理論

【電験三種・理論】交流回路の基礎(正弦波・実効値・周波数・位相差)

結論:交流回路の基礎は「波の3要素」を押さえること

ここからは交流(AC)の世界に入ります。直流は電圧・電流が一定でしたが、交流は時間とともに大きさと向きが変わる電気です。コンセントから出てくる電気はすべて交流なので、実務にも直結するテーマです。

🌊 正弦波交流

sin波で表される
交流の基本波形

📏 最大値・実効値

交流の「大きさ」を
3つの値で表す

⏱ 位相と周波数

波のタイミング
速さを表す

交流の問題は理論科目の配点の約半分を占めます。ここから始まる交流分野をしっかり理解することが合格への最大のカギです。

正弦波交流とは? ― sin波で表される電気

なぜ「交流」なのか

発電所の発電機はコイルを回転させて電気をつくります。コイルが1回転すると、生まれる電圧は正弦波(sin波)の形で1周期変化します。これが正弦波交流です。

かみ砕くと:ブランコを漕いでいるところを横から見ると、前後の動きはきれいなsin波になります。発電機のコイルも同じように回転運動を繰り返すので、電圧がsin波になるのです。

交流の瞬時値の式

交流電圧の瞬時値

v = Vm sin(ωt + θ) [V]

記号 意味 単位
v 瞬時値(時刻 t での値) [V]
Vm 最大値(振幅) [V]
ω 角周波数(角速度) [rad/s]
θ 初期位相 [rad]

周波数・周期・角周波数の関係

周波数と周期の関係

f = 1T [Hz]

ω = 2πf = T [rad/s]

意味 日本の電力系統
周波数 f 1秒間の波の回数 東日本50Hz / 西日本60Hz
周期 T 1回の波にかかる時間 20ms / 16.7ms
角周波数 ω 1秒あたりの回転角度 100π / 120π [rad/s]

最大値・実効値・平均値 ― 交流の「大きさ」を表す3つの値

なぜ実効値が必要なのか?

交流は刻一刻と値が変わるので、「大きさ」をひとつの数値で表すには工夫が必要です。単純に平均をとるとプラスとマイナスが打ち消し合ってゼロになってしまいます。

そこで使われるのが実効値(RMS値)です。「この交流と同じ熱量を発生させる直流の値」として定義されます。

最大値と実効値の関係(正弦波)

V = Vm√2 ≈ 0.707 Vm

値の名前 最大値との関係 係数
最大値 Vm 1
実効値 V Vm / √2 ≈ 0.707
平均値 Vav 2Vm / π ≈ 0.637

超重要:「コンセントの100V」は実効値です。最大値は 100 × √2 ≈ 141 V。テスターで測る値も実効値。電験の計算でも、特に断りがなければ実効値を使います。

波形率と波高率

波形率 = 実効値平均値 ≈ 1.11(正弦波)

波高率 = 最大値実効値 ≈ 1.414 = √2(正弦波)

位相と位相差 ― 波の「タイミングのずれ」

位相差とは?

2つの正弦波の間の時間的なずれを位相差と呼びます。

用語 意味
同相 位相差 = 0°。完全に重なっている
進み 一方の波が他方より先に変化する(位相が+方向にずれる)
遅れ 一方の波が他方より遅れて変化する(位相が−方向にずれる)
逆相 位相差 = 180°(π rad)。完全に逆

覚え方:次の記事で学ぶRLC回路の性質を先取りしておきましょう。
コイル(L)に交流を流すと → 電流は電圧より90°遅れる
コンデンサ(C)に交流を流すと → 電流は電圧より90°進む
「コイルは遅れ、コンデンサは進み」これだけ覚えれば交流の半分は理解したも同然です。

試験に出る!典型的な計算パターン

パターン1:瞬時値の式から各量を読み取る

例題

v = 141 sin(100πt + π/6) [V] で表される交流電圧について、最大値、実効値、周波数、初期位相を求めよ。

【解答】

最大値:Vm = 141 V

実効値:V = 141/√2 ≈ 100 V

角周波数:ω = 100π → f = 100π/(2π) = 50 Hz

初期位相:θ = π/6 rad = 30°

パターン2:実効値から最大値を求める

例題

コンセント(実効値 100 V、60 Hz)の最大値と角周波数を求めよ。

【解答】

最大値:Vm = 100 × √2 ≈ 141 V

角周波数:ω = 2π × 60 = 120π ≈ 377 rad/s

まとめ ― 覚えるべき公式と出題のポイント

公式名 ポイント
瞬時値 v = Vmsin(ωt+θ) 式から各量を読み取れるように
実効値 V = Vm/√2 通常使う値。テスターの値
平均値 Vav = 2Vm 半波の平均(波形率で使う)
角周波数 ω = 2πf = 2π/T 50Hz→100π, 60Hz→120π
波形率 実効値/平均値 ≈ 1.11 正弦波の場合
波高率 最大値/実効値 = √2 正弦波の場合

学習アドバイス:この記事の内容は交流分野全体の「前提知識」です。特に実効値 = 最大値/√2ω = 2πf は、この後のすべての交流計算で使い続けます。ここで確実に定着させておきましょう。次の記事ではR・L・C各素子の交流特性と、インピーダンスの計算に進みます。

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