電力

配電方式と配電計算 ミニテスト【第3回】

「配電方式と配電計算」のミニテスト第3回(全5問)です。この回は中性線の断線・力率と電流の減り方・平衡した単相3線式の損失・三相3線式の電圧降下・高圧配電線の方式の5問です。

配電方式と配電計算 ミニテスト

第1回 第2回 第3回

テストの使い方

まず自分で答えを考えてから「解答を見る」をタップしてください。間違えた問題は解説記事に戻って確認すると効果的です。

第1問

単相3線式の配電線路で、A 側と B 側に、100 V で使う抵抗負荷が1つずつつながっている。2つの負荷は消費電力が違う。この線路で、中性線だけが途中で切れた。外線どうしの電圧は変わらないものとする。このとき起こることを、正しく述べたものはどれか。

(1)どちらの負荷にも、電圧がかからなくなる
(2)負荷の力率が大きく下がる
(3)消費電力の小さいほうの負荷に、切れる前より高い電圧がかかる
(4)消費電力の大きいほうの負荷に、切れる前より高い電圧がかかる
(5)電源の周波数が変わる

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正解:(3)消費電力の小さいほうの負荷に、切れる前より高い電圧がかかる
中性線が切れると、2つの負荷は、外線どうしの200 V に直列につながります。直列の電圧は、抵抗の比で分かれます。100 V で使う負荷は、消費電力が小さいほど抵抗が大きいので、消費電力の小さいほうに高い電圧がかかります。
例:600 W と400 W なら、抵抗は約16.7 Ω と25 Ω です。電流は 200/41.7≒4.8 A で、電圧は80 V と120 V に分かれます。
(1)外線は2本ともつながっているので、電流は流れ続けます。(2)抵抗負荷どうしなので、力率は1のままです。(4)逆です。消費電力の大きいほうは抵抗が小さく、電圧は下がります。(5)周波数は電源の側で決まり、配線が1本切れても変わりません。
2つの負荷が同じ大きさなら、切れても100 V ずつのままです。問題文で「消費電力が違う」と断っているのは、そのためです。機器を守るために、中性線にはヒューズを入れず、中性線だけが切れた状態をつくらないようにします。別の数値での計算は、解説記事の計算例3にあります。

第2問

配電線の末端に、有効電力200 kW、力率0.5(遅れ)の負荷がある。負荷のすぐそばにコンデンサを並列につないで、力率を1.0にした。負荷の有効電力と電圧は変わらないものとする。コンデンサより電源側の線路の電流は、つなぐ前より何%減るか。

(1)0(変わらない)
(2)25
(3)29
(4)50
(5)75

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正解:(4)50
有効電力と電圧が同じなら、電流は力率に反比例します。力率0.5のときの電流を1とすると、力率1.0では 0.5/1.0=0.5 です。減るのは 1−0.5=50% です。
(1)電流が変わらないのは、コンデンサと負荷のあいだの線路です。問われているのは、コンデンサより電源側です。(2)損失の残る割合(0.52=25%)です。(3)電流を、力率の平方根に反比例させています。1−√0.5≒0.29 です。(5)損失の減る割合(1−0.25=75%)です。損失は電流の2乗で決まるので、電流より大きく減ります。
必要なコンデンサは 200×tan θ=200×1.732≒346 kvar です。力率0.5は、差を見やすくするために置いた極端な値です。0.8から1.0なら、電流は20%、損失は36%減ります。コンデンサを少しずつ増やしたときの損失は、第1回の第5問の表にあります。

第3問

単相3線式の配電線路で、負荷は平衡していて、外線の電流は30 A である。外線も中性線も、1条あたりの抵抗は0.5 Ω である。線路の抵抗による損失[W]はどれか。

(1)30
(2)450
(3)900
(4)1,350
(5)1,800

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正解:(3)900
平衡していれば、中性線の電流は 30−30=0 A です。電流が流れているのは外線の2条だけなので、2I2R=2×302×0.5=900 W です。
(1)2乗を忘れた 2×30×0.5 です。30は、力率が1のときの、外線どうし(200 V の側)の電圧降下[V]にあたる数です。(2)外線1条分だけです。(4)中性線にも30 A を流して、3条分にしています。(5)外線2本の電流を足して60 A とし、602×0.5 としています。2本は別々の電線なので、1条ごとに2乗してから足します。
式は単相2線式の 2I2R と同じ形です。違うのは電流で、同じ電力を送るなら半分になり、損失は4分の1です(第1回の第3問の (b))。負荷が40 A と20 A に偏ると、中性線に20 A が流れ、(402+202+202)×0.5=1,200 W に増えます。外線の電流の合計は、60 A のままです。

第4問

三相3線式の配電線路の末端に、平衡した負荷がある。電線1条あたりの抵抗は0.3 Ω、リアクタンスは0.2 Ω で、線電流は100 A、負荷の力率は0.6(遅れ)である。近似式で求めた線間電圧の降下[V]に最も近いものはどれか。

(1)31
(2)34
(3)52
(4)59
(5)68

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正解:(4)59
sin θ=√(1−0.62)=0.8 です。
√3×100×(0.3×0.6+0.2×0.8)=√3×100×0.34≒58.9 V
(1)リアクタンスの項を落として、√3×100×0.18 としています。(2)√3 を掛けていません。100×0.34=34 V は、相電圧の降下です。(3)力率を掛けずに、抵抗だけで √3×100×0.3 としています。(5)係数を2にしています。単相2線式の式です。
cos θ と sin θ を逆に掛けた値は、約62 V です。選択肢にないので、近い(4)を選べてしまいます。括弧の中が0.34 Ω になっているかを見てください。
括弧の中は、抵抗の項が0.18 Ω、リアクタンスの項が0.16 Ω で、ほぼ同じ大きさです。配電線では、抵抗とリアクタンスの両方が電圧を下げます(解説記事の計算例1)。力率0.6は、sin θ を0.8にして暗算しやすくした設定です。

第5問

日本の6,600 V の高圧配電線路で、ふつう使われている配電方式はどれか。

(1)単相2線式
(2)単相3線式
(3)三相3線式
(4)三相4線式
(5)直流2線式

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正解:(3)三相3線式
配電用変電所から出る6,600 V の高圧配電線は、三相3線式です。6,600 V のまま大きなビルや工場に届き、街なかでは電柱の上の変圧器で100 V や200 V に下げられます。
(1)(2)単相の2つは、変圧器で下げたあとの低圧側で使われる方式です。(4)中性線のある三相4線式は、ビルや工場の構内の低圧(線間415 V、線と中性線のあいだ約240 V など)で使われます。(5)6,600 V の配電線は交流です。
6,600 V は、技術基準の省令の区分では高圧(600 V を超え7,000 V 以下)に入ります。高圧配電線は、中性点を接地しません。その理由と、地絡事故の見つけ方は、次のテーマの電力系統の保護と安定で扱います。

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