電力

送電の電気的計算 ミニテスト【第2回】

「送電の電気的計算」のミニテスト第2回(全5問)です。この回は送電損失・電圧降下・送電効率・力率と損失・2回線の上限を、1問ずつ短く確かめます。条件を組み合わせた問題は第1回にあります。

送電の電気的計算 ミニテスト

第1回 第2回 第3回

テストの使い方

まず自分で答えを考えてから「解答を見る」をタップしてください。間違えた問題は解説記事に戻って確認すると効果的です。

第1問

三相3線式の送電線で、線電流が150 A、電線1条あたりの抵抗が4 Ω である。抵抗による送電損失[kW]に最も近いものはどれか。

(1)90
(2)180
(3)270
(4)360
(5)540

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正解:(3)270
電線1条では I2R=1502×4=90,000 W です。三相3線式は電線が3条あり、3相がそろっていれば3条とも同じ電流なので、3I2R=3×90,000=270,000 W=270 kW です。
(1)電線1条分だけの値です。(2)2条分です。行きと帰りの2条で送る単相2線式の数え方です。(4)150×4=600 を2乗しています。2乗するのは電流だけです。600は1条分の電圧降下[V]で、2乗しても W になりません。(5)抵抗を往復の8 Ω にしてから3倍しています。1相分の回路に入れるのは、電線1条分です。
この損失を受電端の電力に足すと送電端の電力になり、送電効率が出ます(第1回の第3問)。

第2問

三相3線式の送電線で、電線1条あたりの抵抗が6 Ω、リアクタンスが5 Ω、線電流が80 A、受電端の力率が0.6(遅れ)である。近似式で求めた電圧降下(送電端と受電端の線間電圧の差)[V]に最も近いものはどれか。

(1)608
(2)831
(3)1,053
(4)1,216
(5)1,524

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正解:(3)1,053
sin θ=√(1−0.62)=√0.64=0.8 です。
√3×80×(6×0.6+5×0.8)=√3×80×7.6≒1,053 V
抵抗に cos θ、リアクタンスに sin θ を掛けるのは、受電端の電圧と同じ向きの成分だけを残した式だからです(解説記事のフェーザ図)。
(1)√3 を掛けていません。80×7.6=608 V は相電圧の降下です。(2)√3×80×6≒831 V で、抵抗だけを、力率を掛けずに入れています。(4)係数を2にした 2×80×7.6 です。これは単相2線式の式です。(5)力率を掛けずに √3×80×(6+5)≒1,524 V としています。
cos θ と sin θ を入れ替えると約1,081 V になり、選択肢では(3)がいちばん近くなります。答えが合っても、途中の7.6 Ω を確かめてください。力率0.6は、sin θ が割り切れるように置いた低めの値です。この線路では、リアクタンスの項(4.0 Ω)が抵抗の項(3.6 Ω)を上回っています。

第3問

送電効率が96%の送電線で、受電端の電力が8,000 kW であった。送電端の電力[kW]に最も近いものはどれか。

(1)7,680
(2)8,000
(3)8,320
(4)8,333
(5)8,640

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正解:(4)8,333
送電効率は、受電端の電力を送電端の電力で割った値です。送電端の電力は 8,000/0.96≒8,333 kW で、損失は約333 kW です。
(1)0.96を掛けています。送電端のほうが小さくなり、損失がマイナスになってしまいます。(2)損失が0で、効率が100%のときの値です。(3)受電端の電力の4%(320 kW)を足しています。効率が96%のとき、損失は送電端の電力の4%で、8,333×0.04≒333 kW です。(5)効率に戻すと 8,000/8,640≒92.6% で、96%になりません。
(3)と(4)は13 kW しか違いませんが、損失の割合が大きい線路ほど差が開きます。損失から効率を出す向きの問題は、第1回の第3問です。

第4問

三相3線式の送電線で、受電端の有効電力と電圧を一定に保ったまま、受電端の力率を0.5(遅れ)から1.0に改善した。抵抗による送電損失は、改善前の何倍になるか。

(1)1/2 倍
(2)1/4 倍
(3)1/√2 倍
(4)√2 倍
(5)2 倍

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正解:(2)1/4 倍
損失は P2R/(Vr2 cos2θ) で、力率の2乗に反比例します。(0.5/1.0)2=1/4 倍です。同じ有効電力を送るための電流が、力率0.5のときは力率1.0のときの2倍流れていた、ということです。
(1)電流の比です。損失には、電流の2乗で効きます。(3)2乗するところを、平方根にしています。(4)(5)力率が上がれば電流は減るので、損失が1倍を超えることはありません。
一定に保つのが受電端の有効電力と電圧であることが、この計算の前提です。皮相電力を一定にしたのなら電流は変わらず、損失も変わりません。力率0.5は差を見やすくした極端な値で、0.8から0.95への改善なら約0.71倍です(第1回の第2問)。

第5問

送電線を1回線から、同じ線路の並行2回線にした。送電端と受電端の電圧の大きさは変わらず、抵抗は無視できるものとする。定態安定極限電力は何倍になるか。

(1)変わらない
(2)√2 倍
(3)2 倍
(4)4 倍
(5)1/2 倍

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正解:(3)2 倍
線路の抵抗を考えないとき、送電電力は (VsVr/X) sin δ と書けます。sin δ が1になるときの VsVr/X が、定態安定極限電力です。同じ線路を2回線並列にするとリアクタンスは X/2 になるので、上限は2倍です。
(1)式の分母が変わるので、上限も変わります。(2)この式に平方根は出てきません。(4)上限はリアクタンスに反比例するだけで、2乗では効きません。4倍になるのは、両端の電圧をどちらも2倍にしたときです。(5)2回線を直列に足して 2X にしています。並列なので半分です。
2倍になるのは、負荷をゆっくり増やしたときの上限です。実際の線路は、事故で1回線が外れても同期を保てるように、上限よりずっと小さい電力で運転します。その余裕の見方は第1回の第4問で扱っています。

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