建築物環境衛生管理技術者 空気環境の調整

【ビル管理士・空気環境】熱交換器と空気浄化装置(全熱交換器・顕熱交換器・活性炭・電気集じん器・光触媒)

結論:熱交換器は「省エネの要」、空気浄化装置は「空気質の守護者」

ビルの空調で大きなエネルギーロスになるのが換気です。せっかく冷暖房した室内空気を捨てて、外気を取り入れるたびにエネルギーが失われます。熱交換器はこのロスを回収して省エネに貢献する装置です。

また、室内空気の質を守るために空気浄化装置(フィルタ以外の方式)も重要です。試験では全熱交換器と顕熱交換器の違いが頻出テーマです。

全熱交換器の仕組みイメージ

外気

冷たい

熱交換器

排気の熱を
外気に移す

予熱された外気

→室内へ

室内排気

暖かい

↑ 熱を渡す ↑

冷えた排気

→屋外へ

冬の場合:排気の暖かさを外気に移し、外気を予熱してから室内へ送る

排気に含まれる熱をそのまま捨てずに、入ってくる外気に移す ― これが熱交換器の基本原理です。熱と伝熱の基礎で学んだ「熱は高温側から低温側へ移動する」という原理を直接応用した設備です。

全熱交換器と顕熱交換器(★超頻出★)

排気と給気の間で熱を回収する装置を熱交換器といいます。空調の換気では、排気中の熱を外気に移して、外気の予熱(冬)や予冷(夏)に利用します。

全熱交換器

顕熱+潜熱の両方を回収
温度だけでなく湿度も交換する
回転型(ローター式)や静止型がある
省エネ効果が高い
ただし排気の臭いが給気に移る可能性あり

顕熱交換器

顕熱のみを回収(温度だけ交換)
湿度は交換しない
プレート式(金属板で仕切り)が多い
排気の臭いや水蒸気が給気に移らない
病院や厨房の排気熱回収に適する

超頻出ポイント:全熱交換器は湿度も交換するため、排気に含まれる水蒸気・臭い・汚染物質が給気に移る可能性があります。トイレ・厨房・喫煙室など臭いのある排気には、湿度を交換しない顕熱交換器を使うか、そもそも熱交換器を通さずに直接排気します。

現場イメージ:冬のビルで、外気が0℃でも換気用の外気取入口から入ってくる空気がそれほど冷たくないことがあります。これは全熱交換器が排気の暖かさと湿気を外気に移しているからです。全熱交換器がない場合、0℃の外気をそのまま加熱するのに大量のエネルギーが必要ですが、排気熱回収で外気を15℃程度まで予熱できれば、加熱コイルの負担が大幅に減ります。

回転型全熱交換器(ローター式)

蓄熱体を回転させ、排気側で吸収した熱と湿気を給気側で放出する方式です。効率が高い反面、構造的に排気と給気が一部混合する(移行が起きる)欠点があります。

静止型全熱交換器

薄い特殊紙やフィルムで排気と給気を仕切り、壁面を通じて熱と湿度を交換します。回転型より移行が少なく、比較的コンパクトです。

プレート式熱交換器

波板状の金属板を何枚も重ねて、高温流体と低温流体を交互に流して熱を交換します。空調だけでなく給湯や冷水の熱回収にも使われる汎用的な装置です。

特徴 内容
メリット コンパクトで高効率。プレートの増減で容量調整可能
デメリット プレート間が狭いため、汚れや詰まりに注意が必要
用途 冷温水の熱回収、給湯予熱、地域冷暖房の受入設備

空気浄化装置の種類

エアフィルタ以外にも、室内空気を浄化するさまざまな技術があります。

方式 原理と用途
活性炭吸着 活性炭の多孔質表面にガス状汚染物質(臭い・VOC)を吸着
粒子状物質は除去できない
光触媒 酸化チタン(TiO2)に紫外線を当て、有機物を分解
臭い・VOC・細菌の除去に有効
電気集じん器 高電圧で粒子を帯電させ、反対極に集めて捕集
圧力損失が小さい
オゾンが発生する欠点あり
紫外線殺菌灯 UV-C(253.7nm)で細菌・ウイルスのDNAを破壊
ダクト内やAHU内に設置

