ミニテスト 理論

RLC回路ミニテスト|直列・並列・共振・Qを5問で計算

この5問は、R・L・Cの式を暗記するだけでなく「周波数からリアクタンスを出す→直列はインピーダンス、並列はアドミタンスで合成する→位相を読む→共振とQの前提を確認する」手順を診断するミニテストです。

正弦波定常状態、理想的なR・L・C、実効値フェーザを扱います。問題文と数値は当サイトで作成したオリジナルで、過去問題の転載・改変ではありません。

公式を先に復習する場合は「RLC回路とインピーダンス|リアクタンス・共振・ベクトル」を確認してください。以下では電圧を基準フェーザとし、受動符号規約で素子へ流れ込む向きを電流の正方向とします。

解く前の前提と複素数の式

対象 複素数で使う式 判定の要点
各素子 ZR=RZL=jωLZC=1/(jωC)=−j/(ωC) XLLXC=1/(ωC)はいずれも正の大きさ
直列RLC Z=R+j(XLXC) 同じ電流が流れるのでインピーダンスを加える
並列RLC Y=1/R+j(1/XC−1/XL)、Z=1/Y 同じ電圧が加わるのでアドミタンスまたは枝電流を加える
位相 I=V/Z 誘導性ならZの偏角は正で電流は遅れ、容量性なら逆
単純な直列共振 ω0=1/√(LC)、f0=1/(2π√(LC)) XL=XCとなり、入力インピーダンスは全直列抵抗R
直列共振のQ Q0L/R=1/(ω0CR)=f0f Rは損失を含む全直列抵抗、Δfは半電力点間の帯域幅

フェーザの大きさは実効値で表します。単に「並列共振」と書かれた回路へ直列回路のQの式を移すことはできません。並列共振は抵抗の入り方によって入力インピーダンスとQの式が変わるため、回路構成を先に確認します。

採点のしかた

  1. ω=2πfを求め、XLXCを正の大きさとして別々に計算します。
  2. 直列ならZ、並列ならYまたは枝電流を複素数で合成します。
  3. 電圧を0°基準にしたとき、電流角はインピーダンス角の符号を反転した値になることを確認します。
  4. 5問中4問以上に正解し、翌日に接続・式・位相の3点を再現できれば次の交流電力へ進みます。

第1問|直列RLCの複素インピーダンスと電流

実効値フェーザV=100∠0° Vを、R=6 Ω、XL=8 Ω、XC=4 Ωの直列RLC回路へ加える。Zの直交形式、極形式、電流Iの組合せはどれか。

(1)6+j4 Ω、7.21∠33.7° Ω、13.9∠−33.7° A
(2)6+j12 Ω、13.4∠63.4° Ω、7.45∠−63.4° A
(3)6−j4 Ω、7.21∠−33.7° Ω、13.9∠33.7° A
(4)10+j0 Ω、10∠0° Ω、10∠0° A
(5)6+j4 Ω、7.21∠33.7° Ω、13.9∠33.7° A

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正解:(1)6+j4 Ω、7.21∠33.7° Ω、13.9∠−33.7° A

直列なのでZ=R+j(XLXC)=6+j(8−4)=6+j4 Ωです。大きさは√(62+42)=√52≈7.21 Ω、偏角はtan−1(4/6)≈33.7°。したがってI=100∠0°/7.21∠33.7°≈13.9∠−33.7° Aです。

  • (1)直列合成、三平方、割り算の偏角をすべて正しく扱っています。
  • (2)XLXCを同符号で足しています。容量性リアクタンスは虚数部で負です。
  • (3)XCXLとして符号を逆にし、容量性回路にしています。
  • (4)6+8−4を実数だけで足しています。抵抗成分とリアクタンス成分は直交します。
  • (5)Zまでは正しいものの、I=V/Zの角度で33.7°を引いていません。

第2問|並列RLCは枝電流を複素数で加える

実効値フェーザV=120∠0° Vを、抵抗30 Ω、誘導リアクタンス20 Ωの純コイル、容量リアクタンス60 Ωの純コンデンサの3枝からなる並列回路へ加える。電源電流Iの直交形式、極形式、回路の性質の組合せはどれか。

(1)4−j4 A、5.66∠−45° A、誘導性
(2)4+j4 A、5.66∠45° A、容量性
(3)4−j8 A、8.94∠−63.4° A、誘導性
(4)12+j0 A、12∠0° A、抵抗性
(5)0−j4 A、4∠−90° A、誘導性

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正解:(1)4−j4 A、5.66∠−45° A、誘導性

各枝には同じ120 Vが加わります。抵抗電流はIR=120/30=4 A、コイル電流はIL=120/(j20)=−j6 A、コンデンサ電流はIC=120/(−j60)=+j2 Aです。よってI=4−j6+j2=4−j4=5.66∠−45° A。電流が電圧より遅れるので回路全体は誘導性です。

別解ではY=1/30−j/20+j/60=0.0333−j0.0333 Sとし、I=VYとします。等価インピーダンスはZ=1/Y=15+j15 Ωです。

  • (1)同相・遅れ・進みの枝電流を、実部と虚部に分けて加えています。
  • (2)純Lを+j、純Cを−jの電流としており、両者の向きが逆です。
  • (3)6 Aと2 Aを打ち消さず、同じ遅れ方向として足しています。
  • (4)4 A、6 A、2 Aの大きさを算術和にしています。位相の違う電流は複素数で合成します。
  • (5)抵抗枝の4 Aを落としています。3枝はすべて電源へ接続されています。

