結論:パワーエレクトロニクスは「電力を変換する技術」
パワーエレクトロニクス(パワエレ)は、半導体スイッチング素子を使って電力の形を変える技術です。交流→直流、直流→交流、電圧の昇降など、現代の電力制御に不可欠です。
整流
(AC→DC)
コンバータ
ダイオード・サイリスタ
逆変換
(DC→AC)
インバータ
IGBT・GTO
直流変換
(DC→DC)
チョッパ
昇圧・降圧
交流変換
(AC→AC)
サイクロコンバータ
周波数変換
半導体スイッチング素子
| 素子 | 自己消弧 | 特徴と用途 |
|---|---|---|
| ダイオード | ― | 一方向のみ通電。制御不能。整流回路の基本素子 |
| サイリスタ (SCR) |
不可 | ゲート信号でON。OFFは電流がゼロになるまで待つ(他励消弧) |
| GTO | 可能 | ゲート信号でON/OFF可能。大容量向き |
| IGBT | 可能 | 現在の主流。高速スイッチング。インバータに最も多く使用 |
| MOSFET | 可能 | 超高速スイッチング。小容量・高周波向き |
試験のコツ:「サイリスタは自己消弧不可(他励消弧)」「IGBT・GTOは自己消弧可能」がよく問われます。
整流回路(AC→DC)
主な整流回路
| 回路 | 平均直流電圧 Ed |
特徴 |
|---|---|---|
| 単相半波 | 0.45V | ダイオード1個。脈動が大きい |
| 単相全波 (ブリッジ) |
0.9V | ダイオード4個。脈動が半波の半分 |
| 三相全波 (ブリッジ) |
2.34V | ダイオード6個。脈動が最も小さい。大電力で最も使用 |
サイリスタを使うと位相制御(点弧角αを調整)で直流電圧を連続的に変えられます。
サイリスタ整流の出力電圧
Ed = Ed0 cosα
Ed0:ダイオード整流時の電圧、α:点弧角(遅延角)
インバータ(DC→AC)
直流を任意の周波数の交流に変換する装置です。誘導電動機の速度制御(V/f制御)の心臓部です。
PWM制御
現在のインバータはPWM(パルス幅変調)方式が主流です。スイッチング素子(IGBT)を高速でON/OFFし、パルスの幅を変えることで、近似的な正弦波を作り出します。
チョッパ(DC→DC)
直流の電圧を昇圧または降圧する装置です。
| 種類 | 内容 | 用途 |
|---|---|---|
| 降圧チョッパ | スイッチングの通流率で電圧を下げる。Eout = γEin | DC電動機の速度制御 |
| 昇圧チョッパ | インダクタに蓄えたエネルギーで昇圧 | 太陽光発電、回生制動 |
降圧チョッパの出力電圧
Eout = γEin (γ:通流率 = TON/T)
【練習問題①】降圧チョッパ
【問題】入力電圧 200 V の降圧チョッパ。スイッチの通流率 γ = 0.6 のとき、出力電圧 [V] を求めよ。
理解度チェック
【第1問】
サイリスタの特徴として、正しいものはどれか。
(1) 自己消弧が可能 (2) ゲート信号なしでONになる (3) ゲート信号でONにでき、電流ゼロで自然消弧する (4) 双方向に通電できる (5) 制御端子を持たない
【第2問】
単相全波整流回路(ブリッジ)の平均直流電圧は、交流入力電圧の実効値Vに対しておよそいくらか。
(1) 0.45V (2) 0.9V (3) 1.35V (4) 1.8V (5) 2.34V
【第3問】
インバータの主なスイッチング素子として、現在最も広く使われているものはどれか。
(1) ダイオード (2) サイリスタ (3) GTO (4) IGBT (5) 水銀整流器
【第4問】
入力電圧 300 V、通流率 0.4 の降圧チョッパの出力電圧 [V] はいくらか。
(1) 60 (2) 90 (3) 120 (4) 150 (5) 180
まとめ
- 整流(AC→DC):単相半波0.45V、単相全波0.9V、三相全波2.34V
- インバータ(DC→AC):PWM制御。IGBT使用。V/f制御の中核
- チョッパ(DC→DC):Eout = γEin(降圧)
- サイリスタ:自己消弧不可。IGBT・GTO:自己消弧可能
- サイリスタ整流の出力:Ed = Ed0cosα(位相制御)
次の記事では、「照明と電熱」を学びます。照度計算や電熱の基本に進みましょう。
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