ボイラーの取扱い

【二級ボイラー技士・取扱い】圧力上昇時の取扱い・送気開始の手順(暖管操作)

この記事で分かること

  • 蒸気圧力上昇中に水位・空気抜き・漏れを確認する順番
  • 安全弁の手動試験で使う「75%」の正しい基準
  • ドレン排出・暖管・主蒸気弁開放の流れ
  • ウォーターハンマーの2つの発生機構と並列送気の注意点

結論:点火後は低燃焼でボイラー本体を均一に暖め、圧力・2個の水面計・膨張・漏れを確認します。送気前は主蒸気管のドレンを排出し、バイパス弁または主蒸気弁の微開で暖管してから、主蒸気弁を段階的に開きます。圧力差を急に与えない、冷たい管へ大量の蒸気を入れない、ドレンを閉じ込めないの3点が基本です。

圧力上昇中は熱膨張と水位を同時に見る

点火直後は低燃焼を保ち、胴・炉筒・管・れんが積みを均一に暖めます。急熱すると各部の膨張差から熱応力が生じ、管端や継手の漏れ、れんが目地の割れ、ボイラーとれんが積みの隙間につながります。整備直後で全体が冷えている場合ほど、通常以上に急いで燃焼量を上げてはいけません。

低燃焼

規定の昇圧速度で
均一に暖める

水位対比

2個の水面計と
変化を監視

圧力・膨張

指針、支持部
伸び方向を確認

漏れ・異音

マンホール、管端
弁・フランジ

冷水の膨張で水位が上がる

たき始めはボイラー水が温まり、体積が増えるため水位が上昇します。公式公表問題でも、2個の水面計が同じ水位を示すことを確認し、水位の動きを監視する点が扱われています。起動前水位を一律に「常用水位の下限」と決めず、ボイラー形式と起動基準に定められた水位へ合わせます。

この膨張による上昇と、負荷変動時に気泡量が変化して起こるスウェル・シュリンクは原因が異なります。給水を急に増減する前に、燃焼量、蒸気流量、2個の水面計、給水流量を合わせて確認します。

空気抜き弁は点火前から開いておく

空気抜き弁は「圧力が上がり始めてから開く」のではなく、冷間起動では点火前から所定の開位置にして空気を排出します。蒸気が連続して出るなど、取扱説明書が定める条件を確認して閉じます。蒸気が見えたことだけで「内部の空気が完全にゼロ」と断定しません。

圧力計に疑いがあるとき:公表問題では、圧力計下部のコックを閉じてボイラー側から隔離し、加圧状態で予備品へ交換できる場合が扱われています。ただし、高温蒸気の漏えいリスクがあるため、実作業は弁構成、作業許可、保護具、交換手順を確認した有資格・教育済みの担当者が行います。

安全弁の「75%」は最高使用圧力が基準

試験で扱われる安全弁の手動試験は、試験用レバーを操作して弁体の動きを確かめる試験です。実施する場合の蒸気圧力は最高使用圧力の75%以上が基準であり、「常用圧力の75%」ではありません。

手動試験を毎回の起動で必ず行うと一律に決めるものでもありません。安全弁の形式、取扱説明書、点検計画、作業場所の安全を確認し、指定された時期と方法で行います。吹出し圧力を確認する試験や調整とは分けて考えます。法令上、安全弁は最高使用圧力以下で作動するよう調整し、過熱器用安全弁は胴の安全弁より先に作動するよう調整します。

暖管は「排水しながら少量の蒸気」で行う

冷えた蒸気管へ蒸気を送ると、管壁へ熱を奪われて大量のドレンが生じます。暖管は、このドレンを排出しながら配管を徐々に昇温・膨張させる操作です。保温材、支持金具、伸縮継手、蒸気トラップの状態も確認します。

代表的な暖管・送気フロー

ドレン弁
主蒸気管・
蒸気だめを排水
少量送気
バイパスまたは
主弁を微開
暖管確認
温度・膨張・
ドレン・異音
段階開放
主蒸気弁を
徐々に開く
  1. 主蒸気管、蒸気だめ、低部のドレン弁を開き、たまったドレンを排出する
  2. 主蒸気弁にバイパス弁があれば、バイパス弁から少量の蒸気を送る。なければ指定手順で主蒸気弁をわずかに開く
  3. ドレンを排出しながら、管の温度、熱膨張、支持部、異音、振動を確認する
  4. 暖管後、主蒸気弁を初めはわずかに、次に時間をかけて段階的に開く
  5. 全開後に少し戻す指定の弁は、弁棒の熱膨張による固着を防ぐため手順どおり戻す

