結論:R・L・C の性質を知ればインピーダンスは怖くない
交流回路では、抵抗(R)だけでなくコイル(L)とコンデンサ(C)が電流の流れに影響を与えます。この3つの素子が交流に対してどう振る舞うかを理解し、インピーダンスを使って回路を解く力を身につけましょう。
R(抵抗)
電圧と電流は同相
位相差ゼロ
L(コイル)
電流は電圧より
90°遅れる
C(コンデンサ)
電流は電圧より
90°進む
R・L・C 各素子の交流特性
抵抗 R のみの回路
抵抗だけの回路は直流と同じで、電圧と電流は同相(位相差ゼロ)です。
V = IR (直流と同じ)
コイル L のみの回路
コイルに交流を流すと、誘導リアクタンス XL が電流の流れを妨げます。
誘導リアクタンス
XL = ωL = 2πfL [Ω]
- 周波数が高いほど XL は大きくなる(高周波を通しにくい)
- 電流は電圧より90°遅れる
- 理想コイルは電力を消費しない(エネルギーを蓄えて返すだけ)
コンデンサ C のみの回路
コンデンサに交流を流すと、容量リアクタンス XC が電流の流れを妨げます。
容量リアクタンス
XC = 1ωC = 12πfC [Ω]
- 周波数が高いほど XC は小さくなる(高周波を通しやすい)
- 電流は電圧より90°進む
- 理想コンデンサも電力を消費しない
R・L・C の比較まとめ
| R(抵抗) | L(コイル) | C(コンデンサ) | |
|---|---|---|---|
| 交流抵抗 | R | XL=ωL | XC=1/(ωC) |
| 位相 | 同相 | 電流が90°遅れ | 電流が90°進み |
| 電力消費 | 消費する | しない | しない |
| 周波数↑ | 変化なし | XL↑ | XC↓ |
インピーダンス ― 交流回路の「総合的な抵抗」
インピーダンスとは?
R・L・Cが組み合わさった回路の「交流に対する総合的な抵抗」をインピーダンス Z と呼びます。
かみ砕くと:インピーダンスは「交流版のオームの法則」の抵抗にあたるものです。直流では V = IR でしたが、交流では V = IZ を使います。ただし、単純な足し算ではなくベクトル(三角形)の合成で計算します。
RLC直列回路のインピーダンス
RLC直列回路のインピーダンス
Z = √(R2 + (XL − XC)2) [Ω]
XL と XC は逆方向に作用するので引き算になります。これをインピーダンス三角形で考えます。
| 辺 | 量 | 意味 |
|---|---|---|
| 底辺 | R | 電力を消費する成分 |
| 高さ | XL−XC | エネルギーを蓄える成分 |
| 斜辺 | Z | 総合的な抵抗 |
位相角
tanφ = XL − XCR
- XL > XC → φ > 0(誘導性、電流が遅れる)
- XL < XC → φ < 0(容量性、電流が進む)
- XL = XC → φ = 0(共振、後述)
共振 ― XL = XC のとき何が起きる?
直列共振
RLC直列回路で XL = XC となる周波数を共振周波数と呼びます。
共振周波数
f0 = 12π√(LC) [Hz]
共振時の特徴:
- インピーダンスは最小(Z = R のみ)
- 電流は最大になる
- L と C の電圧は大きくなるが、互いに打ち消し合う
- 回路全体では電圧と電流は同相
並列共振
RLC並列回路の場合は直列とは逆の性質になります。
| 直列共振 | 並列共振 | |
|---|---|---|
| インピーダンス | 最小 | 最大 |
| 電流 | 最大 | 最小 |
| 共振周波数 | 同じ式:f0 = 1/(2π√LC) | |
覚え方:「直列共振 = 電流最大、並列共振 = 電流最小」。直列は一列に並んでいるので電流が通り抜けやすく(最大)、並列は迂回路があるので全体の電流は小さくなる(最小)とイメージしましょう。
試験に出る!典型的な計算パターン
パターン1:インピーダンスと電流
例題
R = 3 Ω、XL = 8 Ω、XC = 4 Ω の直列回路に 100 V(実効値)を加えた。インピーダンスと電流を求めよ。
【解答】
Z = √(3² + (8−4)²) = √(9 + 16) = √25 = 5 Ω
I = V/Z = 100/5 = 20 A
パターン2:共振周波数
例題
L = 0.1 H、C = 100 μF の直列回路の共振周波数を求めよ。
【解答】
f0 = 12π√(0.1 × 100 × 10−6) = 12π√(10−5) = 12π × 3.16 × 10−3
f0 ≈ 50.3 Hz
まとめ ― 覚えるべき公式と出題のポイント
| 公式名 | 式 | ポイント |
|---|---|---|
| 誘導リアクタンス | XL = ωL | 周波数に比例 |
| 容量リアクタンス | XC = 1/(ωC) | 周波数に反比例 |
| インピーダンス | Z = √(R²+(XL−XC)²) | 三平方の定理で合成 |
| 交流オーム | V = IZ | 直流の V=IR と同じ形 |
| 共振周波数 | f0 = 1/(2π√LC) | XL=XCとなる周波数 |
学習アドバイス:RLC回路は理論科目の最頻出テーマです。インピーダンス三角形を描く習慣をつけ、「R = 底辺、X = 高さ、Z = 斜辺」を体に覚え込ませましょう。次の記事では、この三角形をそのまま使って交流電力と力率を計算します。
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