「電気材料の種類と特性」のミニテスト第3回(全5問)です。扱うのは絶縁油・ソフトフェライト・p形のキャリア・積層鉄心・マンガニンの5つです。
テストの使い方
まず自分で答えを考えてから「解答を見る」をタップしてください。間違えた問題は解説記事に戻って確認すると効果的です。
第1問
油入変圧器に入れる絶縁油は、おもに何を受け持つか。
(1)電流を流す
(2)磁束を通す
(3)絶縁と冷却
(4)振動を吸収する
(5)外からの磁気を遮る
解答を見る
正解:(3)絶縁と冷却
日本電気技術者協会の講座は、絶縁油のおもな役割を、機器の絶縁と冷却だとしています。巻線どうしや、巻線とタンクのあいだを絶縁し、鉄心と巻線で出た熱を運び出します。そのため、絶縁破壊電圧が高いことと、冷やす働きが大きいことが求められます。
(1)電流を流すのは巻線の銅です。油が電流を通したら、絶縁になりません。(2)磁束を通すのは鉄心です。(4)振動をおさえるために入れるものではありません。(5)磁気を遮る部品には、鉄とニッケルの合金のような磁性材料を使います。
油は、外気の酸素と水分が入ると傷みます。同じ講座によると、水分が30〜40 ppm を上回ったあたりから、絶縁破壊電圧は急に落ちます。そこで、絶縁破壊電圧、全酸価、水分、油に溶けたガスを調べて管理します(解説記事の「絶縁油」の節)。
第2問
ソフトフェライトが、高周波で使うコア(磁心)に向いているのはなぜか。最も適切なものを選べ。
(1)導電率が金属より高いため
(2)保磁力が大きいため
(3)抵抗率が高く、渦電流損が小さいため
(4)永久磁石として使えるため
(5)飽和磁束密度が最も高いため
解答を見る
正解:(3)抵抗率が高く、渦電流損が小さいため
ソフトフェライトは、鉄の酸化物をおもな成分にした焼き物で、軟磁性材料のなかまです。JFE スチールの技報によれば、金属でできた軟磁性材料と比べて比抵抗(抵抗率)が格段に高く、数 kHz〜数百 MHz の範囲でよい特性を示します。渦電流損は、周波数の2乗に比例し、材料の導電率にも比例します。周波数が高いところほど、抵抗率の高さが効きます。高周波の電源トランスや、ノイズフィルタのコアが使いみちです。
(1)逆です。ソフトフェライトの導電率は金属よりずっと低く、だから渦電流損が小さくなります。(2)(4)保磁力が大きくて永久磁石になるのは、フェライト磁石です。名前は似ていますが、別の材料です。コアに使うソフトフェライトは、保磁力の小さいほうです。(5)飽和磁束密度は、電磁鋼板などより低い材料です(材料メーカーの資料)。50 Hz や60 Hz の大きな鉄心は、電磁鋼板でつくります。
2つのフェライトは、解説記事の「アモルファスとフェライト」と「永久磁石の材料」で見比べられます。
第3問
p形半導体の多数キャリアはどれか。
(1)電子
(2)正孔
(3)陽イオン
(4)中性子
(5)光子
解答を見る
正解:(2)正孔
シリコンに、価電子が3個のホウ素などを少し加えると、結合の電子が1個足りなくなります。この抜けたところが正孔(ホール)です。となりの電子が移ってくると、抜けたところが動いたことになり、正の電気が運ばれます。p形では、この正孔が多数キャリアです。
(1)電子は、p形では数の少ないほう(少数キャリア)です。多数キャリアになるのは n形です(第2回の第5問)。(3)結晶の中のイオンは動けません。日本電気技術者協会の講座によると、電子を受け取ったホウ素の原子は、陽イオンではなく負のイオンになります。(4)中性子は原子核の中の粒で、電気をもちません。(5)光子は光の粒で、電気を運びません。
正孔の正の電気と、動けないイオンの負の電気が、同じ数だけあります。結晶そのものは電気を帯びていません(第1回の第5問の(2))。p形と n形をつないだ pn 接合は、半導体と電子回路で扱っています。
第4問
変圧器の鉄心を、薄い鋼板を重ねてつくるおもな目的はどれか。
(1)ヒステリシス損を減らすため
(2)渦電流損を減らすため
(3)銅損を減らすため
(4)漏れ磁束を減らすため
(5)磁束密度を高めるため
解答を見る
正解:(2)渦電流損を減らすため
渦電流損は、板の厚さの2乗に比例します(電気学会の用語解説)。鉄心を薄い板に分け、板どうしを絶縁皮膜で仕切ると、渦電流は1枚の板の中でしか回れません。厚さを半分にすれば、渦電流損は約4分の1です。
(1)ヒステリシス損は、板の厚さでは変わりません。保磁力の小さい材料を選んで減らします。(3)銅損は、巻線の抵抗で出る損失です。鉄心の板とは関係がありません。(4)漏れ磁束は、一次と二次の巻線の片方しか通らない磁束です。板を重ねても減りません。(5)磁束密度は、電圧、周波数、巻数、鉄心の断面積で決まります。板を薄く分けても上がりません。
薄くして減るのは、鉄損のうち渦電流損の分だけです。解説記事の計算例3では、厚さ0.50 mm を0.35 mm にしても、鉄損は約12%しか下がりませんでした。けい素を混ぜる理由は第2回の第1問、厚さ0.35 mm を0.23 mm にしたときの計算は第1回の第4問の(5)です。
第5問
銅の配線につないで使う精密な抵抗器には、抵抗の温度係数が小さく、銅に対する熱起電力も小さい材料が向く。最も適しているものはどれか。
(1)ニクロム
(2)コンスタンタン
(3)マンガニン
(4)銅
(5)ニッケル
解答を見る
正解:(3)マンガニン
マンガニンは、銅・マンガン・ニッケルの合金です。JIS C 2522 は、温度係数と銅に対する熱起電力がどちらも小さい抵抗材、と定めています。AA級は、23 ℃ での温度係数(1 ℃ あたりの抵抗の変化)が100万分の8以内、熱起電力が2 μV/K 以下です。
(2)コンスタンタン(銅ニッケル)も、温度係数は小さい合金です。違うのは熱起電力で、JIS C 2532 の表の参考値では、49種が約41 μV/K で、熱電対にも使えます。銅とのつなぎ目に温度差があると、この電圧がそのまま測定の誤差になります。(1)おもに発熱体に使います(第2回の第3問)。抵抗器用の108種でも、同じ表で温度係数は100万分の50、熱起電力は5 μV/K です。(4)銅は、1 ℃ で約0.39%変わります(標準軟銅の値)。10 ℃ では約4%です。(5)ニッケルは、同じ表の9.6種で100万分の4,500です。温度係数の大きい抵抗材です。
純粋な金属の銅とニッケルは温度係数が大きく、3つの合金は小さい、という並びです。3つの合金の表は、解説記事の「抵抗材料は合金でつくる」にあります。
※当サイトの画像にはAI生成のものが含まれており、実際の機器・器具とは外観が異なる場合があります。問題・解答の内容には細心の注意を払っておりますが、誤りが含まれる可能性があります。学習の参考としてご活用いただき、最終的な確認は公式テキスト・法令等で行ってください。当サイトの情報に基づく判断によって生じた損害について、一切の責任を負いかねます。
内容の誤りやお気づきの点がございましたら、お問い合わせフォームよりご連絡いただけますと幸いです。正確な情報をお届けできるよう、随時修正してまいります。