覚え方のコツ

粒子の除去 → エアフィルタ、電気集じん器
ガス・臭いの除去 → 活性炭、光触媒
微生物の除去 → 紫外線殺菌灯、光触媒
「何を除去するか」で装置を分類すると整理しやすいです。

試験のポイント:電気集じん器は圧力損失が小さい(空気の抵抗が少ない)のがメリットですが、オゾンが発生するデメリットがあります。オゾンは人体に有害なため、発生量の管理が必要です。

理解度チェック

【問題1】全熱交換器に関する記述のうち、正しいものはどれか。

(1)全熱交換器は顕熱のみを回収する装置である
(2)全熱交換器はトイレの排気熱回収に最適である
(3)全熱交換器は顕熱と潜熱の両方を回収する装置である
(4)顕熱交換器は排気の臭いが給気に移りやすい
(5)全熱交換器では排気の汚染物質が給気に移ることはない

解答を見る

正解:(3)
全熱交換器は顕熱+潜熱の両方を回収します。湿度も交換するため、排気の臭いが給気に移る可能性があることから、トイレや厨房の排気には不向きです。顕熱交換器は温度のみ交換するので臭いの移行は少ないです。

【問題2】空気浄化装置に関する記述のうち、正しいものはどれか。

(1)活性炭フィルタは粒子状物質の除去に最適である
(2)電気集じん器は圧力損失が大きい
(3)光触媒は紫外線の照射で有機物を分解する
(4)紫外線殺菌灯はガス状汚染物質の除去に用いる
(5)電気集じん器はオゾンを発生しない

解答を見る

正解:(3)
光触媒は酸化チタンに紫外線を照射して有機物を分解します。活性炭はガス状汚染物質(臭い・VOC)の吸着用です。電気集じん器は圧力損失が小さいのがメリットですが、オゾンが発生する欠点があります。紫外線殺菌灯は細菌・ウイルスの殺菌用です。

【問題3】熱交換器に関する記述のうち、正しいものはどれか。

(1)回転型全熱交換器は排気と給気の混合が全く起きない
(2)プレート式熱交換器はプレートの増減で容量調整ができる
(3)全熱交換器は冬季に外気の予冷に用いる
(4)顕熱交換器は湿度の交換も行う
(5)プレート式熱交換器は汚れに強く清掃不要である

解答を見る

正解:(2)
プレート式熱交換器はプレートの枚数を変えて容量を調整できます。回転型全熱交換器は構造的に排気と給気の一部が混合(移行)します。全熱交換器は冬季に外気の予熱(予冷は夏季)に用います。顕熱交換器は温度のみを交換し湿度は交換しません。プレート式は隙間が狭いため汚れに注意が必要です。

ビル管理の現場での熱交換器・浄化装置管理

日常管理のポイント:

  • 回転型全熱交換器 ― ローターの汚れが蓄積すると熱交換効率が低下。定期的なフィルタ清掃とローターの点検が必要
  • 電気集じん器 ― 集じん板の清掃を怠ると集じん効率が大幅に低下。また、オゾンが発生するため、オゾン濃度が基準(0.1 ppm以下)を超えていないか確認
  • 活性炭フィルタ ― ガスの吸着能力には寿命がある。使い続けると飽和して効果がなくなるため、定期的な交換が必要

省エネルギーと維持管理のテーマでは、全熱交換器の導入による換気時の省エネ効果を数値で解説しています。

まとめ ― 試験で狙われるポイント

この記事の重要ポイント

  • 全熱交換器=顕熱+潜熱を回収。臭い移行リスクあり→トイレ・厨房には不向き
  • 顕熱交換器=温度のみ回収。臭い移行が少ない
  • 回転型は効率が高いが排気と給気の混合(移行)がある
  • 活性炭=ガス・臭いの除去、電気集じん器=粒子の除去(オゾン発生あり)
  • 光触媒=酸化チタン+紫外線で有機物分解

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