結論:過渡現象は「回路が新しい状態に落ち着くまでの動き」
スイッチを入れた瞬間、回路はすぐに定常状態になるわけではありません。電流や電圧がゆっくり変化して安定するまでの過程――これが過渡現象です。
⏱ 時定数 τ
変化の速さを決める
パラメータ
🔋 RC回路
コンデンサの
充放電の過渡応答
🧲 RL回路
コイルの
電流成長・減衰の過渡応答
過渡現象は電験三種で毎年1問程度出題されます。公式のパターンが決まっているので、形を覚えれば確実に得点できるテーマです。
過渡現象の基本イメージ
定常状態と過渡状態
| 状態 | 意味 | 例え |
|---|---|---|
| 定常状態 | 電圧・電流が一定で変化しない状態 | 浴槽の水が満杯で安定している状態 |
| 過渡状態 | スイッチ投入・切断後の変化中の状態 | 蛇口を開けて水がたまっていく途中 |
かみ砕くと:過渡現象は「途中経過」の話です。最終的にどうなるか(定常状態)だけでなく、どのくらいの速さで変化するかを計算するのがこのテーマです。
RC回路の過渡現象 ― コンデンサの充放電
充電(スイッチON)
抵抗 R とコンデンサ C の直列回路に電圧 E を加えると、コンデンサは徐々に充電されます。
RC回路の充電
電圧:vC = E(1 − e−t/τ)
電流:i = ER e−t/τ
時定数:τ = RC [s]
e はネイピア数(自然対数の底、約2.718)です。
充電時の変化のようす
| 経過時間 | コンデンサ電圧 | 電流 |
|---|---|---|
| t = 0(瞬間) | 0 V | E/R(最大) |
| t = τ | 0.632E(約63%) | 0.368 × E/R(約37%) |
| t = 5τ | ≈ E(約99%) | ≈ 0(ほぼ流れない) |
| t = ∞ | E(満充電) | 0 |
試験のコツ:「1時定数で63%、5時定数でほぼ100%」を覚えましょう。63%という中途半端な数字は 1 − 1/e ≈ 0.632 から来ています。
放電(スイッチ切り替え)
充電済みのコンデンサを抵抗を通して放電すると、電圧と電流は指数関数的に減衰します。
RC回路の放電
vC = E × e−t/τ (E から 0 へ減衰)
i = −ER e−t/τ (逆方向に流れる)
RL回路の過渡現象 ― コイルの電流成長と減衰
電流の成長(スイッチON)
RL回路の電流成長
電流:i = ER (1 − e−t/τ)
コイルの電圧:vL = E × e−t/τ
時定数:τ = L/R [s]
RC回路とそっくりですが、時定数の式が違います。
RC と RL の対比まとめ
RC回路 vs RL回路(超重要!)
| RC回路 | RL回路 | |
|---|---|---|
| 時定数 τ | RC | L/R |
| 増加する量 | コンデンサ電圧 | コイル電流 |
| 減少する量 | 電流 | コイル電圧 |
| 式の形 | どちらも (1−e−t/τ) と e−t/τ の組み合わせ | |
試験に出る!典型的な計算パターン
パターン1:時定数と電圧の計算
例題
R = 10 kΩ、C = 100 μF のRC回路に 20 V を加えて充電する。時定数と、t = 1 s 後のコンデンサ電圧を求めよ。
【解答】
τ = RC = 10 × 103 × 100 × 10−6 = 1 s
t = 1 s = τ なので:
vC = 20(1 − e−1) = 20 × 0.632 ≈ 12.6 V
パターン2:RL回路の電流
例題
R = 5 Ω、L = 0.1 H のRL回路に 10 V を加えた。時定数と、十分時間が経った後の電流を求めよ。
【解答】
τ = L/R = 0.1/5 = 0.02 s = 20 ms
定常電流 = E/R = 10/5 = 2 A(t → ∞ のとき)
まとめ ― 覚えるべき公式
| 回路 | 時定数 | 増加する量 | 減少する量 |
|---|---|---|---|
| RC | τ = RC | vC = E(1−e−t/τ) | i = (E/R)e−t/τ |
| RL | τ = L/R | i = (E/R)(1−e−t/τ) | vL = Ee−t/τ |
学習アドバイス:過渡現象の問題は①時定数を求める②指数関数に代入する――この2ステップだけです。e−1 ≈ 0.368 と 1 − e−1 ≈ 0.632 の2つの数値を暗記しておけば、計算も迷いません。
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