ドレンが「永久にゼロ」になるわけではありません。送気後も放熱による凝縮は続くため、蒸気トラップは使用状態を保ちます。手動ドレン弁は蒸気が安定して排出され、暖管完了を確認した後、事業場の手順に従って閉じます。

ウォーターハンマーは液柱衝突と蒸気凝縮で起こる

発生の型 起こり方 主な予防
ドレンの液柱衝突 高速のドレン塊が弁・曲がり・閉端へ衝突 勾配、ポケット、トラップ、低速送気
蒸気の急凝縮 冷たいドレン中で蒸気泡が急に凝縮し、周囲の水が衝突 滞留水を抜く、蒸気を徐々に入れる

異常音が出たら、主蒸気弁をさらに開いて押し流そうとしてはいけません。手順に従って送気を抑え、ドレン排出、弁位置、トラップ、配管勾配を確認します。高温配管へ不用意に近づかず、漏れや支持部損傷がないことを安全な位置から確認します。

送気開始後は圧力低下・水位・燃焼を追う

主蒸気弁を開いて負荷を受けると、通常は蒸気が流出してボイラー圧力が下がる方向に働きます。「送気開始で圧力が上昇する」と考えないようにします。圧力低下に応じて燃焼量が増え、水位はスウェル・シュリンクや給水制御の影響を受けます。

送気直後の確認

  • ボイラー圧力と主蒸気管圧力の変化
  • 2個の水面計、給水流量、給水ポンプの作動
  • 燃料・空気の追従、火炎、排ガスO₂など
  • 主蒸気弁、フランジ、ドレン系統の漏れ・振動・異音

並列送気は共通母管との圧力差を小さくする

運転中の共通蒸気母管へ別のボイラーを接続するときは、追加するボイラーと母管の圧力差を設備の許容範囲まで小さくし、暖管・ドレン排出後に蒸気止め弁を徐々に開きます。逆流防止弁の有無、蒸気止め弁の形式、母管側弁、負荷分担制御を系統図で確認します。

「ほぼ同じ圧力」だけで作業を始めず、どちらをどの程度高くするか、弁間配管をどう暖めるかを操作基準で確認します。圧力差が大きい状態で開くと、急な蒸気流と水位変動、弁・配管への衝撃につながります。

理解度チェック

【問1】冷間起動時の空気抜き弁の扱いとして適切なものはどれですか。

(1) 圧力上昇後に初めて開く
(2) 点火前から所定の開位置にし、蒸気発生を確認して指定条件で閉じる
(3) 常に閉じたままにする
(4) 主蒸気弁の代わりに使う
(5) 吹出し弁と同時に全開する

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正解:(2)
点火前から空気を排出できる状態にし、蒸気の連続排出など取扱説明書の条件で閉じます。

【問2】安全弁の手動試験で扱う75%の基準はどれですか。

(1) 常用圧力
(2) 大気圧
(3) 最高使用圧力
(4) 給水圧力
(5) 燃料圧力

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正解:(3)
手動試験を行う場合は、最高使用圧力の75%以上の蒸気圧力で行います。

【問3】暖管操作として適切なものはどれですか。

(1) ドレン弁を閉じて主蒸気弁を急開する
(2) 冷たい配管へ最大流量を送る
(3) ドレンを排出し、少量の蒸気で暖めてから主蒸気弁を段階的に開く
(4) 異常音が出たらさらに弁を開く
(5) 蒸気トラップを閉止する

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正解:(3)
ドレンを抜きながら配管を均一に暖め、圧力差と熱膨張を抑えて徐々に送気します。

【問4】送気開始直後の一般的な圧力変化として適切なものはどれですか。

(1) 蒸気流出によりボイラー圧力は下がる方向に働く
(2) 必ず最高使用圧力を超える
(3) 水位も圧力も変わらない
(4) 燃焼量を下げる信号だけが出る
(5) 給水制御は無関係である

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正解:(1)
負荷へ蒸気が流れ出すため、圧力は下がる方向に働き、燃焼・給水制御が追従します。

関連学習とまとめ

昇圧中は低燃焼で水位・圧力・膨張・漏れを確認します。送気前はドレンを排出し、少量の蒸気で十分に暖管してから主蒸気弁を段階的に開きます。安全弁の75%は最高使用圧力が基準です。ウォーターハンマーを感じたら送気を強めず、ドレン滞留と急凝縮の原因を確認しましょう。

最終更新日:2026年7月28日

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