保安管理技術 第三種冷凍機械責任者

【第三種冷凍機械責任者・保安管理】自動制御機器の役割|膨張弁・電磁弁・圧力調整弁

この記事で分かること

  • 温度自動膨張弁を動かす3つの力
  • 内部均圧式と外部均圧式の使い分け
  • 電磁弁・圧力スイッチ・EPR・CPRの役割
  • 過熱度の計算と制御不良の切り分け方

結論:自動制御機器は流量・圧力・運転順序を分担する

冷凍装置の自動制御は、一つの部品だけで行うものではありません。膨張装置は蒸発器への給液電磁弁は流路の開閉圧力スイッチは運転・保護圧力調整弁は所定圧力の維持を分担します。

試験で最も大切なのは、機器名と設置位置を丸暗記することではありません。「どの圧力を、上げ過ぎないのか・下げ過ぎないのか」まで一組で理解することです。

公式・専門資料の確認先

技術情報確認日:2026年7月28日。実機の設定・施工は、機器メーカーの仕様書と設計図を優先してください。

冷凍サイクル上の配置を先に把握する

凝縮器・受液器
高圧液をつくる
液電磁弁
通す・止める
膨張装置
減圧・給液
蒸発器
熱を吸収
圧力調整弁・圧縮機
吸込み側を管理

温度自動膨張弁は、蒸発器出口の過熱度を一定範囲に保つよう給液量を変えます。液電磁弁は基本的に開閉を担当し、膨張弁の代わりに連続的な給液調整をする部品ではありません。

温度自動膨張弁は3つの力の釣合いで動く

温度自動膨張弁(TXV・TEV)は、蒸発器出口の温度だけでなく、蒸発圧力も使って過熱度を判断します。ダイヤフラムには次の3つの力が作用します。

作用方向 意味
感温筒圧力 開く側 出口温度上昇で大きくなる
蒸発圧力 閉じる側 飽和温度に対応する圧力
ばね力 閉じる側 設定過熱度に関係する

負荷が増えて出口温度が上がると、感温筒圧力が増して弁は開く方向へ動きます。給液が増えて出口過熱度が下がると釣合いが戻ります。液冷媒を圧縮機へ送らないための過熱を残しつつ、蒸発器を有効に使うのが目的です。

過熱度は温度差で求める

蒸発器出口過熱度は、出口配管温度から、その測定点の圧力に対応する冷媒の飽和温度を引いて求めます。

過熱度

過熱度=蒸発器出口温度-出口圧力に対応する飽和温度

独自計算例

出口配管温度が4℃、出口圧力から求めた飽和温度が−6℃なら、過熱度は 4-(−6)=10K です。

温度だけを測っても過熱度は分かりません。混合冷媒では、過熱度計算に用いる飽和温度の基準(露点側など)を冷媒メーカーの物性表で確認します。

内部均圧式と外部均圧式の違い

違いは、ダイヤフラム下側へ伝える蒸発圧力をどこから取るかです。

方式 圧力を取る場所 適用
内部均圧式 弁出口付近 蒸発器の圧力損失が小さい系統
外部均圧式 蒸発器出口の均圧管 分配器・多回路など圧力損失が大きい系統

圧力損失が大きい蒸発器へ内部均圧式を使うと、弁は実際の出口圧力より高い圧力を閉じる側に受けます。そのため給液不足となり、実際の出口過熱度が設定より大きくなりやすいのが問題です。外部均圧式は出口圧力を直接伝え、このずれを補います。

感温筒は出口配管へ正しく密着させる

感温筒は蒸発器出口の吸込み管へ、熱的に密着するよう取り付けます。ヘッダの直後で液や油の影響を受ける場所、外気や別の熱源の影響を受ける場所、油がたまりやすい配管底部は避けます。必要に応じて外気の影響を防ぐ断熱も行います。

Danfossの施工資料では、水平管の1時〜4時方向を目安とし、外部均圧管は感温筒の直後へ接続する例を示しています。ただし、適切な角度は管径・製品・流れ方で変わります。「必ず真上」と一律に決めず、機器メーカーの指定を最優先にします。

キャピラリチューブは固定抵抗で減圧する

キャピラリチューブは、細い管の長さと内径による流動抵抗で高圧側から低圧側へ冷媒を絞る膨張装置です。可動部がなく安価ですが、TXVのように過熱度を検出して開度を変えることはできません。

  • 長く・細くする:抵抗が増え、同じ条件なら流量は小さくなる
  • 短く・太くする:抵抗が減り、同じ条件なら流量は大きくなる
  • 停止中:逆止弁などで遮られていなければ、高低圧が徐々に均圧しやすい

