を切り替えた後、硫黄分が0.4質量%から2.2質量%へ増えた。同じ負荷で、空気予熱器の低温側に酸性の凝縮物と腐食が増えている。最も整合する判断はどれか。

  1. 硫黄分の増加により酸露点腐食の条件が厳しくなった可能性がある
  2. 硫黄分が多いほど低温腐食は起こりにくい
  3. 排ガス温度をできるだけ下げれば必ず解決する
  4. 燃料中の水分だけが原因なので硫黄分は見ない
  5. 空気予熱器の腐食は燃料性状と無関係である
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正解:1 硫黄分増加と酸露点腐食の関係を疑う

ENEOS石油便覧は、重油中の硫黄分が多いと燃焼ガス中の硫黄酸化物が低温部で凝縮し、空気予熱器や鋼製煙突を腐食させると説明しています。燃料分析、排ガス温度、低温部の金属温度、凝縮物を確認し、メーカーの許容条件に沿って対応します。排ガス温度をむやみに下げると、凝縮を増やす場合があります。

採点結果の見方

正解数 復習ポイント
5問 性状表と設備条件を結び付けて判断できています。
3~4問 発熱量の単位と、粘度・流動点の違いを見直しましょう。
0~2問 「単位→性状→設備症状」の順で整理しましょう。

関連する解説と次の問題

公式・一次資料

一次資料の確認日:2026年7月31日。実機の燃料温度は、納入燃料の性状表とバーナ・油加熱器・配管の取扱説明書を優先してください。

まとめ

発熱量は体積基準か質量基準か、高位か低位かをそろえて比較します。重油の予熱は名称ではなく要求粘度から決め、冬期は流動点と配管の実温度を確認します。硫黄分が変われば低温腐食や排出条件も変わるため、燃料切替時は性状表と運転記録をセットで確認しましょう。

最終更新日:2026年7月31日

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