ミニテスト 燃料及び燃焼

ガス使用量・低温時LPG・石炭分析から燃料を判定する問題5問【第1回】

この5問では、気体・固体燃料を暗記ではなく、熱量・温度・点火履歴・分析値・運転データから判定します。

都市ガスの使用量計算、寒冷時のLPG供給、点火失敗後の安全確認、石炭の工業分析、灰付着の診断を一つずつ整理しましょう。

先に押さえる結論

見るデータ 基本の判断 注意点
ガス発熱量 投入熱量÷単位体積当たり発熱量 高位・低位の基準を効率とそろえる
LPG温度・圧力 低温・高負荷では気化能力を確認 残量だけで供給能力を判断しない
点火・失火履歴 燃料遮断と原因確認を優先 未燃ガスを残したまま再点火しない
石炭の工業分析 水分・灰分・揮発分・固定炭素 燃料比=固定炭素÷揮発分
差圧・出口ガス温度 灰付着による閉塞・伝熱低下を疑う 燃料灰の性状も合わせて調べる

数値問題で混同しやすい3点

  • 出力と入力:必要な燃料量は、まずボイラー出力を効率で割って投入熱量へ戻します。
  • 燃料の残量と供給能力:LPG容器に液が残っていても、外気温と負荷によっては必要量を気化できません。
  • 固定炭素と元素炭素:固定炭素は工業分析で差し引いて求める値で、元素分析の炭素とは測定上の意味が違います。

以下はすべて当サイト作成の独自問題です。発熱量・効率・分析値は、各問題で示した演習用の値を使ってください。

問1 都市ガスの必要使用量

ボイラーから720kWの有効出力を得たい。効率は90%、都市ガス13Aの総発熱量は45MJ/Nm³とし、効率も同じ発熱量基準で表されている。必要なガス量として最も近いものはどれか。

  1. 16.0Nm³/h
  2. 57.6Nm³/h
  3. 64.0Nm³/h
  4. 72.0Nm³/h
  5. 80.0Nm³/h
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正解:3 64.0Nm³/h

必要な投入熱は720÷0.90=800kWです。1kW=1kJ/sなので、1時間では800×3,600=2,880,000kJ=2,880MJ。したがって2,880÷45=64.0Nm³/hです。東京ガスネットワークの供給区域では13Aの標準熱量を45MJ/m³としていますが、実務の計算では契約先の供給条件と高位・低位の基準を確認します。

問2 寒い日にLPGの供給圧力が下がる

LPG容器には液が残っている。外気温が大きく下がった日にボイラー負荷を上げると、容器表面に霜が付き、供給圧力と燃料流量が低下した。最初に考えるべきものはどれか。

  1. 低温と高負荷によるLPGの気化能力不足
  2. 石炭の固定炭素の増加
  3. 都市ガスの標準熱量の上昇
  4. 煙道内の酸素濃度だけによる液残量不足
  5. 容器を裸火で直接加熱すればよい
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正解:1 LPGの気化能力不足

容器からガスを取り出すと、液体LPGが周囲から熱を受けて気化します。低温時や使用量が多いと必要な気化量に追い付かず、液が残っていても圧力が下がることがあります。日本LPガス協会も、寒冷地などでは強制気化装置が必要になる場合があると説明しています。実機では供給事業者と設備仕様を確認し、容器本数・気化能力・調整器・配管・ベーパライザーを系統的に点検します。

問3 不着火後に再点火する前の対応

ガスバーナの点火操作をしたが火炎を確認できず、燃焼安全装置が燃料を遮断した。直後の対応として最も適切なものはどれか。

  1. 燃料弁を手動で開き、すぐ同じ操作を繰り返す
  2. 点火できるまで燃料を少量ずつ流し続ける
  3. 火炎検出器を一時的に短絡して再点火する
  4. 燃料遮断を維持し、原因確認と所定の炉内パージ後に手順どおり再点火する
  5. 炉内に未燃ガスはないとみなし、パージを省略する
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正解:4 燃料遮断・原因確認・所定のパージを行う

不着火時は炉内へ未燃ガスが入った可能性があります。厚生労働省「職場のあんぜんサイト」には、不着火後に手動パージをせず再点火して爆発したボイラー災害が掲載されています。燃料遮断を解除して繰り返し点火してはいけません。燃料圧力、弁、点火装置、火炎検出器などを確認し、メーカーが定めるパージ時間・風量・再起動条件に従います。

問4 工業分析から固定炭素と燃料比を求める

ある石炭の工業分析値は、水分8%、灰分12%、揮発分32%だった。固定炭素と燃料比の組合せとして正しいものはどれか。ただし、燃料比=固定炭素÷揮発分とする。

  1. 固定炭素20%、燃料比0.63
  2. 固定炭素32%、燃料比1.00
  3. 固定炭素40%、燃料比1.25
  4. 固定炭素48%、燃料比1.50
  5. 固定炭素68%、燃料比2.13
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正解:4 固定炭素48%、燃料比1.50

固定炭素は100-(8+12+32)=48%です。燃料比は48÷32=1.50。カーボンフロンティア機構は、工業分析を水分・灰分・揮発分・固定炭素の4成分で表し、固定炭素と揮発分の比を燃料比と説明しています。固定炭素を、元素分析で直接扱う炭素と取り違えないようにします。

問5 燃料変更後に差圧と出口ガス温度が上がる

固体燃料の銘柄を変更してから、同じ負荷でも節炭器前後の差圧と出口ガス温度が徐々に上がり、点検口から伝熱面への灰付着が確認された。最も適切な判断はどれか。

  1. 灰付着によるガス流路の狭まりと伝熱低下を疑う
  2. 差圧上昇は必ず燃料ガスの発熱量不足だけで起こる
  3. 灰分が少ない燃料なら灰の性状は確認しなくてよい
  4. スートブロワの作動状況は関係しない
  5. 出口ガス温度上昇は伝熱面が必ず清浄になった証拠である
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正解:1 灰付着による閉塞と伝熱低下を疑う

灰がガス流路を狭めると差圧が上がり、伝熱面を覆うと熱回収が悪化して下流のガス温度が上がることがあります。IHIのバイオマスボイラー運転記録でも、灰の付着による流路閉塞と、節炭器への高い付着性が報告されています。燃料の灰分量だけでなく、灰組成・融着性、付着箇所、差圧推移、スートブロワの圧力・回数、停止清掃結果を合わせて判断します。

採点結果の見方

正解数 復習ポイント
5問 燃料性状と運転データを結び付けて判断できています。
3~4問 ガス量の計算手順と、固定炭素・燃料比を見直しましょう。
0~2問 「熱量・供給・安全・分析・灰」の5項目に分けて復習しましょう。

関連する解説と次の問題

公式・一次資料

一次資料の確認日:2026年7月31日。実機の燃料供給・点火・パージ・清掃は、供給事業者と設備メーカーの仕様・手順を優先してください。

まとめ

気体燃料は発熱量と効率の基準をそろえて使用量を求め、LPGは残量だけでなく低温時の気化能力を確認します。不着火時は燃料遮断と所定のパージが先です。固体燃料は工業分析値を計算できるようにし、灰付着は差圧・ガス温度・燃料灰の性状を一緒に追いましょう。

最終更新日:2026年7月31日

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