電力

送電の電気的計算 ミニテスト【第3回】

「送電の電気的計算」のミニテスト第3回(全5問)です。この回は電力と電圧から出す損失・電圧降下率・昇圧と損失・力率1の電圧降下・直列コンデンサの5問です。

送電の電気的計算 ミニテスト

第1回 第2回 第3回

テストの使い方

まず自分で答えを考えてから「解答を見る」をタップしてください。間違えた問題は解説記事に戻って確認すると効果的です。

第1問

三相3線式の送電線で、受電端の電力が12 MW、受電端の線間電圧が60 kV、力率が1.0、電線1条あたりの抵抗が3 Ω である。抵抗による送電損失[kW]に最も近いものはどれか。

(1)40
(2)69
(3)120
(4)240
(5)360

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正解:(3)120
損失を電力と電圧から直接出す式 P2R/(Vr2 cos2θ) を使います。MW・Ω・kV で入れると、MW で出ます。
122×3/(602×1.02)=432/3,600=0.12 MW=120 kW
検算:電流は 12,000/(√3×60)≒115.5 A で、3×115.52×3≒120,000 W です。
(1)電線1条分の 115.52×3≒40 kW です。(2)3倍でなく √3 倍にしています。(4)抵抗を往復の6 Ω にしています。(5)電圧に、相電圧の 60/√3≒34.6 kV を入れています。ちょうど3倍になります。この式に入れる電圧は線間電圧です。
W と V に直して入れても同じ答えになりますが、0 の数を数え間違えやすくなります。

第2問

送電端の線間電圧が69 kV、受電端の線間電圧が66 kV の送電線がある。電圧降下率[%]に最も近いものはどれか。

(1)2.62
(2)3.00
(3)4.35
(4)4.55
(5)7.87

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正解:(4)4.55
電圧降下は 69−66=3 kV です。電圧降下率は、これを受電端の電圧で割った値です。
3/66×100≒4.55%
(1)3 kV を √3 で割って相電圧の差(約1.73 kV)にしたのに、線間電圧の66 kV で割っています。相電圧どうしで 1.73/38.1 とすれば、同じ4.55%です。(2)差の3 kV を、そのまま%と読んでいます。(3)送電端の69 kV で割っています。(5)3 kV を √3 倍しています。与えられているのは線間電圧どうしなので、√3 は要りません。
(3)と(4)は0.2ポイントしか違いません。降下が小さいほど2つの値は近づくので、分母を先に決めてから割ります。降下率から受けられる電力を逆算する問題は、第1回の第1問です。

第3問

三相3線式の送電線で、送電電圧を3倍に昇圧した。受電端の有効電力・力率・電線は変えていない。抵抗による送電損失は、昇圧前の何倍になるか。

(1)1/3 倍
(2)1/6 倍
(3)1/9 倍
(4)3 倍
(5)9 倍

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正解:(3)1/9 倍
同じ電力を同じ力率で送るなら、電圧が3倍のとき電流は3分の1です。損失は電流の2乗に比例するので、(1/3)2=1/9 倍です。式 P2R/(Vr2 cos2θ) で見ても、電圧の2乗に反比例します。
(1)電流の比です。(2)2乗を2倍と取り違えて、3×2=6 としています。(4)(5)向きが逆です。9倍になるのは、インピーダンスが同じ負荷に電圧だけ3倍かけた場合で、このときは電流も3倍になります。
昇圧で損失が減るのは、受電端の電力を同じにしたときに限られます。高い電圧ほど絶縁や鉄塔に費用がかかり、コロナ放電も出やすくなるので、何 kV で送るかは、電力と距離の兼ね合いで決まります(解説記事)。

第4問

三相3線式送電線の電圧降下の近似式 √3 I(R cos θ+X sin θ) で、受電端の力率が1.0のとき、この式について正しいものはどれか。電流は0でないとする。

(1)電圧降下は0になる
(2)リアクタンスの項だけが残る
(3)抵抗の項だけが残る
(4)電圧降下は力率に関係なく一定である
(5)同じ電流なら、電圧降下はこのとき最大になる

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正解:(3)抵抗の項だけが残る
力率が1.0なら sin θ=0 なので、√3 I(R×1+X×0)=√3 IR です。
(1)抵抗の分が残ります。(2)逆です。リアクタンスの項だけになるのは、力率が0(遅れ)のときです。(4)式に cos θ と sin θ が入っているので、力率で変わります。(5)同じ電流で降下が最大になるのは tan θ=X/R のときです。進み力率では sin θ の項がマイナスになり、力率1.0のときよりさらに小さくなります。
消えるのは近似式の中のリアクタンスの項です。リアクタンスでの電圧降下そのものは、受電端の電圧と直角の向きに残っていて、送電端の電圧の位相を進ませます。フェーザで計算すると、力率1.0でも近似式より少し大きい値になります(解説記事の計算例1の表)。

第5問

送電線に直列コンデンサを入れるおもな目的として、最も適切なものはどれか。

(1)抵抗による送電損失を減らす
(2)負荷に無効電力を供給して、力率を改善する
(3)線路のリアクタンスを一部打ち消し、送電できる電力の上限を引き上げて、電圧降下も減らす
(4)高調波を取り除く
(5)通信線への電磁誘導を防ぐ

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正解:(3)線路のリアクタンスを一部打ち消し、送電できる電力の上限を引き上げて、電圧降下も減らす
線路の途中に直列に入れたコンデンサのリアクタンス Xc は、線路の X と逆向きに働きます。合わせたリアクタンスは X−Xc です。定態安定極限電力 VsVr/X は分母が減るぶん大きくなり、電圧降下の近似式でも X sin θ の項が減ります。
(1)損失の式にリアクタンスは入っていません。電力・電圧・力率が同じなら電流も同じで、損失は変わりません(第1回の第2問)。(2)負荷と並列に入れる、電力用コンデンサの働きです。(4)高調波への備えは、電力用コンデンサに組み合わせる直列リアクトルなどの役目です(変電所の設備)。(5)誘導障害は、ねん架や、事故を速く切り離すことで減らします(架空送電線路)。
名前が似ているので、問題文の「直列」「並列」を先に読みます。2つが損失・電圧降下・電力の上限のどこに効くかは、第1回の「5問のつながり」の表で並べています。

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