機械

【電験三種・機械】同期機の原理と特性(同期発電機・同期電動機・V曲線・同期速度)

結論:同期機は「磁石を回して発電する」電力の主役

発電所の発電機はほぼすべて同期発電機です。回転速度が電源周波数と完全に同期するため「同期機」と呼ばれます。誘導電動機との最大の違いは、常に同期速度で回転することです。

⚡ 同期発電機

発電所の主力
界磁を回して発電

🔄 同期電動機

定速度運転に最適
力率調整も可能

📈 V曲線

界磁電流と電機子電流の
関係を示す重要グラフ

同期機の構造

誘導機との違い

項目 誘導電動機 同期機
回転速度 同期速度より遅い 常に同期速度
回転子の構造 かご形・巻線形 界磁(電磁石・永久磁石)
すべり あり(2〜5%) なし(s = 0)
励磁 不要(電磁誘導で動く) 直流励磁が必要
自力始動 可能 不可(始動装置が必要)

回転子の種類

種類 形状 用途
円筒形(非突極) 円筒状 火力発電・原子力発電のタービン発電機。高速回転(2極・4極)に適する
突極形 極が突き出た形 水力発電。低速回転(多極)に適する。水車の回転速度に合わせる

覚え方:火力=円筒形(高速・少極)」「水力=突極形(低速・多極)」。タービンは高速で回るので遠心力に強い円筒形、水車はゆっくり回るので多極の突極形です。

同期発電機の原理

発電の仕組み

回転子の界磁巻線に直流電流を流して磁石にし、これを原動機(タービン・水車)で回転させます。すると固定子の巻線を磁束が貫き、ファラデーの法則により誘導起電力が発生します。

同期発電機の誘導起電力

E = 4.44fNφm [V]

変圧器と同じ式。f:周波数、N:巻数、φm:最大磁束

周波数と回転速度の関係

発電周波数

f = pN120 [Hz]

日本の商用電源(50/60Hz)を発電するには、回転速度を正確に一定に保つ必要があります。

【練習問題①】発電機の極数

【問題】回転速度 600 min−1 で 50 Hz の電力を発電するには、何極の同期発電機が必要か。

解答を見る

p = 120f / N = 120 × 50 / 600

= 10極

水力発電のように低速回転の場合、極数が多くなります。

同期電動機の特徴

同期電動機のメリット

特徴 内容
定速度運転 負荷が変わっても回転速度が一定(同期速度)
力率調整 界磁電流を調整して進み力率で運転できる → 系統の力率改善
高効率 大容量の定速運転では誘導電動機より効率が高い

同期電動機のデメリット

  • 自力始動ができない(始動用のかご形巻線や始動用電動機が必要)
  • 直流励磁装置が必要
  • 脱調(同期外れ)のリスクがある

V曲線

V曲線とは

同期電動機の界磁電流を変えたときに、電機子電流がどう変化するかを示したグラフです。その形が「V」の字に見えることからV曲線と呼ばれます。

界磁電流 力率 電機子電流 電流の性質
不足励磁 遅れ力率 大きい 誘導電動機と同じく遅れ電流。無効電力を消費
適正励磁 力率 1.0 最小 V曲線の底。最も効率が良い
過励磁 進み力率 大きい 進み電流を供給。コンデンサの代わりになる

超重要:過励磁で進み力率」。同期電動機を過励磁にすると進相コンデンサと同じ効果が得られ、系統の力率改善ができます。この目的だけに使う同期機を同期調相機といいます。

【練習問題②】V曲線

【問題】同期電動機の界磁電流を増やして過励磁にした場合、電機子電流はどのような性質を持つか。

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進み力率の電流が流れます。

過励磁にすると内部起電力が端子電圧より大きくなり、電機子電流は電圧に対して進み位相になります。このとき同期電動機は進相コンデンサと同じ役割を果たします。

同期発電機の並行運転

並行運転の条件

複数の発電機を電力系統に接続して同時運転することを並行運転(並列運転)といいます。

  1. 起電力の大きさが等しい
  2. 周波数が等しい
  3. 位相が一致している
  4. 波形が等しい(正弦波)
  5. 相回転の方向が等しい

試験のコツ:電圧・周波数・位相・波形・相回転」の5つ。このうち位相の一致は同期検定器で確認します。

理解度チェック

【第1問】

火力発電所のタービン発電機に用いられる同期発電機の回転子はどれか。

(1) かご形 (2) 巻線形 (3) 円筒形 (4) 突極形 (5) 永久磁石形

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正解:(3) 円筒形

火力・原子力のタービン発電機は高速回転(2極:3,000rpm, 4極:1,500rpm)なので、遠心力に強い円筒形回転子を使います。水力発電では低速の突極形です。

【第2問】

同期電動機のV曲線で、電機子電流が最小になるときの力率はいくらか。

(1) 0(遅れ) (2) 0.5(遅れ) (3) 0.8(遅れ) (4) 1.0 (5) 0.8(進み)

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正解:(4) 1.0

V曲線の底(電機子電流が最小)は力率1.0(適正励磁)のときです。不足励磁では遅れ力率、過励磁では進み力率になり、どちらも電機子電流は増加します。

【第3問】

同期発電機の並行運転の条件として、必要でないものはどれか。

(1) 起電力の大きさが等しい
(2) 周波数が等しい
(3) 定格容量が等しい
(4) 位相が一致している
(5) 相回転の方向が等しい

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正解:(3) 定格容量が等しい

定格容量が異なっても並行運転は可能です(容量に応じて負荷を分担)。必要な条件は電圧・周波数・位相・波形・相回転の5つです。

【第4問】

同期調相機の主な目的はどれか。

(1) 電圧を変換する (2) 系統の力率を改善する (3) 周波数を調整する (4) 有効電力を発生する (5) 電力を蓄電する

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正解:(2) 系統の力率を改善する

同期調相機は無負荷の同期電動機で、過励磁にして進み無効電力を供給し、系統の力率を改善します。進相コンデンサと同じ役割ですが、無効電力を連続的に調整できるメリットがあります。

まとめ

  • 同期機:回転速度 = 同期速度(すべり = 0)。直流励磁が必要
  • 円筒形:火力・原子力(高速・少極)、突極形:水力(低速・多極)
  • V曲線:力率1.0で電機子電流最小。過励磁で進み力率
  • 同期調相機:過励磁で進み無効電力を供給し力率改善
  • 並行運転条件:電圧・周波数・位相・波形・相回転の5つ
  • 同期電動機は自力始動不可(始動用装置が必要)

次の記事では、「同期機の計算」を学びます。ベクトル図や出力の計算に進みましょう。

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