結論:同期機の計算は「ベクトル図」と「出力公式」の2本柱
前回学んだ同期機の原理を、数値で扱えるようにするのが今回のテーマです。同期インピーダンスを使ったベクトル図と、相差角δによる出力計算が試験の中心です。
📐 ベクトル図
E, V, I の関係を
図で把握する
⚡ 出力計算
P = (EV/Xs)sinδ
相差角で出力が決まる
📉 電圧変動率
無負荷→定格負荷で
電圧がどれだけ変わるか
同期インピーダンス
等価回路
同期発電機の1相分の等価回路は、誘導起電力 E、同期インピーダンス Zs、端子電圧 V で構成されます。
同期インピーダンス
Zs = ra + jXs [Ω]
ra:電機子抵抗、Xs:同期リアクタンス
実用上は ra « Xs なので、Zs ≈ Xs(同期リアクタンスだけ)で計算することが多いです。
発電機の回路方程式
同期発電機(1相分)
E = V + jXsI (ベクトル式)
ra を無視した場合です。E は V より大きく、負荷角(相差角)δ だけ位相が進んでいます。
出力の計算
同期発電機の出力公式
1相あたりの出力
P = EVXs sinδ [W]
δ:相差角(負荷角)。三相出力は3倍
この式は送電線路の安定度の公式とまったく同じ形です。δ = 90° で最大出力となり、それ以上は脱調します。
ポイント:出力を大きくするには「E を上げる(界磁電流を増やす)」「Xs を下げる(短絡比を大きくする)」「δ を大きくする(ただし90°まで)」のいずれかです。
短絡比
短絡比 Ks = 定格電圧を発生する界磁電流定格電流の短絡電流を流す界磁電流 = 1%Xs / 100
短絡比が大きいほど同期リアクタンスが小さく、安定度が高いが、機械が大きく高価になります。
【練習問題①】出力の計算
【問題】同期発電機の1相あたりの誘導起電力 E = 5,000 V、端子電圧 V = 4,000 V、同期リアクタンス Xs = 10 Ω、相差角 δ = 30° のとき、1相あたりの出力 [kW] を求めよ。
電圧変動率
電圧変動率
ε = E − VV × 100 [%]
E:無負荷時の端子電圧(= 誘導起電力)、V:定格負荷時の端子電圧
【練習問題②】電圧変動率
【問題】同期発電機の無負荷端子電圧が 6,930 V、定格負荷時の端子電圧が 6,600 V のとき、電圧変動率 [%] を求めよ。
%同期インピーダンスと短絡比の関係
| 短絡比 Ks | %Xs | 特性 |
|---|---|---|
| 大きい | 小さい | 安定度が高い。電圧変動率が小さい。機械が大きくなり高価 |
| 小さい | 大きい | 安定度が低い。電圧変動率が大きい。機械はコンパクト |
理解度チェック
【第1問】
同期発電機の出力 P = (EV/Xs)sinδ において、出力が最大になる相差角 δ はいくらか。
(1) 0° (2) 30° (3) 45° (4) 60° (5) 90°
【第2問】
同期発電機の短絡比を大きくしたときの効果として、正しいものはどれか。
(1) 安定度が低下する
(2) 電圧変動率が大きくなる
(3) 同期リアクタンスが大きくなる
(4) 安定度が向上する
(5) 機械が小さくなる
【第3問】
同期発電機の無負荷時の端子電圧が 230 V、定格負荷時の端子電圧が 200 V のとき、電圧変動率 [%] はいくらか。
(1) 10 (2) 13 (3) 15 (4) 17 (5) 20
【第4問】
同期発電機の出力を増大させる方法として、適切でないものはどれか。
(1) 界磁電流を増やす
(2) 端子電圧を上げる
(3) 同期リアクタンスを小さくする
(4) 相差角を大きくする
(5) 電機子抵抗を大きくする
まとめ
- 同期インピーダンス:Zs ≈ Xs(電機子抵抗は通常無視)
- 発電機の式:E = V + jXsI(ベクトル式)
- 出力:P = (EV/Xs)sinδ。δ = 90°で最大
- 電圧変動率:ε = (E − V)/V × 100 [%]
- 短絡比:大きい→安定度高い・Xs小さい・機械が大型化
次の記事では、「パワーエレクトロニクス」を学びます。整流回路やインバータの仕組みに入ります。
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