建築物環境衛生管理技術者 給水及び排水の管理

【ビル管理士・給排水】通気設備と排水槽(伸頂通気・ループ通気・各個通気・排水槽の構造と清掃)

通気方式の比較 ― トラップの封水を守る仕組み

伸頂通気

排水立て管を
そのまま延長
最もシンプル
低層建物向き

ループ通気

各階の横管を
通気立て管に
接続する方式
中高層向き

各個通気

器具ごとに
個別通気管
最も確実
コスト高

結論:通気設備は「排水をスムーズに流し、封水を守る空気の通り道」

結論から言います。通気設備とは、排水管内の気圧を安定させることで、排水をスムーズに流し、トラップの封水を守るための設備です。

排水管の中を水が流れると、管内の空気が押されたり吸い込まれたりして気圧が変動します。この気圧変動がトラップの封水を吸い出す(破封の)原因になります。通気管は排水管に空気の通り道を確保することで、この気圧変動を防いでいるのです。

たとえるなら、ペットボトルを逆さにしたとき、口が小さいとゴボゴボと断続的にしか水が出ませんよね。でも底に穴を開ければスムーズに流れます。通気管はその「穴」にあたる役割です。

ビル管理士試験では通気方式の種類(伸頂通気・ループ通気・各個通気)排水槽の管理が頻出です。

通気管の役割

通気管には3つの重要な役割があります。

  1. 排水管内の気圧を安定させる:排水時に発生する正圧・負圧を大気に逃がす
  2. トラップの封水を保護する:気圧変動による誘導サイホン作用やはね出し作用を防ぐ
  3. 排水の流れを円滑にする:空気が適切に入れ替わることで、排水がスムーズに流れる

通気方式の種類(★超頻出★)

伸頂通気方式

排水立て管の最上部をそのまま延長して屋上に開口させ、大気に開放する方式です。最もシンプルな通気方式です。

排水立て管がそのまま屋根を突き抜けて空に向かって開いている──これが伸頂通気です。排水立て管の中で発生した気圧変動は、この開口部から大気に逃がされます。

小規模な建物ではこの伸頂通気だけで十分ですが、高層ビルや排水量の多い建物では、これだけでは気圧変動を吸収しきれません。

ループ通気方式

最上階の排水横枝管に通気管を接続し、排水立て管の上部(または通気立て管)に接続する方式です。

排水横枝管(各フロアの排水管)から通気管を立ち上げ、排水立て管の伸頂通気部分やに接続します。中規模のビルで多く採用されています。

各個通気方式

各衛生器具(洗面台・便器など)のトラップごとに、個別に通気管を接続する方式です。最も確実にトラップの封水を保護できますが、通気管の本数が多くなるためコストが高くなります。

特殊継手排水システム

排水立て管と排水横枝管の合流部に特殊な継手(集合管)を使用するシステムです。この継手が排水の流れを整え、管内の気圧変動を抑制するため、通気立て管が不要になります。

通気管のスペースが節約できるため、高層マンションや超高層ビルで採用が増えています。代表的な製品に「ソベント」や「スーパートルネード」があります。

方式 特徴
伸頂通気 最もシンプル。排水立て管を延長して大気開放。小規模向け
ループ通気 横枝管から通気管を立ち上げ。中規模ビルで多用
各個通気 器具ごとに個別通気。最も確実だがコスト高
特殊継手排水 特殊継手で気圧安定。通気立て管不要。高層向け
試験のポイント:「伸頂通気=最もシンプル」「各個通気=最も確実だがコスト高」「特殊継手排水=通気立て管不要」が定番の出題パターンです。

通気管の設置ルール

通気管にはいくつかの設置ルールがあります。

ルール 内容
伸頂通気の開口 屋上面から最低150mm以上立ち上げて開口
窓の近くの場合 開口可能な窓から600mm以上離すか、窓上端より150mm以上上に開口
通気管の管径 接続する排水管の管径の1/2以上
通気管の勾配 結露水が自然に排水管側に流れるよう勾配をつける

通気管の開口位置に注意が必要なのは、下水の臭気が出るからです。窓の近くに開口すると室内に臭気が入り込む可能性があるため、窓から離すか窓より上に設置します。

排水槽(★重要★)

地下階の排水は重力では下水本管まで流せないため、いったん排水槽(排水ピット)に溜め、排水ポンプで汲み上げて排出します。

排水槽の構造

  • 材質:鉄筋コンクリート製(防水処理を施す)またはFRP製
  • マンホール:点検・清掃用に直径60cm以上のマンホールを設ける
  • 通気管:排水槽には必ず通気管を設け、槽内のガスを屋外に排出する
  • 底部の勾配:汚泥が溜まらないよう、底部に吸込みピットに向かう勾配をつける

