「パワーエレクトロニクス」のミニテスト第3回(全5問)です。
テストの使い方
まず自分で答えを考えてから「解答を見る」をタップしてください。間違えた問題は解説記事に戻って確認すると効果的です。
第1問
次のうち、絶縁ゲートの電圧で制御し、多数キャリアで動作するため、IGBTのような少数キャリア蓄積によるテール電流を生じず、高周波スイッチングに適した素子はどれか。
(1)サイリスタ
(2)GTO
(3)IGBT
(4)MOSFET
(5)ダイオード
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正解:(4)MOSFET
MOSFETは主に多数キャリアで電流を流す素子です。オフ時に蓄積した少数キャリアが消えるのを待つ仕組みではなく、高速に切り替えやすい特徴があります。ただし、ゲート容量の充放電や寄生容量の影響は残ります。
(1)通常のSCRと(2)GTOは、絶縁ゲートのMOSFETとは構造と駆動方法が異なります。(3)IGBTは絶縁ゲートを持ちますが、少数キャリアの蓄積によるテール電流があります。(5)ダイオードはゲートでオン・オフを指令する素子ではありません。
MOSFETを「小容量専用」とは決められません。耐圧・電流・損失・材料・駆動条件で選びます。参考:東芝・MOSFETとIGBTの違い。
第2問
実効値Vの単相正弦波交流を、理想ダイオード1個で半波整流する。純抵抗負荷で平滑コンデンサはなく、電源インピーダンスを無視する。出力電圧の交流1周期にわたる平均値はおよそどれか。
(1)0.45×V
(2)0.9×V
(3)1.35×V
(4)1.8×V
(5)2.34×V
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正解:(1)0.45×V
ここでVは入力の実効値を表す変数です。波高値は√2×Vとなり、正の半周期だけを残した波形を1周期で平均すると、
Ed=(√2/π)×V ≈ 0.45×V。
(2)0.9倍は同じ単相入力を全波整流した場合です。(3)1.35倍と(5)2.34倍は、三相全波ブリッジでそれぞれ線間電圧・相電圧の実効値を基準にした係数です。(4)1.8倍も、本問の正の半波とゼロの区間から求める平均値に合いません。
コンデンサを付けると電圧波形が変わります。また、平均値と実効値は別の量なので、この0.45倍をそのまま発熱計算に使わないでください。参考:NPTEL・半波整流の波形と平均値。
第3問
直流の中間回路を通さず、入力交流から別の周波数の交流を直接作るサイクロコンバータの変換形式はどれか。
(1)AC → DC
(2)DC → AC
(3)DC → DC
(4)AC → AC
(5)DC → DC → AC
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正解:(4)AC → AC
ACは交流、DCは直流です。サイクロコンバータは交流の一部を順に選び、出力の交流波形を作ります。一般的な他励式は入力より低い周波数を得る用途に使い、大容量の低速電動機の駆動などに利用します。
(1)AC→DCは整流、(2)DC→ACはインバータ、(3)DC→DCは直流チョッパに対応します。(5)DC→DC→ACは直流入力から複数段で変換しており、本問の直接AC→ACとは違います。整流器とインバータを組み合わせるAC→DC→AC方式とも区別します。参考:日本電気技術者協会・電力変換装置。
第4問
理想的な降圧チョッパが定常状態にあり、コイルの電流は連続している。入力の直流電圧400 V、通流率γ(1周期に占めるオン時間の割合)が0.35のとき、平均出力電圧[V]はどれか。素子の電圧降下を無視する。
(1)80
(2)100
(3)120
(4)140
(5)160
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正解:(4)140
定常状態では、コイルの電圧を1周期で平均するとゼロになります。オン時は400−Eout、オフ時は−Eoutなので、
0.35×(400−Eout)
+0.65×(−Eout)=0。
整理するとEout=0.35×400=140 Vです。
(1)80 V、(2)100 V、(3)120 V、(5)160 Vは、400 Vで割ると順に通流率0.20、0.25、0.30、0.40となり、指定の0.35と合いません。電流が途切れる動作や実機の電圧降下が無視できない場合は、条件に応じた別の評価が必要です。参考:日本電気技術者協会・降圧チョッパと通流率。
第5問
通常の動作範囲で、制御端子の信号だけでは導通中の主電流をオフにできない、すなわち自己消弧能力を持たない素子はどれか。
(1)GTO
(2)IGBT
(3)MOSFET
(4)通常のサイリスタ(SCR)
(5)パワートランジスタ(BJT)
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正解:(4)通常のサイリスタ(SCR)
SCRは一度ラッチして導通を続けていると、ゲート信号を取り去るだけではオフになりません。主電流を保持電流より小さくし、再び順方向電圧を加えるまでに必要な回復時間も確保します。
交流電源などを利用して別の経路へ電流を移す自然転流や、補助回路で電流を移す強制転流があります。「主電流をゼロにすること」をすべて他励消弧と呼ぶわけではありません。
(1)GTOはサイリスタの一種ですが、適切な負のゲート電流でオフにできます。(2)IGBTと(3)MOSFETはゲート電圧、(5)BJTはベース駆動の制御でオフにできます。いずれも定格内の適切な駆動が前提で、瞬時に電流が消えるという意味ではありません。参考:ST・SCRの保持電流とターンオフ時間(PDF)。
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