この記事で分かること
- 凝縮器が受け持つ3つの熱交換過程
- 水冷・空冷・蒸発式の構造と選び分け
- 凝縮負荷と必要冷却水量の計算方法
- 凝縮温度・圧力が高いときの診断順序
結論:凝縮器は冷凍能力より大きな熱を外へ捨てる
凝縮器(コンデンサ)は、圧縮機から来た高温・高圧の冷媒蒸気を冷却し、通常は液へ変える熱交換器です。外へ捨てる凝縮負荷は、蒸発器が吸収した熱と圧縮機入力の和になります。
水冷・空冷・蒸発式のどれが常に最良という答えはありません。利用できる水、外気の乾球・湿球温度、設置面積、水処理、保守体制を合わせて選びます。試験では構造だけでなく、「汚れや不凝縮ガスで凝縮温度がなぜ上がるか」まで因果関係で押さえましょう。
公式・専門資料の確認先
- 日本冷凍空調工業会:空気調和の基礎知識(凝縮器)
- 日本冷凍空調工業会:冷凍と空調の基礎知識
- 高圧ガス保安協会:令和7年度 第三種冷凍機械試験問題
- Danfoss:Industrial Refrigeration Application Handbook
- CDC:冷却塔・蒸発式凝縮器のレジオネラ管理
技術情報確認日:2026年7月28日。実設備では機器メーカーの仕様書、冷媒の物性表、水処理基準を優先してください。
冷媒は過熱蒸気から液になるまで3段階で放熱する
吐出し蒸気を飽和温度へ
潜熱を放出して蒸気から液へ
飽和液より低い温度へ
単純化した説明では「ガスを液にする装置」ですが、入口には過熱蒸気が来るため、最初に顕熱を取り除きます。中央部ではほぼ一定の飽和温度で凝縮潜熱を放出し、出口側では液が過冷却される場合があります。
過冷却は液配管でフラッシュガスが発生する余裕を増やします。ただし、凝縮器の構造や受液器との配置により過冷却量は変わるため、「凝縮器なら必ず大きく過冷却される」とは限りません。なお、臨界点を超えて運転するCO₂遷臨界サイクルの高圧側は相変化を伴わないため、凝縮器ではなくガスクーラと呼びます。
凝縮負荷と冷却水量を計算する
装置外への熱損失を無視すれば、凝縮負荷 Φk は次式です。
凝縮器の熱収支
Φk=Φ0+P
Φ0:冷凍能力、P:圧縮機へ加えた動力
冷凍能力12kW、圧縮機動力3kWなら、凝縮負荷は12+3=15kWです。凝縮器は12kWではなく、15kWを外へ放出できなければなりません。
この15kWを入口から出口まで5K上昇する冷却水で運ぶとします。水の比熱を4.18kJ/(kg・K)とすると、必要質量流量は次のとおりです。
独自計算例:必要冷却水量
ṁ=15÷(4.18×5)=0.718kg/s
水の密度を約1,000kg/m³とすれば、0.718×3,600÷1,000=約2.58m³/hです。
実機の選定では、汚れ係数、伝熱面積、流路の圧力損失、設計外気・水温なども含めます。この計算は、運ぶべき熱量と流量の関係をつかむための基本例です。
水冷・空冷・蒸発式の違い
| 方式 | 強み | 主な管理点 |
|---|---|---|
| 水冷 | 水の高い熱伝達性能を利用し、コンパクトにしやすい | 水量、水温、スケール、腐食、水処理 |
| 空冷 | 冷却水系が不要で構成が簡潔 | 外気温、再循環、フィン汚れ、送風機 |
| 蒸発式 | 水の蒸発潜熱を使い、湿球温度を基準に放熱 | 補給・ブロー、水質、飛散水、衛生管理 |
空冷は主に外気の乾球温度、蒸発式は主に湿球温度の影響を受けます。水冷式で冷却塔を使う場合、冷却塔側も湿球温度の影響を受けます。方式名だけで凝縮温度や年間消費電力は決まらず、ポンプ・送風機を含むシステム全体で比較します。
水冷シェルアンドチューブ凝縮器
代表的な横形シェルアンドチューブ凝縮器では、冷媒は胴側(伝熱管の外側)、冷却水は管内を流れます。冷却水側の管内をブラシ清掃しやすく、凝縮した冷媒液を胴の下部へ集められる構造です。
上部へ蒸気が入り、管外で凝縮。液は下部へ集まる
水室から複数の管へ分配。熱を受けて温度上昇
フルオロカーボン系では外面ローフィン管で冷媒側面積を増やす構造があります。アンモニアは銅や銅合金と適合しないため、一般に鋼管を使います。材料は冷媒、水質、圧力、腐食条件から選びます。
循環水方式では冷却塔を組み合わせることが一般的ですが、別の熱源水や一過式水源を使う構成もあるため、水冷凝縮器=必ず冷却塔ではありません。また「凝縮温度は冷却水出口温度より必ず3~5K高い」のような固定値ではなく、機器の設計値と運転条件で判定します。
空冷凝縮器は通風と外気の再循環を見る
空冷凝縮器では冷媒が管内を流れ、管外のフィンへ送風します。空気側の熱伝達が小さいため、フィンで表面積を広げます。家庭用エアコンでは冷房時の室外熱交換器が身近な例です。