排水槽の種類

種類 収容する排水
汚水槽 トイレの排水(し尿を含む)
雑排水槽 台所・洗面・浴室などの排水(し尿を含まない)
湧水槽 地下から湧き出す地下水
雨水槽 雨水

排水槽は用途ごとに分離して設置するのが原則です。汚水と雑排水を同じ槽に混ぜると臭気が強くなり、管理が困難になります。

排水槽の管理(★頻出★)

管理項目 内容
清掃頻度 6ヶ月以内ごとに1回
悪臭防止 密閉構造+通気管で臭気を屋外排出
ポンプの点検 排水ポンプの動作確認・フロートスイッチの点検

排水槽の清掃は6ヶ月に1回です。受水槽の清掃が「1年に1回」であるのに対し、排水槽のほうが頻度が高いのは、汚れが溜まりやすく臭気が発生しやすいためです。この違いは試験で問われます。

試験のポイント:受水槽の清掃=1年に1回、排水槽の清掃=6ヶ月に1回。この清掃頻度の違いは定番の出題テーマです。

排水ポンプ

排水槽に設置するポンプには以下の種類があります。

  • 水中ポンプ:排水槽内に沈めて使用するポンプ。設置が容易で省スペース
  • 汚水用ポンプ:し尿を含む汚水を排出するため、固形物を通過させるノンクロッグ型が使われる

ポンプは通常2台設置(交互運転)します。1台が故障しても、もう1台で排水を継続できるようにするためです。フロートスイッチで水位を検知し、自動的にポンプの起動・停止を制御します。

理解度チェック

【第1問】通気管の役割

通気管に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(1) 通気管は排水管内の気圧を安定させる役割がある。
(2) 通気管はトラップの封水を保護する。
(3) 伸頂通気管は屋上で大気に開放する。
(4) 通気管の管径は、接続する排水管と同径以上としなければならない。
(5) 通気管の開口部は、窓から十分離すか窓上端より上に設ける。

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正解:(4)
通気管の管径は、接続する排水管の管径の1/2以上で足ります。「同径以上」は誤りです。通気管は空気だけを通すため、排水管ほどの太さは必要ありません。

【第2問】通気方式の比較

通気方式に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

(1) 伸頂通気方式は、最も確実にトラップの封水を保護できる方式である。
(2) 各個通気方式は、最もシンプルで安価な方式である。
(3) 特殊継手排水システムは、通気立て管が不要になるシステムである。
(4) ループ通気方式は、通気管を使用しない方式である。
(5) 伸頂通気方式は、高層ビルに最も適した方式である。

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正解:(3)
特殊継手排水システムは、特殊な継手で排水の流れを整え気圧変動を抑制するため、通気立て管が不要です。(1)は誤りで、最も確実なのは「各個通気」です。(2)は逆で、各個通気は最もコストが高い方式です。(4)は誤りで、ループ通気は通気管を使用します。(5)は誤りで、伸頂通気は小規模向けです。

【第3問】排水槽の管理

排水槽に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(1) 排水槽の清掃は6ヶ月以内ごとに1回行う。
(2) 排水槽には通気管を設ける。
(3) 排水ポンプは通常2台設置して交互運転する。
(4) 汚水槽と雑排水槽は同じ槽にまとめるのが望ましい。
(5) 排水槽の底部には吸込みピットに向かう勾配をつける。

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正解:(4)
汚水槽と雑排水槽は分離して設置するのが原則です。同じ槽に混ぜると臭気が強くなり管理が困難になります。(1)(2)(3)(5)はすべて正しい記述です。

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まとめ

この記事では、通気設備と排水槽について解説しました。最後に重要ポイントを振り返りましょう。

テーマ 暗記ポイント
伸頂通気 最もシンプル。排水立て管を延長して大気開放
各個通気 最も確実だがコスト高
特殊継手排水 通気立て管不要。高層向け
通気管の管径 排水管の1/2以上
排水槽の清掃 6ヶ月に1回(受水槽の1年に1回より頻繁)

通気設備と排水槽は、排水設備の管理において欠かせないテーマです。トラップと通気管の関係を理解し、排水槽の管理頻度を正確に覚えておきましょう。

トラップの仕組みについては排水設備とトラップを、受水槽の管理については貯水槽の構造と管理をあわせて確認してください。

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