第3問|直列共振時の電流と素子電圧

全直列抵抗R=10 Ω、L=0.10 H、C=40.0 µFの単純な直列RLC回路へ、実効値100 Vの正弦波電源を加える。共振周波数f0、共振時の電流、コイルとコンデンサの各端子電圧の大きさの組合せはどれか。素子は理想的とする。

(1)79.6 Hz、10 A、各500 V
(2)50.0 Hz、10 A、各100 V
(3)79.6 Hz、2 A、各100 V
(4)79.6 Hz、10 A、各0 V
(5)12.6 Hz、2 A、各500 V

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正解:(1)79.6 Hz、10 A、各500 V

LC=0.10×40.0×10−6=4.00×10−6なので、ω0=1/√(LC)=500 rad/s、f0=500/(2π)≈79.6 Hzです。共振時はXL0L=50 Ω、XC=50 Ωで、回路全体のZ=R=10 Ω。電流は100/10=10 A、各素子電圧はVL=VC=10×50=500 Vです。

500 Vの2電圧は180°反対の無効成分として打ち消し合います。したがって、電源100 Vに500 Vと500 Vを算術加算することはできません。実回路ではコイル抵抗、誘電損失、部品定格も確認が必要です。

  • (1)角共振周波数からHzへ直し、共振時のZと各素子電圧を正しく求めています。
  • (2)ω0=500 rad/sを50 Hzと読み替え、素子電圧を電源電圧と同じにしています。
  • (3)50 Ωのリアクタンスで電源電圧を割っていますが、回路全体ではLとCが相殺します。
  • (4)LとCの電圧のフェーザ和は0でも、各素子の端子電圧まで0になるわけではありません。
  • (5)1/(2π)の扱いと、電流を決めるインピーダンスの両方を誤っています。

第4問|周波数から容量性と電流の進みを判定する

R=10 Ω、L=0.10 H、C=100 µFの直列RLC回路へ、周波数40 Hz、実効値フェーザV=100∠0° Vを加える。Z、電流I、回路の性質の組合せとして最も近いものはどれか。

(1)10−j14.7 Ω、5.64∠55.7° A、容量性
(2)10+j14.7 Ω、5.64∠−55.7° A、誘導性
(3)10−j14.7 Ω、5.64∠−55.7° A、容量性
(4)10+j64.9 Ω、1.52∠−81.2° A、誘導性
(5)24.7+j0 Ω、4.05∠0° A、抵抗性

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正解:(1)10−j14.7 Ω、5.64∠55.7° A、容量性

ω=2π×40≈251 rad/sです。XLL≈25.1 Ω、XC=1/(ωC)≈39.8 Ωなので、Z=10+j(25.1−39.8)=10−j14.7 Ωです。|Z|≈17.7 Ω、偏角は−55.7°。よってI=V/Z≈5.64∠55.7° Aとなり、電流が電圧より進む容量性回路です。

  • (1)周波数から両リアクタンスを出し、XCが大きいことを位相までつなげています。
  • (2)XLXCの符号を逆にしています。
  • (3)インピーダンス角と電流角を同じにしています。割り算では角度を引きます。
  • (4)25.1+39.8として、LとCの虚数成分を同符号で加えています。
  • (5)リアクタンス差14.7 Ωを抵抗10 Ωへ算術加算しています。

第5問|直列共振のQと半値幅

損失を含む全直列抵抗R=4.0 Ω、L=40 mH、C=100 µFの単純な直列RLC回路を考える。共振角周波数ω0、Q、半電力点間の帯域幅Δfの組合せとして最も近いものはどれか。

(1)500 rad/s、5.0、15.9 Hz
(2)500 rad/s、0.20、398 Hz
(3)79.6 rad/s、5.0、15.9 Hz
(4)500 rad/s、20、4.0 Hz
(5)250 rad/s、2.5、31.8 Hz

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正解:(1)500 rad/s、5.0、15.9 Hz

ω0=1/√(LC)=1/√(0.040×100×10−6)=500 rad/sです。共振時のXL0L=500×0.040=20 Ωなので、Q=XL/R=20/4=5.0。f0=500/(2π)≈79.6 Hzより、Δf=f0/Q≈15.9 Hzです。Δf=R/(2πL)でも一致します。

  • (1)rad/sとHzを区別し、全直列抵抗を使ってQと帯域幅を求めています。
  • (2)R/XLとしてQの逆数を採り、そのまま帯域幅を広くしています。
  • (3)f0=79.6 Hzを角周波数の欄へ入れています。
  • (4)XL=20 ΩをQとみなし、4 Ωで割っていません。
  • (5)ω0を半分にしています。LやCを2倍にしただけでは角共振周波数は単純に半分になりません。

ここで使ったQとΔfの式は、この単純な直列RLCモデルに対するものです。並列回路や、コイルの直列抵抗を別枝の抵抗とみなす回路では、構成に合う式を立て直します。

結果の読み方|どの接続と式へ戻るか

間違えた問題 戻る項目 再テストの完了条件
第1問 直列Zと偏角 RXLXCを直交成分として合成できる
第2問 並列Yと枝電流 純Lを−j電流、純Cを+j電流として加えられる
第3問 直列共振と電圧拡大 回路全体の無効電圧0と、各素子電圧0を混同しない
第4問 周波数と誘導性・容量性 XLXCの大小から電流の進み・遅れを説明できる
第5問 直列共振のQ rad/sとHz、全直列抵抗、半電力帯域幅の前提を言える

追加演習はRLC回路とインピーダンスミニテスト第2回第3回へ進めます。フェーザの基礎へ戻る場合は交流回路ミニテスト、次のテーマは交流電力と力率改善ミニテストです。

公式資料と試験形式の確認先

問題・解説・公式資料確認日/最終更新日:2026年9月2日

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