冷媒量、凝縮条件、蒸発負荷の変化を受けやすいため、機器ごとに管径・長さ・充填量を組み合わせて設計します。「小型機なら現場で適当に長さを決められる」という部品ではありません。

電磁弁と圧力スイッチはポンプダウンにも使う

液管電磁弁は、温度調節器などの信号で液冷媒を通過・遮断します。ポンプダウン制御では、停止要求後に電磁弁を閉じ、圧縮機が低圧側の冷媒を高圧側へ移します。吸込み圧力が設定値まで下がると低圧スイッチが圧縮機を止めます。

停止要求
温度調節器など
液電磁弁を閉じる
給液を止める
低圧が低下
圧縮機は運転継続
低圧スイッチで停止
低圧側の冷媒を減らす

圧力スイッチには、ポンプダウンのような運転制御用と、異常圧力から守る安全用があります。高圧側は凝縮不良などで設定圧力へ達すると停止させますが、手動復帰か自動復帰かは用途・規格・製品仕様で異なります。安全装置を作動原因の確認なしに繰り返し復帰させてはいけません。

EPRとCPRは守る圧力が逆

機器 設置・役割 代表用途
EPR
蒸発圧力調整弁
蒸発器出口。上流の蒸発圧力を設定値より下げにくくする 複数温度蒸発器、凍結防止
CPR
吸入圧力調整弁
圧縮機吸込み前。下流の吸入圧力を上げ過ぎない 始動・除霜復帰時の過負荷防止

EPRは蒸発器側の最低圧力を守り、CPRは圧縮機側の最高吸入圧力を制限します。どちらも吸込み配管に置かれますが、守る側と目的が違います。

制御不良は症状だけで部品を決めつけない

症状 候補 確認
過熱度が大きい 給液不足、低充填、詰まり、低負荷 過冷却、差圧、感温筒、風量
過熱度が小さい 過給液、感温筒不良、風量不足 出口状態、取付、負荷、設定
高圧停止 放熱不足、過充填、不凝縮ガス 水量・風量、汚れ、液位

TXVを調整する前に、冷媒量、過冷却度、蒸発器の風量・水量、フィルタドライヤの詰まり、感温筒の密着を確認します。調整ねじだけで別の不具合を隠すと、液戻りや能力低下を招きます。

理解度チェック

【問1】温度自動膨張弁を開く側へ作用する力はどれですか。

(1) ばね力
(2) 蒸発圧力
(3) 感温筒圧力
(4) 油圧だけ
(5) 大気圧だけ

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正解:(3)
感温筒圧力が開く側へ、蒸発圧力とばね力が閉じる側へ作用します。

【問2】圧力損失が大きい蒸発器で外部均圧式を使う主な理由はどれですか。

(1) 凝縮圧力を測るため
(2) 蒸発器出口の圧力を弁へ伝えるため
(3) 冷媒と油を分離するため
(4) 高低圧を常に同じにするため
(5) 感温筒を不要にするため

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正解:(2)
出口圧力を均圧管で伝え、蒸発器・分配器の圧力損失による給液不足を補正します。

【問3】出口温度3℃、出口圧力に対応する飽和温度−5℃のとき、過熱度はいくらですか。

(1) −8K
(2) −2K
(3) 2K
(4) 8K
(5) 15K

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正解:(4)
3-(−5)=8Kです。温度と、その測定点の圧力に対応する飽和温度を使います。

【問4】ポンプダウン停止の一般的な順序として適切なものはどれですか。

(1) 圧縮機停止後に液電磁弁を開く
(2) 液電磁弁を閉じ、低圧低下後に圧縮機を止める
(3) 高圧スイッチだけで毎回停止する
(4) EPRを全開にして冷媒を放出する
(5) 四方弁を中間位置で止める

解答を見る

正解:(2)
先に給液を止め、圧縮機で低圧側の冷媒を移送してから低圧スイッチで停止します。

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まとめ

温度自動膨張弁は、感温筒圧力・蒸発圧力・ばね力の釣合いで蒸発器出口過熱度を制御します。蒸発器の圧力損失が大きいときは、出口圧力を伝える外部均圧式が必要です。

キャピラリチューブは固定抵抗、電磁弁は開閉、EPRは蒸発圧力の低下防止、CPRは吸入圧力の上昇制限を担当します。症状が出たときは制御機器だけを決めつけず、冷媒量・熱交換・配管・取付を含めて測定値から切り分けましょう。

最終更新日:2026年7月28日

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