外気温が高い、吸込みと吹出しの間で熱風が再循環する、フィンが目詰まりする、送風機の回転が落ちる、といった状態では放熱能力が低下します。逆に冬季は凝縮圧力が下がり過ぎ、膨張弁前後の差圧や液供給が不足する場合があります。そのため、送風機制御や凝縮圧力調整弁で適切な高圧を維持する方式があります。
蒸発式凝縮器は冷媒コイルへ直接散水する
蒸発式凝縮器は、冷媒が流れるコイル外面へ循環水を散布し、同時に空気を流します。水の一部が蒸発するときの潜熱で冷媒を冷却します。水冷凝縮器と冷却塔を別々に置く構成とは異なり、冷媒の凝縮と散水の蒸発冷却を一つの機器で行うのが特徴です。
外気の湿球温度に近づけられる利点がありますが、実際の凝縮温度は湿球温度より高くなります。蒸発分だけでなく、濃縮した塩類を排出するブロー水や飛散水もあるため、「ほとんど水を使わない」とは考えません。
衛生上の重要点:蒸発式凝縮器と冷却塔はエアロゾルを外部へ放出し得ます。CDCは、堆積物・バイオフィルム・水温・滞留・消毒剤残留の管理、ドリフトエリミネータ、定期清掃などを示しています。水処理はスケール防止だけでなく、レジオネラ属菌の増殖・拡散を抑える安全管理でもあります。
凝縮温度が上がる原因をQ=KAΔTで整理する
凝縮器の伝熱量は、おおまかにQ=KAΔTmで考えられます。Kは熱通過率、Aは伝熱面積、ΔTmは冷媒と冷却媒体の平均温度差です。同じ凝縮負荷Qを処理するとき、K・A・流量が低下すれば、冷媒側は凝縮温度を上げて温度差を確保しようとします。
| 観測 | 主な候補 | 切り分け |
|---|---|---|
| 冷却媒体の入口温度が高い | 外気・冷却塔・水源側 | 乾球/湿球温度、冷却塔出口水温を確認 |
| 出入口温度差が大きい | 水量・風量不足 | ポンプ、弁、ストレーナ、送風機を確認 |
| 流量正常でも高圧 | スケール、油膜、フィン汚れ | 設計時の温度差、差圧、清掃履歴と比較 |
| 圧力から換算した飽和温度が不自然に高い | 不凝縮ガス、過充填など | 停止時の圧力温度関係、液位、整備履歴を確認 |
不凝縮ガスは冷媒の凝縮に寄与しないまま全圧へ分圧を加え、伝熱面にも抵抗をつくります。結果として吐出し圧力・温度と動力が上がりやすくなります。ただし、高圧だからといって自己判断で冷媒を大気へ放出してはいけません。原因を切り分け、設計されたパージ装置と回収・安全手順に従います。
試験で迷いやすい5つの誤解
- 凝縮負荷=冷凍能力:圧縮機入力も加わるため、通常は凝縮負荷の方が大きくなります。
- 水冷なら必ず冷却塔が必要:循環水方式では一般的ですが、水源・排熱方式により構成は異なります。
- 凝縮温度差は常に一定:設計、負荷、流量、汚れで変わります。
- 蒸発式は水を消費しない:蒸発・ブロー・飛散分の補給と水処理が必要です。
- 高圧なら不凝縮ガスだけが原因:冷却媒体温度、流量、汚れ、過充填なども切り分けます。
理解度チェック
【問1】冷凍能力20kW、圧縮機動力5kWの装置で、外部への熱損失を無視した凝縮負荷はどれですか。
(1) 4kW
(2) 15kW
(3) 20kW
(4) 25kW
(5) 100kW
【問2】横形シェルアンドチューブ凝縮器の代表的な流れとして適切なものはどれですか。
(1) 冷媒と水を胴内で混合する
(2) 冷媒は管内、水は胴側だけに流す
(3) 冷媒は胴側、水は管内を流す
(4) 冷媒も水も管外だけを流す
(5) 冷却水は不要である
【問3】空冷凝縮器のフィンが目詰まりしたとき、同じ負荷を処理するために起こりやすい変化はどれですか。
(1) 熱通過率が上がり、凝縮温度が下がる
(2) 伝熱が悪化し、凝縮温度・圧力が上がる
(3) 凝縮負荷が必ずゼロになる
(4) 冷媒が蒸発器を通らなくても冷える
(5) 湿球温度が必ず下がる
【問4】蒸発式凝縮器の運転管理として最も適切なものはどれですか。
(1) 循環水は密閉されるため水質管理は不要
(2) 乾球温度だけで性能が決まる
(3) 冷媒と散布水を混合する
(4) ブローは水を失うので一切行わない
(5) 水質・消毒・清掃・飛散水を一体で管理する
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まとめ
凝縮器は、蒸発器で吸収した熱と圧縮機入力を合わせて外部へ放出します。冷媒は過熱除去、凝縮、過冷却の順に状態を変え、水冷・空冷・蒸発式では使う冷却媒体と管理項目が異なります。
凝縮温度・圧力が高いときは、冷却媒体の入口温度、流量・風量、伝熱面の汚れ、不凝縮ガスや冷媒量の順に、測定値を設計値と比較して切り分けることが大切です。
最終更新日:2026年7月28日
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