この5問で身につくこと
- 出口硬度の急上昇から軟化装置の貫流点を見つける
- 樹脂の交換容量と運用率から再生前の採水量を計算する
- 硬度と溶存酸素を別の処理系統として診断する
- 復水の汚染を給水処理装置の故障と混同しない
- pHなどの管理値を設備条件ごとに選ぶ
結論:ボイラー用水の異常は、測定値を「どこで、何を、いつ測ったか」に分けて追います。軟化はCa・Mg硬度、脱気はO₂・CO₂、薬注は残留成分とpH、吹出しは缶水の濃縮を主に担当し、互いの代わりにはなりません。
たとえば軟化装置出口の硬度が正常でも、給水の溶存酸素が高ければ腐食リスクは残ります。処理の全体像は「ボイラー用水処理(軟化・脱気・清缶剤)」で確認できます。本記事は、測定値から異常箇所を絞る実戦編です。
水処理は測定場所と管理項目を対にする
| 測定場所 | 主な項目 | 異常時の候補 |
|---|---|---|
| 軟化装置出口 | 残留硬度 | 貫流、再生不良、偏流 |
| 脱気器出口 | 温度、溶存酸素 | 加熱不足、ベント不良 |
| 復水 | 油、鉄、伝導率 | 工程漏入、配管腐食 |
| ボイラー水 | pH、伝導率、薬剤成分 | 濃縮、薬注、吹出し |
単純軟化法ではCa・MgをNaへ交換するため、出口硬度は下がります。一方、シリカ、溶存酸素、全ての溶解塩類を一括除去する装置ではありません。したがって伝導率だけを見て、硬度漏れの有無を決めることはできません。
再生時期は採水量と出口硬度を組み合わせる
交換容量から採水量を求める
使用できる交換容量(g) = 総交換容量 × 運用率
採水量(L) = 使用できる交換容量 ÷ 原水硬度(g/L)
計算値は再生計画の目安です。原水硬度の変動、樹脂の汚染・破砕、食塩不足、流路の偏りがあれば、計算量に達する前でも硬度が漏れます。予定採水量と出口硬度を両方確認し、貫流前に再生します。
公式資料の確認先
- 安全衛生技術試験協会:公表試験問題一覧
- 安全衛生技術試験協会:令和8年4月掲載 二級ボイラー技士公表問題
- 安全衛生技術試験協会:軟化装置の貫流点を含む公表問題
- 安全衛生技術試験協会:JIS B 8223水質表・硬度計算を含む公表問題
- 日本ボイラ協会:水管理委員会
- 厚生労働省:水質管理項目・基準値・分析頻度に関する通達
公式情報確認日:2026年7月31日。JIS B 8223の適用区分、薬剤、濃度、再生設定、分析頻度は設備仕様と事業場の水質管理基準を優先します。問題文・数値・設備状況は独自作成です。
第1問:出口硬度の急上昇を診断する
【問1】軟化装置出口の残留硬度は、通水量36m³まで0.5mgCaCO₃/L未満でしたが、38m³で12mgCaCO₃/Lへ急上昇しました。電気伝導率はほぼ変わっていません。最も適切な判断はどれですか。
(1) 伝導率が同じなので軟化装置は正常である
(2) 貫流点に達した可能性を考え、装置を切り替えて再生条件・食塩・弁・樹脂を確認する
(3) 脱気器の温度だけを上げる
(4) ボイラー水のpHを下げる
(5) 出口硬度は測定せず、通水を続ける
第2問:運用率を含めた採水量を計算する
【問2】軟化装置の総交換容量は6,000gCaCO₃、原水硬度は125mgCaCO₃/Lです。貫流前の余裕として交換容量の80%で再生する場合、計画採水量はどれですか。
(1) 6.0m³
(2) 30.0m³
(3) 38.4m³
(4) 48.0m³
(5) 60.0m³
第3問:溶存酸素高値の原因を切り分ける
【問3】軟化装置出口の残留硬度は基準内ですが、脱気器出口の溶存酸素が平常値より高く、給水配管で酸素腐食が疑われます。最も適切な初動はどれですか。
(1) 軟化装置だけを再生する
(2) 硬度が正常なので腐食原因はないと判断する
(3) 脱気器の給水温度・蒸気供給・ベント・圧力と溶存酸素測定を確認し、残留酸素処理も基準と照合する
(4) 食塩水をボイラーへ直接注入する
(5) 吹出しを永久に停止する
第4問:復水系からの汚染を見つける
【問4】補給水と軟化装置出口は平常値ですが、ある熱交換器の復水を回収すると給水の電気伝導率が上がり、採水容器に油膜も見られます。適切な対応はどれですか。
(1) 復水は一度蒸発した水なので、そのまま全量回収する
(2) 汚染が疑われる復水系を手順に従って切り離し、熱交換器の漏入と復水分析を確認する
(3) 軟化装置の食塩量だけを増やす
(4) 油を分散させるため強くかき混ぜる
(5) ボイラー水のpH測定だけで異常なしとする
第5問:設備ごとの水質基準を適用する
【問5】常用圧力と処理方式が異なる2台の水管ボイラーへ、同じpH・伝導率の上限値を一律設定する案が出ました。最も適切な判断はどれですか。
(1) ボイラー水は全設備でpH11.8に固定する
(2) pHは高いほど腐食しないので上限は不要である
(3) 圧力、補給水、処理方式に対応するJIS・製造者・事業場基準を各設備へ適用する
(4) 原水のpHをそのままボイラー水の基準にする
(5) 伝導率が同じなら他の分析は不要である
採点結果と誤答別の復習先
| 正解数 | 次の行動 |
|---|---|
| 5問 | 第2回へ進み、外部処理と内部処理を追加確認 |
| 3〜4問 | 測定場所と異常原因の対応を再確認 |
| 0〜2問 | 軟化・脱気・薬注・吹出しの役割から復習 |
- 問1・2を誤答:出口硬度と交換容量の両方で再生時期を考える
- 問3・4を誤答:異常値が初めて現れる測定点から上流へ追う
- 問5を誤答:水質管理値を全設備で一律にしない
次の練習と学習ルート
まとめ
出口硬度の急上昇は貫流の合図です。交換容量から採水量を計算しつつ、原水変動や樹脂劣化に備えて実測硬度で補正します。伝導率が変わらないことは、硬度漏れがない証明にはなりません。
硬度、溶存酸素、復水汚染、缶水の濃縮は測定場所と対にして追います。管理値は全設備で固定せず、圧力・処理方式・補給水に対応する基準を適用しましょう。
最終更新日:2026年7月31日
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